Three Years of Taliban Rule: Afghanistan’s Despair and the Shame of Its Supporters

 

(WAJ: 本稿は、ターリバーンの再登場3周年を機に本サイトのアフガンサイド主筆であるファテー・サミが、これまで本サイトに書き続けてきた、ターリバーンの再支配とそれが3年も続いたことの総括を行い、今後の前進のための戦略的提言を覚書的に書きつけたものである。それらは、これからの論評の見取り図を示すものでもあろう。ますますの健筆を期待したい。なおサミ氏がこの間、本サイトに執筆した論説のすべては「ファテー・サミ執筆記事一覧」で閲読できる。)

 

ファテー・サミ(本サイト・アフガン主筆)
2024年9月2日

ターリバーンの暗躍: 地政学的策略、西側の失敗、そして自由への闘い

はじめに

テロ集団ターリバーンがアフガニスタンを掌握してから3年が経過した。ここに至るアフガニスタンの推移は、外国勢力、特に米国とパキスタンの地政学的、戦略的な意図と一致している。妥協、歴史的裏切り、そしてジョン・ケリー(訳注:米国務長官)の後ろ盾でアシュラフ・ガニーが大統領に就任した2014年の不正選挙によって促進され、アフガニスタンはパキスタンの影響下で荒廃してしまった。自由、正義、独立の約束は消滅し、ターリバーンの暗く中世的な支配に取って代わられ、外国勢力が公言する民主主義の理想とは明らかコントラストをなしている。

<参考記事> 2014年大統領選挙とケリーの調停
https://jp.reuters.com/article/world/an-embrace-and-a-handshake-how-john-kerry-brokered-peace-between-afghan-rivals-idUSKBN0FI0RI/

 

ターリバーン支配下の状況

ターリバーン支配下にあるアフガニスタンは、依然として中世的な統治システムに囚われている。この体制は、カーブルでアメリカの支援を受けた団体に支えられており、犯罪とテロによって血に染まった国家を生み出している。地政学的戦略と歴史的裏切りによって引き起こされたターリバーンの台頭は、民主的介入によって約束された進歩を覆し、政治的、経済的、文化的混乱の遺産を残した。ターリバーンの支配は厳しい抑圧によって特徴付けられ、見かけ上の安定は冷酷な戦術によって維持されている。にもかかわらず、根深い不満はくすぶり続け、潜在的な不安や抵抗の可能性を示唆している。

 

西側諸国の役割と現在の危機

20年もの間、アメリカの指導の下、西側勢力はアフガニスタン国民とその同盟国を欺き、ターリバーンの台頭を許すような状況を作り出してきた。当初はテロと闘い、ターリバーンの暗黒イデオロギーを解体するためにアフガニスタンに進出したこれらの勢力は、今ではかつて敵対したグループと手を組むという矛盾した立場にある。この皮肉は、彼らの任務の失敗と、戦略的目的のためのアフガニスタンの搾取を強めている。ターリバーンの統治は世界的な紛争の戦場となり、テロリズムを積極的に支援し、国家を抑圧の中にさらに根付かせている。

 

ターリバーンの統治とその影響

ターリバーンの支配により、アフガニスタンは世界紛争のホットスポットとなった。彼らの統治は腐敗、孤立、深刻な退行によって特徴づけられる。国際関係は悪化し、知識人は逃亡し、女性の権利と教育の機会は著しく制限されている。恐怖と暴力に依存する政権は、民主主義の展望を阻害し、抑圧を永続させている。ターリバーンの蛮行は、子ども、女性、高齢者を含むアフガニスタン社会のあらゆる層に及んでおり、進歩を逆行させ、国をさらなる暗闇に陥れている。

 

前進のための戦略的提言

アフガニスタンの危機に対処するためには、政治エリート、アナリスト、愛国者が団結して、アフガニスタン社会の多様な願望を反映した国家イデオロギーを作り上げることが極めて重要である。重要な行動には以下が含まれる:

・ターリバーンの蛮行を暴露し、国際的な注目を集めるための大規模なデモを組織すること。
・ターリバーンに対する世界的な支援を終わらせるために、政治的圧力をかけること。
・被抑圧者を擁護し、愛国心をもって正義のための運動を活性化すること。
・効果的で慎重な闘争方法によって、新しく生まれてくる勢力や女性運動を支援すること。
・努力をコーディネートし、国民的・愛国的団結を達成するために、「民族解放戦線」のような統一組織を設立すること。

 

結論

アフガニスタンの危機は、地政学的な策略と人道的観点の軽視がもたらす悲惨な結果を浮き彫りにしている。世界は、戦略的目的のためにテロ集団を支援することの重大な意味を認識し、自由と正義を求めるアフガン国民を支援するために断固とした行動をとらなければならない。世界的な失敗と政治的策略によって引き起こされたターリバーンの圧政は、希望を取り戻し、公正で自由なアフガニスタンへの道を開くために、世界的な統一的対応を必要としている。

 

米国への警告

米国は、ターリバーンのようなテロ集団への支援を避けなければならない。ターリバーンは、ベーナズィール・ブット元パキスタン首相在任中にISIの監視の下、パキスタンのテロ養成施設で育成された。このような支援は世界的な威信を損ない、人道的価値よりも戦略的利益を優先する政策の偽善を露呈する。自国の利益のためにテロを支援する者たちを、世界は注視し、歴史は厳しく裁くだろう。

 

外部要因

ターリバーンが3年間も持ちこたえたのは、ウクライナ紛争やパレスチナ人弾圧など、他の世界的な危機のせいでもある。これらの問題は注意と資源をそらし、不注意にもターリバーンの存続を許してしまった。国際紛争の相互関連性は、アフガニスタンの苦境に対する世界的な関心のシフトの影響を強調している。

 

記者あとがき

この記事を書いた私は政治アナリストで、カーブル・タイムズの元編集者です。国際介入が地域の安定に与える影響に関して広範に研究し、ターリバーンの統治、欧米の対外政策、そしてそれらが地域住民に及ぼす影響については、かねてより独自の分析を試みています。特色は、現地調査と歴史分析ですが、そこへ地政学的戦略という背景も加味しています。世界的な大国が紛争を生み出し、域内にある関係諸国の政治的景観におよぼす影響に関しては特に注視しています。

参考文献

1.書籍と学術論文

“The Great Gamble: The Soviet War in Afghanistan” by Gregory Feifer

“The Taliban’s War on Women” by Malala Yousafzai

“Afghanistan: The Soviet Invasion and the Afghan Response, 1979–1982” edited by Amin Saikal and Mohibul Haq

“The Bureaucracy of Rebellion: The Taliban’s Strategy of Insurrection” by Antonio Giustozzi

2,報告と分析

United Nations Reports on human rights and humanitarian conditions in Afghanistan

International Crisis Group Reports on the Taliban and Afghanistan’s geopolitical dynamics

Human Rights Watch Reports on the Taliban’s human rights abuses

3.新聞と雑誌の記事

Articles from The New York Times, The Guardian, The Washington Post, and Al Jazeera on the situation in Afghanistan and Taliban governance

Special reports and op-eds by Foreign Affairs and The Economist

4,政府とNGOの発表

U.S. State Department Reports on Afghanistan

Reports by Amnesty International on the Taliban’s treatment of women and human rights

World Bank and IMF Publications on the economic impact of international interventions in Afghanistan