Global Inaction Amid Taliban Oppression of Afghan Women: Silent Betrayal, Hypocrisy and Human Rights

 

(WAJ: 中国やロシアはすでにターリバーンに取り入る姿勢を鮮明にしてきた。さらに中央アジア諸国も、ISホラーサーンなどの攻撃にさらされ、それと対抗するためターリバーンに接近している。2020年のドーハ合意でアフガニスタンを実質的にターリバーンに引き渡したアメリカは、「オーバー・ザ・ホライズン」(遠隔操作)作戦と称してターリバーンを財政的にも支援しアフガニスタンへの干渉を継続している。一方国連は女性の人権を踏みにじるターリバーンを口では厳しく批判しながら、常任理事国らの意向を踏まえてか、ターリバーンへの優柔不断な姿勢を取っている。国連はアフガニスタンにおいてもますます信用を落としている。アフガン女性の権利と自由を確実に回復するための即時かつ協調的な行動は世界的な課題だ。なおサミ氏がこの間、本サイトに執筆した論説のすべては「ファテー・サミ執筆記事一覧」でお読みいただけます。)

 

By Fateh Sami   2024年7月16日
ファテー・サミ(本サイト・アフガン主筆)

はじめに

ドーハでの和平交渉を装った組織的な企みにより、2021年8月15日に米国とその同盟国によってターリバーンが政権の座に復帰した。以来、アフガニスタンは特に女性と少数民族に対する厳しい弾圧に直面している。国際社会は、表向きには重大な人権侵害を理由に、ターリバーン政権を公式に承認することを控えている。教育と雇用において大きな進歩を遂げ始めた女性たちは、権利が剥奪され、生活が家庭内に限定されるのを目の当たりにした。世界的な抗議と人権擁護の約束にもかかわらず、多くの強国や近隣諸国は消極的な姿勢をとり、アフガニスタン女性の悲惨な状況を無視しターリバーンと秘密裏に取引を行っている。この記事では、女性に対するターリバーンの抑圧的な政策、国際社会の偽善的な姿勢、そしてこれらの残虐行為に対して断固たる行動をとらなかった国連と人権団体の役割を批判的に検証する。

ターリバーン支配下のアフガニスタン女性の窮状

2021年8月15日に米国とその同盟国によってターリバーンが政権復帰させられて以来、アフガニスタンに対する影響、特に女性に対する影響は壊滅的となっている。国際社会はターリバーンを正式に承認していないが、その主な理由は女性や民族に対する差別政策である。この非承認は、ターリバーンの行動、特に女性に対する過酷な扱いに対する世界的な不承認を反映している。その結果、アフガニスタン人口の半数が公的生活から排除され、自宅に閉じ込められ、事実上国内に投獄されている。

国際社会が人権を守ると主張しているにもかかわらず、多くの国はこの悲劇を傍観している。一方では中国、ロシア、イラン、そしてある程度はインドなどの国々が、他方では米国、英国、パキスタンとその同盟国、サウジアラビアなどの国々がターリバーンと秘密裏に取引を行ってきた。ターリバーンによる、特に女性に対するあからさまな人権侵害にもかかわらず、こうした裏工作は続けられてきた。アフガニスタンの女性は働く権利や初等教育より先の教育を受ける権利を剥奪され、途方もない規模の社会的後退を強いられている。

ターリバーンの統治下では、女性は近親者の男性の同伴なしに家を出ることができないが、この政策は経済的、社会的に悲惨な結果をもたらす。この非人道的な制限により女性は働くことを妨げられ、特に女性が主な稼ぎ手である場合には、家族の必要を満たせない。女性は生産的な仕事への参加を禁じられているため、社会的、経済的困難に直面している。この禁止は教育にも及び、女性は大学や高校への入学を拒否されている。社会の最も貧しい層に属する農村地域の女性にとって、状況は特に悲惨だ。

厳しい気候条件、洪水、地震などの自然災害がアフガニスタン女性の窮状を悪化させ、壊滅的な状況に追い込んでいる。首切りにあった政府職員や各種の専門職についていた者たち、たとえば教員たちは退職金を受け取っておらず、失職した個人事業主は言うまでもない。ターリバーン政権は小学校教師の給与さえ削減し、多くの家庭の経済的安定をさらに圧迫している。

パキスタン政府による最近の行動、特にアフガニスタン難民の強制送還は、メディアの大きな注目を集めている。国際移住機関(IOM)によると、アフガニスタンからパキスタンに逃れた難民と亡命希望者の約80%が女性と子供だ。この強制移住は、アフガニスタン女性が直面しているすでに悲惨な状況をさらに複雑にしている。

世界食料計画職員のフィリップ・クロフト氏によると、「アフガニスタンは危機に瀕しており、最も弱い立場にある女性や子供たちは市場に出回っている食料を手に入れることができない。現在、危機的飢餓状況の影響を最も受けているのは女性と少女である。」この国連機関によると、1530万人が深刻な食糧不安に陥っており、その中の特に350万人が緊急レベルの食糧不安に直面しているという。女性はもう給料をもらっていない。彼女らは家の外で仕事を見つけることができない。彼女らにとって食料や生活必需品を買うのは非常に困難だ。彼女ら、特に未亡人の場合、自分自身と子供たちの面倒を見る機会はほとんど残されていない。

