Akhundzada’s Disappearance and Haqqani’s Rise: What Does the ‘Godfather of Suicide Bombers’ Want?

(WAJ: ターリバーンの思想の根底は、イスラームの極端で過激な復古主義解釈とパシュトーン族の旧習であるパシュトゥーン・ワリ(掟)の混合物である。それらは西洋的近代主義に対するアンチとして現出しているが、人類史の流れの中で永続性を持たない復古主義である。これまで外圧(ソ連や米英、国連など)によってそれらを克服しようとしたがことごとくジハードの前に失敗した。ターリバーンのなかに「善と悪」があるのでなく、時代の流れに対してそれを受け入れようとする力学とあくまでも守旧で行こうとする力学の衝突がターリバーンの中で生じているとみなすべきである。アフガニスタン内部の教育を前進させること、情報をアフガニスタン内部に供給し続けることが重要である。)

Sirajuddin Haqqani, the acting Interior Minister of the Taliban, stands before an official army parade in Kabul, which honors the regime's military capabilities. (Photo Credit: AP)

アミン・カワ (ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア))
2024年11月6日

ターリバーンが写真撮影やビデオ撮影を広範囲に規制したことを受けて、同組織の2大派閥間の緊張が高まり、メディアやSNSでその影響が目に見えて表れるようになった。生きた生物の撮影禁止に対抗するため、ハッカーニ・ネットワークの実際のチームは、自爆テロリストの「指揮官」と呼ぶシラージュッディン・ハッカーニ(訳注:アフガニスタン・イスラム首長国(IEA)の内務大臣。以下敬称略)の画像や動画を広めている。一方、ターリバーン最高指導者ハイバトゥラー・アフンザダ(以下敬称略)の支持者は、アフガニスタンでの写真撮影の禁止とビデオ撮影の全面禁止を主張している。しかし、アフガニスタン人の多くは、民間人の死亡や人権侵害、特に女性に対する人権侵害については、ターリバーンの両派閥に責任があると考えている。ターリバーンを「善と悪」に分けて議論することは、反ターリバーンの立場を助長するどころか、同組織のジェンダー・アパルトヘイト支配を強化するだけだと彼らは主張している。彼らは、何百人もの民間人や軍人の死にたいして責任を負っているシラージュッディン・ハッカーニを、ターリバーン内部の指導層争いの中で称賛すべきではないと強調している。ハッカーニはターリバーン指導層の掌握を狙っていると多くの人は考えている。

「勧善懲悪法」が公布されて以来(訳注:https://webafghan.jp/topics/#20240823 ほかトピックス欄参照)、最高指導者と実権をもつ内務大臣との間の競争が特にソーシャルメディア上で目立つようになった。ハイバトゥラーは国家資源を使って写真や動画の公開を抑制し、すべてのメディアコンテンツを映像から音声に移行させている。その結果、ハイバトゥラーの関連団体は徐々に写真撮影と撮影禁止の施行範囲を拡大してきた。

最近、ターリバーン最高指導者は閣僚らを同組織の本部であるカンダハールに召集した。報道によると、ターリバーン閣僚らは2024年11月4日月曜日にカンダハールに到着した。会議では「勧善懲悪法」の厳格な実施に焦点が当てられたと報じられている。また、ハイバトゥラーがターリバーン・メンバーに対し、会議中に写真やビデオを撮らないよう指示したとも報じられている。

一方、ターリバーンの内務大臣シラージュッディン・ハッカーニは、ターリバーンの自爆テロリストネットワークのメンバーやその家族、その他の関係者との会合の写真や動画を引き続き公開している。この「自爆テロリストのゴッドファーザー」に関連するソーシャルメディアのページをざっと確認すると、ハッカーニは、最近の写真撮影や動画撮影の禁止を無視して、ハッカーニ・ネットワークの自爆テロリスト訓練センターを過去に訪問した際の動画を投稿していることがわかる。

X(旧ツイッター)の「シラージュッディン・ハッカーニ・ミンワル」または「シラージュッディン・ハッカーニ愛好者」アカウントからの動画には、2009年にハッカーニが自爆テロリスト訓練センターを訪問した様子が映っている。同センターでハッカーニは新兵を鼓舞し、「彼らを絶望と混乱から解放する」ことを目指していた。投稿では、ハッカーニの演説やこれらの「黄金の」自爆テロリストとの会談を「歴史的な一歩であり、演説は明確にして黄金の歴史の内容の一部であるべき」と表現している。

ネット上のハッカーニ支持者たちは、彼を自爆テロリストの「指揮官」として称賛し続けている。ハッカーニが命じた自爆攻撃により、数百人のアフガニスタン民間人と外国軍人が犠牲になった。ハッカーニ・ネットワークは、過去20年間に子供、女性、医療施設の患者を狙った攻撃など、最も悪名高い自爆攻撃のいくつかについて犯行声明を出している。

