Part 5: The Friends of the Taliban
(WAJ: ケシ栽培に関してはターリバーンの禁止令や撲滅キャンペーン(https://webafghan.jp/topics/#20240513)などで一時的に減少したが再び増加の傾向を示している(https://webafghan.jp/topics/#20241128)。そもそもケシは医薬品であるモルヒネの原料であり、歴代政府による合法的な栽培もおこなわれていた。問題にされるべきは反社会的な違法栽培・密売である。国連はケシやアヘンの非合法栽培・製造を止めさせるべくターリバーンと協議しているがうまくいっていない。それはなぜか。本論考が指摘するようにターリバーンそのものが麻薬密売組織に支援されてできた組織だからだ。麻薬製造も記事中にあるように合成薬物(メタンフェタミン)の生産へと変化してきている。政治的経済的社会的にも依然として目を離せない問題である。)
2024年10月21日
アモンプール:ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア)
麻薬の栽培、生産、密売は、米国率いる西側諸国の軍隊がアフガニスタンに駐留していた20年間を通じて、ターリバーンの戦争予算の主な資金源のひとつであった。その結果、麻薬の栽培、生産、密売の増加は、暴力の激化やテロの蔓延と不可分の関係にある。アフガニスタンで最もアヘンを生産していた州は、国内で最も治安の悪い地域だった。前政権の治安機関の消極的な活動と司法制度への汚職の浸透は、麻薬撲滅キャンペーンに悪影響を及ぼした。麻薬の栽培、生産、密売の年間増加は、前政権には麻薬と効果的に戦う意志と能力の両方が欠けていたことを示している。ケシ畑の根絶(包括的でも体系的でもない、ほとんどが象徴的な取り組み)と下級麻薬マフィア密売人の逮捕は、前政権が時折講じた唯一の措置だった。麻薬密売容疑で逮捕された人々の大半は、政府内に影響力のある保護者がいなかった。
諜報機関に麻薬密売幹部が潜入していた可能性が高く、これが麻薬取引業者の隠蔽に役立った。一部の地域では、「麻薬密売撲滅」の責任者自身が、麻薬取引や密売業者からの恐喝に関与したとして告発されていた。麻薬密売人は多額の資金を自由に使えるため、実質的にその地域を支配しており、政府当局者は、たとえ彼らと対決する勇気があったとしても、彼らに対抗する力を欠いていた。政府が存在する地域では、これらの人物が主要な意思決定者として直接的および間接的な影響力を行使した。前政権の当局者が認めたように、多くの主要な麻薬密売人は国家機構の一部であり、この地位を利用して麻薬密売を促進していた。密売は蔓延していたが、主な容疑者に対する「告発を証明する確固たる証拠」はなかった。
現在、ターリバーン政権下で状況は悪化している。西洋諸国の支援を受けた政府の下で、麻薬の栽培、生産、密売を戦争資金源として頼りにしていた者たちが、今やアフガニスタンを支配している。麻薬の栽培、生産、密売を禁止するというターリバーン当局の主張とは裏腹に、麻薬密売の継続的な増加に関する信頼できる世界的報告や近隣諸国当局の声明は、ムッラー・ハイバトゥラー(訳注:ターリバーンの最高指導者)が法令で公式に禁止したケシ栽培さえも増加していることを示している。麻薬密売人の中には首尾良く統治する側についた者も、ターリバーンの長年の同盟者として、前政権下ではアクセスできなかった特権や資源を享受している者もいる。麻薬密売人と結びつき、彼らを支援する政権が麻薬と戦うことを期待できるだろうか?
国連薬物犯罪事務所の報告によると、ターリバーン政権の発足以来、アフガニスタンでは伝統的な麻薬の生産が増加しただけでなく(最近の報告ではケシ栽培が19%増加したと報告されている)、合成薬物(メタンフェタミン)の生産も増加している。これらの報告は、ケシ栽培やアヘン生産に比べて、メタンフェタミン生産が新しく、より収益性の高い手段であることを明らかにしている。国連の専門家によると、「この種の薬物を生産するためには、何かが生育するのを待つ必要はありません。農地は不要で、料理人と知識があれば十分です。ラボは移動可能で人目につかない場所です。世界最大のメタンフェタミン生産国であるミャンマーとメキシコには見られない植物マオウも、アフガニスタンにはあります。この植物の栽培はアフガニスタンでは合法であり、どこでも育ちますが、大量に栽培する必要があります。」このように、ターリバーンは麻薬の栽培、生産、密売から莫大な利益を得てきた豊富な経験があり、この有利な資金源を放棄する可能性は低い。
アフガニスタンでは、麻薬の栽培、生産、密売は最も利益の出る産業のひとつであり、かつては他の作物を栽培していた農民がケシ栽培に転向するきっかけとなった。これは、ケシ栽培が他の農産物よりもはるかに利益率が高いためである。言い換えれば、ケシ栽培はアフガニスタンの農業生産の重要な構成要素となり、栽培、生産、密売に多くの人々を雇用している。アフガニスタンの家庭の貧困が深刻化するにつれ、毎年、より多くの人々がこの産業に駆り立てられている。
ターリバーンが政権に復帰したことで、アフガニスタンおよび周辺地域での麻薬密売が拡大し、ターリバーンの長年の同盟者である密売人の力がさらに強まった。そのため、「麻薬戦争」は、前政権下であろうとターリバーン政権下であろうと、大部分が誤解を招くプロパガンダ作戦のままであり、幅広い宣伝と公式声明にもかかわらず、散発的でおざなりな努力、井戸端会議、時間の無駄な取り組みに過ぎず、何ら良い結果は得られていない。