UNAMA and the Taliban

(WAJ: アフガニスタンにおける女性差別・抑圧は決してアフガニスタンの内政問題ではない。内政の域を超えたジェンダー・アパルトヘイトであり、世界同時代人がともに戦うべき課題である、というのがアフガン女性の叫びである。それはかつての南アフリカでの人種差別、アパルトヘイトに対して世界がともに戦った歴史を思い起こさせるものである。国連がなし崩し的にターリバーンの主張に屈することは、国連自体の価値に反し、みずからの基盤を掘り崩す行為にほかならない。)

 

ムハンマド・アリ・ナザリ(ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア))
2024年10月15日
UNAMA (国連アフガニスタン支援ミッション)の新しい政治副官が最近任命され、仕事に取り掛かっている。報道によると、彼女は昨日、ターリバーンの代理外務大臣であるマウラウィ・アミール・カーン・ムッタキと会談した。この会談には UNAMA のローザ・オトゥンバエワ代表も同行した。新しい政治副官のジョーゼット・ガニオンは、アフガニスタンで以前勤務した経験のあるカナダ人弁護士である。彼女の前は、ドイツ人外交官のマルクス・ポツェルが務めていた。UNAMA は創設以来、選挙管理と監視から人権、特に女性の権利の擁護、さらには和平交渉への参加まで、アフガニスタンにおける数多くの重要な問題に関与してきた。しかし、オトゥンバエワ氏のリーダーシップの下、この国連ミッションが過去3年間に残した記録は擁護できるものではない。この間、UNAMA は一貫してターリバーンの要求に屈し、時にはターリバーンのような姿勢を取ったことさえある。例えば、ターリバーンが女性は国連で働くことができないと布告したとき(訳注:2022年12月「アフガニスタンで国際NGO、活動を停止 タリバンの女性職員禁止令で」 ほか同時期の記事参照)、UNAMAは当初強く反発したが、その後すぐに黙認し、職員に対するターリバーンの制限を実施した。また、ほんの数日前、UNAMAの副人道調整官であるインドリカ・ラトワッテがクンドゥズへの訪問中に、ターリバーンによる女子校の閉鎖についてジャーナリストに質問された。彼は「アフガン国民の文化と慣習を尊重する」と答えた。彼はターリバーンが女性と少女の権利を認め、教育を受ける権利を尊重することを望むと付け加えたが、ターリバーンによる女子教育の禁止はアフガニスタンの文化と慣習を反映していると示唆したのはターリバーン寄りの姿勢であり、国連の人道調整官の発言としてはまったく異様である。ターリバーンは、少女の教育へのアクセスを妨げるのはアフガニスタンのイスラム文化の一部であるという主張を広め、強化してきた。残念なことに、この主張は今や UNAMA の副官によって繰り返されている。

UNAMA の新政治次官が仕事に着手して最初の行動はマウラウィ・ムッタキとの会談だった。会談中、ムッタキはガニオン氏の任命によりターリバーンと国連の関係が改善するだろうとの希望を表明した。しかし、ターリバーンと国連の関係は、それ以前からかなり緊密だった。国連事務総長はターリバーンの前提条件と要求に何度も屈し、ハイバトゥラー師の意向に沿った構成と体制でドーハ会談を招集した(訳注:「女性団体はドーハでの国連会議参加者はアフガニスタンの女性​​を代表していないと主張」)。国連がターリバーンの要求によりドーハ会議から女性を排除したことは、人権を尊重する組織であるはずの国連の立場からの大きな後退だった。別の例では、国連安全保障理事会がアフガニスタン特使の任命を承認し、事務総長にこれを実行する任務を与えたが、ターリバーンの反対によりプロセスは行き詰まった。国連によるそのような任命のニュースはなく、ここ数カ月、国連はこの件に関して何の発表もしていない。これはまたしても国連がターリバーンに屈服している例である。最終的に特使が任命されれば(おそらくターリバーンの承認を得て)、事務総長がこの特使を選ぶ際にムッラー・ハイバトゥラーの意向を考慮することは間違いないだろう。この観点からすると、ガニオン氏の任命以前から、国連とターリバーンの関係はすでに「改善」していた。国連がターリバーンの要求に対して示した唯一の抵抗は、国連におけるターリバーンの常任代表の承認を拒否することだった。

