アフガニスタン史小景
悠久の十字路から共和国の誕生まで

著者:アブドゥル・ハミド・ムータット(Abdul Hamid Muhtat)
(アフガニスタン共和国最後の副大統領)

発行:バルマキッズ・プレス(Barmakids Press)(原本はココ)

 

2025年11月5日

(WAJ:  カナダ・トロント市を本拠とするキッズ・プレス社が本年7月に発行した、アフガニスタン共和国最後の副大統領であるアブドゥル・ハミド・ムータット氏の新著『アフガニスタン史小景』の全文を7回連載で翻訳・紹介する。原書は米Amazonサイトで購入可能。

本書刊行の目的を著者はその序文で次のように述べている。

現在「アフガニスタン」と呼ばれるこの国の歴史は悠久にわたり豊かである。しかし近代においては、その真の遺産は歪曲、狂信、教条主義、宗教的原理主義に覆い隠され、時にメディアによってさらに増幅されてきた。この半世紀、共和国の理念と志は守られず、祖国は暗黒時代へ逆戻りするかのような道を歩んできたことに私は痛みを覚える。

著者はアフガニスタンが王制から共和制に移行した1973年のダーウード政変に現役将校として関り郵政通信相を務めるもダーウード大統領との意見対立により74年に解任、その後4年間自宅軟禁処分を受けるが、78年の4月革命を支えた彼は同年6月、駐日特命全権大使として日本に赴任する。そして87年春までの9年近く駐日大使としての任務を継続し、帰国する。帰国後は副首相、副大統領として反政府勢力との国民和解やソ連軍撤退の難しい任務に携わった。その間の活動は『わが政府 かく崩壊せり(Why Did We Collapse?)』(バルマキッズ社、2018年刊)で詳述されている。副首相時代には、土本典昭監督ほかによる日本アフガニスタン合作記録映画よみがえれ カレーズを全面的にバックアップし、その完成を支えた。

1992年のアフガニスタン共和国の崩壊時には、逃亡した大統領に代わり、副大統領としてムジャヒディーンへの合法的な権力移行を実現させた。そのいきさつも前掲書で詳しく語られている。

氏はこの歴史書を歴史学者としてではなく、アフガニスタンの共和国の歴史をつくった当事者としての、そしてまた現在の混迷につながる歴史の当事者としての立場からアフガニスタンの数千年に及ぶ悠久の歴史を振り返り、アフガニスタンが不屈の勇気をもって現在の混迷を乗り越える道を指し示す。)

【連載第1回 総目次、序文、第1章】 ← クリックすればpdfファイルが開きます。