Internal Purge of the Taliban: “Murderers” at the Helm, Fighters Warn of Chaos
(WAJ: ターリバーンが権力の座に復権して3年4カ月。その間、ターリバーンは「部隊浄化」と称する組織の粛清をつづけてきたが、最近になって組織内部の意見の総意や内部規律のたるみが外部にも知られるようになってきた。有力な反対派が存在していない現実の反映でもあるだろうが、国民のあいだにターリバーンの独裁に対する不満や怨嗟の声も蓄積されている。シリアにおけるアサド政権崩壊に際するターリバーンの反応などにその兆候が見られる。)
2024年12月9日
モハンマド・モハンマド(ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア))
アフガニスタンを制圧した後、ターリバーンは「部隊浄化委員会」を結成した。この委員会は、ターリバーンの指揮官や戦闘員の経歴を「殺害、メンバーとしての在籍期間、戦闘歴」に基づいて評価し、それに応じて任務や権限を割り当てる。しかし、ある報告書の示すところによると、この委員会は内部紛争や民族紛争に悩まされている。多くの非パシュトゥーン系ターリバーン戦闘員は、自分たちへの決定は言語、民族、居住地、グループ幹部とのつながりに大きく影響されていると主張している。
<参考記事>
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/taliban-purge-people-bad-character-ranks-2021-11-23/
https://www.khaama.com/over-2500-taliban-affiliates-dissociated-over-misdemeanor/
ターリバーンは、部隊の合理化と指揮官や戦闘員の経歴の審査を行い、彼らの兵士適性を見極めるためにこの委員会を設立した。しかし、ハシュテ・スブ・デイリー(訳注:本記事を報道しているアフガニスタンの独立系メディア)の報道によると、アフガニスタン西部で活動するこの委員会は内部紛争に巻き込まれているという。パシュトゥーン人ではないターリバーン指揮官の何人かは、この委員会が民族的および言語的偏見を持っていると非難している。
その報道によると、多くのターリバーンの指揮官や戦闘員が部隊浄化委員会に不満を抱いており、このような慣行が続けば、さまざまな州で反乱や混乱を引き起こす可能性があると彼らは警告している。
アフガニスタン西部の主要都市ヘラートでは、歴史的に見て、前政権下で地元のターリバーン司令官らがテロ活動に大きく関与してきた。これらの人物たちは、近隣の州の陥落にも重要な役割を果たした。
ハシュテ・スブ・デイリーが入手した音声クリップには、地元のターリバーン司令官「サキ・クランギ」がターリバーンの部隊浄化委員会に対する不満を表明している。彼は、この状況が続くと混乱が生じ、部隊から離脱する可能性があると警告している。
音声では、サキ・クランギは、ヘラート州の委員会のボスは「殺人者」であり、同委員会の一般的な恩赦方針にもかかわらず、インジル地区で少なくとも3人の女性を殺害したと主張している。クランギは、「カリ・ズバイル」という人物が彼の浄化証明を出し渋っていると非難し、問題が解決しない場合はヘラートで混乱を起こすと警告している。
クランギは音声でこう述べている。「アフガニスタンの大臣、代表者、ムジャヒディーン(ターリバーン戦闘員)、特にヘラートにいるすべての人々にご挨拶申し上げます。この同じカリ・ズバイルです。(ハイバトゥッラー・アフンザダの)命令に従っていると逃げを打つ彼に私たちは満足できません。彼は恩赦を無視し、3人を殺害した責任があります。」クランギは続けてこう述べている。「私はインジルの司令官でしたが、このカリ・ズバイルはそこで3人を殺害しました。彼は3人の女性を殺害しました。彼女らの役割は何でしたか? 彼女らは何をしましたか? 今、この男(カリ・ズバイル)は3人の殺人者です。」
クランギは、ターリバーンがヘラートの浄化委員会の責任者に殺人犯を任命したと主張している。彼は「もし彼が殺人犯でないなら、私を連行してください、そうすれば、私は彼に対して証明します」と強調している。
地元司令官はさらに、委員会のボスに対する殺人容疑が立証されなければ、グループを脱退し、公的生活から身を引く用意があると主張している。また、浄化証明書のほとんどは速やかに処理されるのに、彼への証明書は1年以上も棚ざらしにされていると付け加えた。
「この男は祈りのためにファラー州に行き、午前のうちにヘルマンド州を訪れ、夕方にヘラート州に戻ります」とクランギは言う。「彼は1年半のあいだ私の浄化証明書を出し渋っています。なぜ私に渡さないのでしょう? 私はムジャヒディスト(ターリバーン)ではないのですか?」
録音の別の部分でクランギは、カリ・ズバイルが姿を現さなければ、ヘラートで騒乱を巻き起こすと警告している。「今、君たちに言います。この人物に止めるよう言いなさい。さもないと、ヘラートにいるムジャヒディーン(ターリバーン)全員が同じように扱われることになります。私はここで混乱を引き起こします。私は何かやるつもりです。」
ヘラートの情報筋は、地元のターリバーン司令官であるサキ・クランギが前政権時代にグザラ、インジル、パシュトゥーン・ザルグン、ジンダ・ジャンの各地区でテロ活動に関与していたことを確認している。
一方、ゴール州やバードギース州を含む西部の州で撮影されたビデオ映像には、不満が広がる中、ターリバーン戦闘員らが部隊浄化委員会を嘲笑する様子が映し出されている。
バードギース州で撮影されたとされるビデオの1つでは、ターリバーン戦闘員の一団が部屋に集まり、浄化の儀式を風刺している。戦闘員たちは「ほうき、棒、ティーポット、水差し、黄色い樽」などの道具を手に持ち、うやうやしく書類に署名したり判を押したりして、仲間の戦闘員の1人が浄化の儀式を完了するのを真似している。