ターリバーンの新法が女性の顔と声を「アウラ」(隠蔽対象)に分類した後(訳注:https://webafghan.jp/topics/#20240925、ハッカーニ・ネットワークはシラージュッディン・ハッカーニが田舎の成人女性と握手する動画を投稿した。同ネットワークはまた、2013年にパキスタンの北ワジリスタンで殺害された上級司令官で「ムッラー・ファテ」として知られるサンギーン・ザドランに関するドキュメンタリーも公開した。多くのソーシャルメディアユーザーや専門家は、これらの公開をハッカーニとハイバトゥラー・アフンザダの間で進行中の秘密の権力闘争の一部と解釈している。

ハッカーニのニューヨークタイムズ紙インタビュー

2024年10月26日のニューヨークタイムズ紙のインタビューで、ターリバーンの内務大臣シラージュッディン・ハッカーニは「ターリバーン内で唯一の不満の声」と評された。このインタビューは、ハッカーニのXオンライン支持者を通じて広く拡散された。ハイバトゥラー・アフンザダが発した制限に対するハッカーニ・ネットワークの抵抗は、ターリバーンの意思決定プロセスの分裂を反映している。具体的には、ハッカーニ・ネットワークは、ハイバトゥラーとその同盟者が率いるカンダハリ・ターリバーンが全面的な服従を課すべきではないと考えている。

一部の政治家やソーシャルメディアユーザーは、ニューヨークタイムズ紙によるハッカーニへのインタビューを、この組織がアフガニスタンで犯した「犯罪」を隠蔽しようとする試みだと非難している。彼らは、これほど多くの民間人と兵士の死に責任がある指導者が、民主主義と表現の自由を主張するメディアによって称賛されるべきではないと主張している。しかし、他の人たちはこのインタビューがハッカーニがターリバーンの指導者になろうとする野望を明確に示していると見ている。

ジャーナリストのフェルドウス・カウィッシュ氏は、「カンダハールとパクティア、指導者争い」と題した記事で、ハッカーニのニューヨーク・タイムズ紙のインタビューを分析し、ハッカーニが外交関係を築こうとしていることは、ターリバーン内のパクティア派が将来の指導者になろうとしていることを示していると示唆した。カウィッシュ氏はフェイスブックに、「ハッカーニ自爆テロネットワークのリーダーでターリバーン内務大臣のシラージュッディン・ハッカーニがニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じ、最高指導者とは立場を明確に区別したことは、カンダハールの支配に対する微妙な挑戦と見ることができる。カリフ(訳注:イスラム国家の最高権威者で預言者ムハンマドの後継者を意味するが、ここでは単にリーダーの尊称でハッカーニを指す)は今や自らを『最高指導者』とは離れた位置においている」と投稿した。

「勧善懲悪法」に基づく生き物の写真撮影の禁止は、10以上の州、5つの大学、いくつかの省庁、そして数十人のターリバーン高官によって施行されている。ハイバトゥラーはカンダハールのターリバーン高官に対し、ソーシャルメディアに自分たちの写真や動画を投稿することを明確に禁止している。この法律の第17条は「生き物」の写真や動画の撮影を禁止しているが、ハッカーニ・ネットワークはこの規則を無視してオンラインで活動を続けている。

シラージュッディン・ハッカーニは自分の名前が米国のブラックリストに載ったと知りうれしかったとパシュトー語で語ったが、ハッカーニ・ネットワークのオンライン支持者は、それをよく口にし、米国に対する彼の聖戦の正当性と解釈している。

2022年3月の演説で、シラージュッディン・ハッカーニは、過去15年間に自爆攻撃を実行したハッカーニ・ネットワークのメンバーはたかだか1050人であり、同グループ内のさらに数千人が同様の攻撃を実行する準備ができていると発表した。

現在、シラージュッディン・ハッカーニは米国にとって依然として最優先のターゲットであり、FBIは同氏の逮捕につながる情報に対して当初の500万ドルから増額して1000万ドルの報奨金を出している。FBIのウェブサイトではハッカーニを「国際テロリスト」として挙げている。

多くのアフガニスタン国民は、ターリバーンを「善と悪」の2つの派閥に分類するのは危険な誤りであり、過去にはターリバーン支配下でアフガニスタンが没落する原因となったと警告している。彼らは、ターリバーンのメンバー全員が女性蔑視の思想と権威主義的価値観を共有していると主張する。ターリバーンが国内に存在する限り、戦いと抵抗は続くべきだと主張する。ターリバーン支配下では平和、正義、平等、自由への道は見えないからだ。

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