Trump’s Peace Council: An Alternative to the United Nations or Its Rival?

(WAJ: イスラエルによるガザの破壊戦争の後の再興を目指すための評議会が、いつのまにか世界の紛争を処理するための機関にされつつある。しかもその議長はトランプ米議長の終身制。この理不尽なあり方に対して、アフガニスタンからも批判の声が発せられている。)

 

ドナルド・トランプ氏は、初の平和委員会サミットで演説し、従来の多国間機関に代わる新たな国際平和メカニズムの構想を提示した。(写真提供:アルジャジーラ)

 

アブドラ・アフマディ(ハシュテ・スブ・デイリー:アフガニスタンの独立系メディア)
2026 年1月 26 日

 

はじめに

戦火がいまなお猛り続け、国際機関の有効性がこれまでになく問われる世界では、「平和」はもはや単なる道義的理想ではなく、政治的競争や正統性構築の手段となりつつある。ウクライナからガザに至るまで、国際社会が危機を抑え込めない現状では、既存の枠組み─国際連合のような機関─に平和を管理する能力がいまも備わっているのかという根本的な疑問が一層鋭く提起されている。

こうした状況の下、米国大統領ドナルド・トランプ氏の「平和評議会(Peace Council/Board of Peace)」の設立発表は、広範な反響を呼んでいる。トランプ氏自身が議長を務めるこの評議会は、国連の枠組みにも、従来型の多国間主義のメカニズムにも位置付けられていない。それにもかかわらず、世界の紛争を解決し、国際的な平和の「隙間」を埋める能力があると主張している。この主張こそが、「平和評議会」が設立当初から世界の政治・メディア界で論争の的となっている理由である。

核心的な問いはこうである。トランプ氏の平和評議会は、国連の機能不全への応答なのか、それとも国連を迂回しようとする試みなのか。世界は本当に新たな「平和機関」を必要としているのか、それとも問題の核心は大国の政治的意思の欠如と既存機関の弱体化にあるのか。これらの疑問に答えるには、この評議会の性格、明示された目的と暗黙の目的、そして既存の国際機構との比較を明確に理解することが不可欠である。

本稿はまず、平和評議会(Board of Peace/Peace Council)がどのように設立され、いかなる目標を掲げているのかを検討する。次に、この構想が国連やその他の平和・安全保障の国際的枠組みとどのような関係に位置付けられるのかを評価する。この取り組みを世界秩序の崩壊の兆しとみる向きもあれば、再定義しようとする試みとみる向きもある。

 

平和評議会の設立とトランプの狙い

平和評議会(Board of Peace/Peace Council)設立の構想は、2026年1月初旬、ドナルド・トランプ氏が初めて提起したものである。当時は地域紛争から中東の不安定化に至るまで複数の国際危機が重なり、国際機関の正統性と有効性に深刻な疑念が生じていた。トランプ氏は、紛争を解決できないとする国連の「無力さ」を強調しつつ、平和評議会を自ら主導する集中的な枠組みとして提示し、国際機関を補完しうる、あるいは領域によっては代替しうる存在だと位置付けた。

この評議会は国際的な組織として機能することを想定しているが、その性格は従来の多国間主義とは異なる。主要な決定はトランプ氏の主導下で行われ、参加するのは限られた国際的人物や政治顧問に限られる。条約や協定、国家間の合意に基づき、複雑な官僚機構を通じて運営される国連とは異なり、平和評議会は柔軟で、あからさまに政治色の強い存在として構想されている。権限はトップに集中し、ドナルド・トランプ氏が議長を務める体制である。

 

トランプ平和評議会の構成とメンバー

議長職:評議会の議長はドナルド・トランプ氏自身が務め、主要な決定は彼の目標に沿った枠組みの中で下される。

国際メンバー:評議会には、国際危機の管理に経験を有する米国および他国の政治家や元外交官が参加する。

参加国:これまでに、ベラルーシ、パキスタン、バーレーン、アラブ首長国連邦、エジプト、カザフスタン、ハンガリー、アルゼンチン、インドネシア、トルコ、カタール、コソボ、ウズベキスタン、ベトナムが参加を表明している。

