Part 1: The Friends of the Taliban
(WAJ: アメリカとターリバーンが2020年に結んだドーハ合意のひとつに、アフガニスタンをテロの温床にしないとの合意事項があった。ターリバーンはその合意を守っていると主張しているが、実際には守られていない。2022年7月までアル=カーイダのトップリーダーであるアイマン・ザワヒリ(ザワーヒリー)はターリバーンの援助でカーブルの一等地の屋敷で生活していた。翌年6月には国連がアフガニスタン国内でテロ組織が息を吹き返している状況をレポートした。その前後アフガニスタン国内だけでなくパキスタン、イラン、ロシアなどでアフガニスタンを基地とするテロ組織の攻撃が発生している。ターリバーンを国家として承認する国家はないが、ターリバーンはデファクト・オーソリティ(事実上の政府)としての地位を築こうとしている。その危険性を以下、4回のシリーズでアフガニスタンの独立系メディアであるハシュテ・スブがレポートする。)
アモンプール (ハシュテ・スブ:アフガニスタンの独立系メディア)
2024年10月21日
はじめに
ターリバーンの敵と比べると、ターリバーンの友はより良い状況にある。それはごく普通で自然なことだ。ターリバーン首長国が権力を握ったことで、アフガニスタンは国内および国際テロ組織やネットワークの避難所となり、彼らは資源をフル活用して自らを成長させ、強化することができた。ターリバーンはこれらのテロ組織やネットワークを支援することで、世界から譲歩を強要する材料とする一方、他方では権力の座に留まるためにこれらのグループの活動的な存在に依存している。現在ターリバーンに対抗しているISISでさえ、ある意味ではターリバーンの権力維持に役立っている。したがって、ターリバーンはISISを排除するという強い決意を持っていない。ターリバーンのISIS根絶が本気だとしても、それは事実上不可能だ。しかし、ターリバーンの中には、ISISを破壊するどころか弱体化にさえまったく関心がなさそうな派閥がある。 ISISは、完全に消滅するよりも存続する方がターリバーンにとって利益となるプロジェクトだ。
カルザイおよびガニー政権の間、有力派閥はライバルを脇に追いやり、権力をより長く維持する目的でターリバーンを支援した。この致命的なゲームは最終的にガニー政権の不名誉な崩壊につながり、ターリバーンの第五列(訳注:裏切り者。この場合、政権内にいながら敵対するターリバーンに通じていた分子)を演じる者も、それに反対する者も、関係者全員に損害を与えた。このゲームの本質が致命的なのは、カーブルの現政権、またはその中の特定の派閥が懲りもせずまたそれを繰り返えすことだ。アフガニスタンのような腐敗した国では、腐敗以外には何も続かず、短期的な利益に駆り立てられた日和見主義的な政権が常に権力を握ってきた。このような混沌とした状況では、ほとんどの指導者は戦略的ビジョンを欠き、危機を自分たちの利益のために利用しようとする。現在進行中のゲームでは、ターリバーンとその仲間は同じ隊列の中の犯罪の共犯者であり保護者なのだ。ISIS または他のテロリスト集団が鎮圧されるのは、統制戦略を無視するか、それに挑戦した場合のみである。
ターリバーンがゲームをコントロールするようになった今、彼らは現在の混乱した状況から最も利益を得ている。このシナリオでは、ロシアやイランなどの状況が注目に値する。彼らはまだ、ターリバーンがISISとの戦いに真剣であるという愚かな妄想にとらわれ、したがってカーブルの政権を支援することが必要だと信じている。アメリカ人でさえ同じ幻想を抱き、ターリバーンがISISを含むテロリスト集団と戦っていると信じている。ジョー・バイデン米大統領は、アル=カーイダの鎮圧でターリバーンと協力したとさえ示唆し、アル=カーイダのネットワークは機能不全に陥り、もはや米国の権益を攻撃することはできないと主張した。しかし、国防総省はすぐにバイデンの主張を否定し、それ以前には、国連安全保障理事会の複数の報告書が、アル=カーイダがターリバーンの全面的な支援を受けて大幅に強化していることを正確に示していた。数回に分けて掲載されるこの記事では、ターリバーンの友好国の現状と、アフガニスタンにおけるテロリスト集団間の協力強化の結果について簡潔に検討する。
アル=カーイダ ネットワーク
アル=カーイダネットワークは、ソ連軍がアフガニスタンから撤退し、同国でのジハードが終焉を迎える1年前の1988年にオサマ・ビン・ラーディンによって設立された。ソ連が敗北寸前だった時期にアル=カーイダが設立されたことは、世界ジハードの指導者たちが念頭に置いていたより大きな計画を示している。このテロリストネットワークの指導者によると、アフガニスタンのジハードは世界ジハードの第一段階であり、イスラム過激派が自らの能力と可能性を試すための試運転だった。アフガニスタンでのソ連の敗北後、ビン・ラーディンの後継者となったアイマン・アル・ザワヒリは次のように述べた。「ソ連との戦いは、イスラームのムジャヒディーンを新たな世界大国である米国との戦いに備えさせる教育段階だった。さらに、アラブ、パキスタン、トルコ、中央アジア、東アジアのムスリムは、アフガニスタンにおけるイスラームの敵に対するジハードで、互いに協力して戦う機会を提供された。」世界ジハード計画の管理者は、その使命を継続するために、テロが自由に増殖できる開かれた育成場と自由な空間を必要としていた。
アフガニスタンにおけるソ連の崩壊により、ウサーマ・ビン・ラーディンとアイマン・アル・ザワヒリは、この国を新世代のジハード主義者の育成地のひとつとみなした。ターリバーンの台頭により、彼らはこの目標を達成し、アフガニスタンをこの地域のテロの中心地に変えた。しかし、2001年の米国のアフガニスタン侵攻により、世界ジハードの計画は中断され、テロの地理的変化を招いた。それにもかかわらず、ジハード主義者の成長と再生産に有利な条件を備えたイスラム教の国であるアフガニスタンは、イスラム主義者の照準から外れることはない。テロリストは、アフガニスタンに戻るあらゆる機会を利用してきた。ターリバーンが国を支配している今、アル=カーイダやその他のテロリスト集団は、アフガニスタンにテロの育成地を確立するという未完のプロジェクトを完遂しようと奮闘している。
信頼できる報告によると、現在アフガニスタンにはアル=カーイダ戦闘員300名とその家族約2000名が滞在している。国連安全保障理事会は、このネットワークがヘルマンド、ナンガルハール、バードギース、ザーブル、ヌーリスターンに訓練基地を設置していると報告している。アル=カーイダのメンバーはターリバーンの顧問を務めており、ターリバーン政権内で重要な地位に就いている者もいる。アル=カーイダの指導者アイマン・アル・ザワヒリはカーブルで殺害されたが (おそらくハッカーニ・ネットワークとの対立でカンダハリ・ターリバーンから提供された情報によるものと思われる)、アル=カーイダとターリバーンの関係は強固で永続的なままである。ターリバーンからアル=カーイダに対する敵意を示す具体的な行動は何も起こっていない。このグループはアル=カーイダと衝突したことはなく、常にイデオロギー上の同盟者として、さまざまな州でアル=カーイダに安全な避難場所を提供してきた。