アフガニスタンではなんと2350万人が飢餓に苦しみながら暮らしており、人口の69%が安全な飲料水にアクセスできない。女性に課せられた厳しい制限は、この国の経済停滞を深刻化させるだけだ。国際メディアは時折アフガニスタンの女性や少女の窮状を強調するが、国内メディアは沈黙するか、ターリバーン政権への服従を強いられている。虐待や女性の権利侵害は、ほとんど報告されない。しかし、6月10日に発表された国連女性機関の報告書(訳注:https://www.unwomen-nc.jp/?p=4189は、ターリバーンが政権を握って以来、アフガニスタンにおける女性と少女の抑圧が前例のないレベルに達していることを強調した。

繰り返すが、女性の社会参加を禁止することは、アフガニスタンの経済発展に深刻な影響を与える恐れがある。ターリバーンの容赦ない弾圧は、女性が運営するビジネスの収益性に影響を与えている。経験が示すように、法律、民主主義、恒久的な平和は、国の人口の半分を占める女性の社会参加なしには達成できない。国際社会は、ターリバーンが女性や他の民族に課している残忍な差別行為に対して断固として立ち向かうべき時が来ている。

世界中に散らばったアフガン女性は、国際社会が女性の権利よりもターリバーンとの関わりを優先していると繰り返し批判してきた。彼女らは、世界の大国がアフガン女性の権利や民主主義よりも自らの都合を優先していると主張している。域内諸国がアフガニスタンにおける女性の権利に取り組むことに消極的であることにも問題がある。しぶしぶであっても、域内の国の要人がこの問題に直接、公式に最後に言及したのはいつだったか?  域内の特に大国は潜在的にターリバーンに対して多大な影響力を持っているが、自らの利益を確保したいという熱意が勝って、ターリバーンの支配へ恐る恐る服従している。

3年間にわたる協議と対話はほとんど成果を上げず、ターリバーンを勇気づけた。女性問題に対する世界的な無関心がターリバーンの重大な政治的勝利につながった。これはアフガニスタンの女性だけでなく世界中の女性に対する裏切りとみなされる行為だ。アフガニスタンの女性と少女に対する制限の問題は国境を越え、過激主義を強化し、域内の治安悪化と不安定化の基礎を築いている。

アフガニスタンの女性と少女たちは、ターリバーンが自分たちの現状を改善するだろうとは思っていない。彼女らは国際社会に対し、広範な政府が女性の権利を含む国民全体を代表しない限り、ターリバーンを承認しないよう求めている。女性と少女に課せられる制限や非人道的で差別的な規制、政策、法律は直ちに削除されるべきだ。アフガン女性の権利と自由を擁護し、彼女たちの声が届けられ、権利が回復されるようにする上で、国際社会の役割は極めて重要だ。

結論

抑圧的なターリバーン政権は、アフガン女性を絶滅の危機に追い込み、基本的権利を剥奪し、自宅に監禁した。世界的な抗議と人権擁護の約束にもかかわらず、多くの強国や近隣諸国は消極的な姿勢をとり、アフガン女性の悲惨な状況を無視しターリバーンと秘密裏に取引を行っている。国連や人権団体を含む国際社会はターリバーンに対して断固たる行動をとれていない。これらの残虐行為に対して断固として立ち向かう代わりに、彼らはアフガン女性の苦しみに目をつぶって、政権との政治的・経済的交渉に参加することを選択した。この不作為は、自分たちの差別行動が重大な結果に直面しないことを知らしめ、ターリバーンを勇気づけた。国連が人権義務を執行できないことと、世界大国が人権よりも戦略的利益を優先したことが、アフガン女性への裏切りをもたらした。彼女たちの窮状は単なる域内問題ではない。これは世界的な課題である。彼女たちの権利と自由を確実に回復するための即時かつ協調的な行動が求められている。そのことを世界は認識しなければならない。

アフガニスタンで女性に課せられた残酷な制限は広く非難され、既存の人権規範への違反と見なされている。こうした非難の矛先は、ターリバーン政権の野蛮な行為には目をつぶりながら、ターリバーンと秘密裏に取引を行う国々の偽善的な姿勢へと向かっている。中国や米国などの国々は、アフガニスタン国民の幸福よりも自国の利益を優先して、アフガニスタン固有の鉱物採掘に秘密裏に関与している。それらは、ターリバーン政権を承認するか否かにかかわらず、アフガニスタン国民の福祉にプラスの影響は何もなかった。現在、アフガニスタンは死骸のようであり、世界中のハイエナどもがアフガン人の犠牲を喜び、その資源を貪欲に搾取している。

 

<参考文献>

1. 国連女性機関、2022年、「アフガニスタンの女性の状況」
https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2023/08/women-in-afghanistan-from-almost-everywhere-to-almost-nowhere
2. 国際移住機関 (IOM)、2023年、「アフガニスタンにおける避難と移住」
https://www.iom.int/countries/afghanistan
3. 世界食糧計画(WFP)、 2023年、「アフガニスタンの食糧不安」
https://www.wfp.org/countries/afghanistan
4. ヒューマン・ライツ・ウォッチ、 2022年、 「アフガニスタン:ターリバーンによる女性虐待」
https://www.hrw.org/world-report/2022/country-chapters/afghanistan
5. アムネスティ・インターナショナル、2023年、 「アフガニスタン:ターリバーン支配下の人権侵害
https://www.hrw.org/world-report/2023/country-chapters/afghanistan-0#:~:text=Taliban%20authorities%20cracked%20down%20further,the%20former%20government’s%20security%20forces.