Afghanistan’s Crisis at the Third Doha Summit: Alarming Signs for the Future 

 

鉱物の搾取、女性問題、人道問題、国連が無力な中でのイラン、ロシアとの地政学的ダイナミクスを検証する

 

(WAJ: 先ごろドーハで開催された国連サミットは、アフガニスタンの深刻化する危機への対処を目指したが、その成果は期待を下回るものであった。本報告書は、アフガニスタンの声が排除され、世界と域内の大国間の戦略的対立が根強い中、国連がアフガニスタンの危機を乗り切る上で直面した複雑さと課題を検証する。なおサミ氏がこの間、本サイトに執筆した論説のすべては「ファテー・サミ執筆記事一覧」で読むことができる。通読すれば氏の鋭く的確な慧眼ぶりに驚かれることだろう。)

 

By Fateh Sami   2024年7月7日
ファテー・サミ(本サイト・アフガン主筆)

<はじめに>

アフガニスタンは悲劇的なことに、イラン、ロシア、中国といった域内のライバルとともに、アメリカ、イギリス、パキスタン、サウジアラビアといった世界的な大国が影響力を争う戦場となっている。この地政学的競争は、過去45年にわたって壊滅的な結果をもたらし、パキスタンはアメリカとその同盟国の支援を受けながら、アフガニスタンの混乱を悪化させる上で極めて重要な役割を果たしてきた。
テロリズムの温床であると同時に、この地域の戦略的同盟国でもあるパキスタンの二重の役割は、大国間の対立によって形成された複雑な政治的状況を浮き彫りにしている。

域内の力学がもたらす外交的一触即発

戦略的な対立が根強い中、ターリバーンやさまざまな域内勢力との関係をうまく取り持つことは、国際連合がアフガニスタンで直面する難しい綱渡りだ。国際連合アフガニスタン支援団(UNAMA)は、利害が対立し、歴史的な複雑さもある中で、仲介に努めているが、その進展は遅々として進まず、論争も絶えない。

そこへ今回のドーハ・サミットである。期待できるどころか、アフガニスタンの将来を左右する重要な決定からアフガン国民を遠ざけているとの批判を受けてきた。実際の所、アフガニスタンは世界の大国と域内における彼らのライバルたちが影響力を競い合う遊び場なのだ。この戦略的対立は半世紀近くにわたって悲惨な結果をもたらした。中でもパキスタンはアメリカとその同盟国に助けられ、アフガン市民に取り返しのつかない被害をもたらした。テロリズムの拠点であると同時に、アメリカや中国といった大国の緊密な同盟国でもあるパキスタンのあいまいな姿勢は、不安定な域内力学を浮き彫りにしている。さらに、インドと中国の長年の対立が政治的状況をさらに複雑にしており、アフガニスタンとその国民が直面する課題を増幅させている。

 

国連の役割と欧米の影響力:国連批判と人権問題

批評家たちは、国連がアフガニスタンの脆弱な人々、特に女性や少数民族の保護に対して効果的な手を打てていないと主張している。ドーハでの重要な討議の場からアフガン国民、特に女性が排除されたことで、民主的価値と人権に対する国連の姿勢により広範な批判が集まり、ガザ・パレスチナの紛争地帯と同じく手の出しようがない。

アフガニスタンにおける国連のアジェンダは、表向きは環境、麻薬、人道問題に焦点を当てているが、その根底にある明かな狙いは、欧米主導で特別代表を任命しようとする策動である。これは米国の戦略的利益を優先するもので、国連の公平性と、アフガニスタンの内部紛争に自律的に対処する能力に疑問を投げかけている。

<参考記事>
https://www.aljazeera.com/news/2024/7/1/what-to-expect-as-taliban-joins-third-un-held-talks-on-afghanistan-in-qatar

 

財政支援の戦略的側面

米国によるターリバーンへの財政支援は1週間あたり4000万ドルと推定され、倫理的に重大な懸念を引き起こしている。この財政支援は米国の戦略そのもので、アフガニスタンのような戦禍に苦しむ国々において人権を促進し、テロと戦い、民主主義を育成するという主張を吹き飛す。このような力業は、国家をいわゆる「泥棒政治」という状況に陥れ、知られざる陰の指導者に操らせる。人権と民主主義を求める声を背景にこうした米国による資金提供が大手を振ってなされているが、アフガニスタンへの国際支援の背後にある真の狙いについては、深刻な疑問が生じている。

結論

第3回ドーハ会合は、前会合と同様、具体的な成果を得られないまま終わる危険性がある。アフガニスタンの危機をうまく乗り越えようともがき続ける国際連合だが、公平な紛争解決を目指すならば課題はますます広範化する。世界と域内の力学によって、その試みがますます難しくなるなか、アフガニスタンの女性やその他の弱者の苦境に対処するためには、まず現状を今すぐしっかりと見据えねばならない。そこでは人権侵害が地政学的な駆け引きのもと続けられているのだ。

アフガニスタンでは、外的要因による政治的駆け引きが、国民、特に女性に壊滅的な結果をもたらしている。根深い対立と戦略的利害が作用しているため、アフガニスタンの長年の危機に対する持続可能な解決策を見出すためには、すべての関係国が一致団結して努力する必要がある。