参加を拒否した国:フランス、ノルウェー、スウェーデンは、トランプ氏の平和評議会への参加要請を正式に拒否した。

参加要請を受けながら未回答の国:英国、ドイツ、イタリア、中国、ロシア、ウクライナ、そして欧州連合(EU)。これらの沈黙は、より広範な国際的慎重姿勢と不確実性を反映している。

 

平和評議会の目的

明示された目的
停戦監視と紛争地域の緊張緩和
危機地域の経済・社会復興
人道危機と難民流出の管理

暗示される目的
トランプ氏の「和平仲介者」としての国際的地位強化
国連枠外で米国の政治的影響力を拡大するための梃子づくり
国連やノーベル平和賞といった機関との象徴的競争を通じた国際的正統性の獲得

参加費
トランプ平和評議会の規約草案によれば、各国の通常加盟は3年間の任期と定められている。しかし常任加盟を得るには、評議会基金に約10億ドルの一括拠出が求められるとされる。この条件を受け入れた国が存在するのかは不明である。報道によれば、この規定は「草案段階」にとどまっており、実際の支払いに関する具体的な情報は公表されていない。

設立の背景
国連批判: トランプ氏は、国連は危機への対応が遅く非効率であることが多いと主張している。
迅速な意思決定の必要性: 平和評議会は、193の加盟国による合意を必要とせず、迅速な決定を可能にする。
象徴的プロジェクトへの重点: 復興や緊急支援といった成果が速やかに可視化され、トランプ氏の指導力を強調する効果を持つ取り組みに力点を置いている。

これらの特徴を踏まえると、平和評議会は政治的イニシアチブ、個人的外交、実務的な平和メカニズムが混在するハイブリッド型の枠組みといえる。それでも、その正統性や長期的持続性をめぐる疑問は依然として解消されていない。

 

国際機関との比較にみる平和評議会

平和評議会は既存の国際機関とは大きく異なる。193カ国を加盟国とする国連は、国際平和と安全の維持を担う主要機関であり、国家間の合意や国際条約に基づいて運営されている。国連での意思決定には時間を要することが多く、巨大な官僚機構が危機対応の迅速性を制約する場合もある。

これに対し、平和評議会はトランプ氏の個人的主導と、限られた国々・国際顧問の参加によって構成され、世界的な合意形成を必要としない迅速・集権的・柔軟な意思決定を志向している。目的の面でも、国連が平和と安全保障のみならず人権や国際開発まで幅広い課題を扱うのに対し、トランプ氏の平和評議会はガザなど紛争地での即時的危機管理、停戦監視、復興事業といった分野に主眼を置いている。

比較として、NATOや上海協力機構(SCO)はそれぞれ異なる使命を持つ。NATOは欧米諸国の集団安全保障に重点を置き、SCOは地域の安全保障と経済協力を重視している。いずれも、平和評議会が想定するような迅速で象徴的な意思決定能力を備えてはいない。同時に、トランプ氏の平和評議会には、国連を支える正式な法的枠組みや広範な国際的正統性が欠けている。

総じて、平和評議会は特定の危機管理や迅速かつ注目度の高いプロジェクトの推進において短期的な効果を上げる可能性はあるものの、国連や国連安全保障理事会の役割を代替することはできないとみられる。多くの分析者は、この評議会を、独立した持続的な「世界平和機関」というよりも、トランプ氏の地位強化や米国の影響力拡大を図る政治的・象徴的な装置と位置付けている。その長期的影響は、国際的受容度、各国間の協力の度合い、そしてトランプ氏もしくはその後継者の指導を超えて存続できるかどうかにかかっている。

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