国連、特にUNAMAとターリバーンのこれまでの関係を考慮すれば、関係改善への期待は、アフガン国民と国連の関係、そして国連とターリバーンに反対する政治・軍事グループとの関係に焦点を合わせるべきだ。予想に反して、国連はアフガニスタン国民、特に女性の要求をあまり重視していない。国連特別報告者とUNAMAはターリバーンの犯罪に関する詳細な報告書を多数発表しているが、アフガン国民は国連が人権尊重を強いるためにターリバーンに深刻な圧力をかけているのを見たことがなく、ターリバーンの要求が人権基準と衝突したときは常に、国連は最終的にターリバーンの要求に屈してきた。国連がアフガン国民とターリバーンに反対する軍事・政治グループに無関心を示し、国に関する重要な会議から彼らを締め出してきたという事実は、ターリバーンの圧力の影響を反映していると思われる。国連は、ターリバーンに対し、国民の正当な要求を尊重し、人権を守るよう圧力をかけるどころか、ターリバーンの行動をごまかすための道具となってしまった。国連の人道調整官が、ターリバーンによる女子教育の禁止をアフガニスタンの文化と習慣の反映として正当化したことは、国連機関が本来の使命からターリバーンの言い分を広める道具へと変わってしまったことの明らかな例である。このため、ほとんどの場合、国連はターリバーンの意向に沿って活動し、アフガン国民やターリバーンに反対する政治・軍事グループとの関わりを避けている。

ガニオン氏は、人権活動における豊富な経歴と、国連で28年間の経験があると国連は述べているが、ターリバーンがかつてないほど女性に対する規制を強化している時期にこの役職に就いた。ターリバーンは人権と人間の尊厳を非イスラム的で非人道的な価値観として描き、タジク人やハザラ人など一部の民族は極度の圧力に直面している。彼女の主な任務のひとつは人権擁護である。一方、アフガニスタン国民抵抗戦線(訳注:かつての北部同盟のメンバーらが2021年に結成した反ターリバーンの武装勢力)とターリバーンの間で交渉が行われているという噂があり、これらの話し合いはすでに始まっており、ある程度の進展が見られることを示唆している。救国抵抗高等評議会(訳注:トルコに亡命した前アフガン政権の黒幕たちが2022年に立ち上げた反ターリバーン組織)の和平委員会委員長アルマス・ザヒド氏によると、将来これらの会談は国連の監督下に置かれるという。ガニオン氏の任務の重要な部分は、これらの潜在的な対話を促進することである。したがって、国連は反ターリバーンの政治・軍事グループ、抗議する女性、そしてターリバーンに反対するアフガニスタン社会のさまざまな層との関係を改善し、アフガン国民の声と要求に耳を傾ける必要がある。これらの関係は、UNAMAがターリバーンの強い影響から解放され、人権と世界平和を支援するという本来の使命に戻った場合にのみ改善できる。2010年から2015年までアフガニスタンの国連人権部門の責任者を務め、紛争後のコミュニティで人道的および戦略的イニシアチブを主導した経験や国連平和ミッションへの関与を持つガニオン氏は、交渉の噂が広まっている時期に任命された。彼女の任命は、国連が交渉を促進する準備ができていることを示すものであり、重要な意味を持つ可能性がある。しかし、国連がターリバーンだけに焦点を当て、アフガン国民を無視する限り、いかなるミッションも成功しない。アフガン国民の幅広く意義ある参加がなければ、いかなる主要な国家的プロセスも恒久的かつ持続可能な成果を生み出すことはできない。

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