From Unity to Division: The Rise of Extremism
(WAJ: この論文は、「パシュトゥーンの指導者争い。ムッラーはいかにしてハーンを出し抜いたか?」と併せて読んでほしい。アフガニスタンが、パシュトゥーン(アフガン)族が優勢となり統一を達成した18世紀以降、中央集権型の国家への成長がなされず、王権と部族支配が衰退する過程で民族間の対立、部族の対立が進行し、現在の困難が生じている事実が明らかにされている。大国の介入にたいしてジハード主義を掲げるイスラム過激派が食い込み、歴史的な困難に加えて現代的な矛盾の渦中にアフガニスタンを落とし込んでいる。ある意味、現在のアフガニスタンは中東の今日的な困難の縮図でもあり、今後の地域及び世界の危機の発出点ともなりかねない危機を内包していることが理解できる。)
アリシナ・アヨビ
ハシュテ・スブ 2023年11月7日
アフガニスタンは、長年にわたる流血、武力紛争、テロ行為の歴史が顕著な国であり、世界的なテロの発信地として名を馳せている。国内外の当事者が関与する戦争、不安定、代理紛争は、一貫してこの国の政治に影響を与えてきた。にもかかわらず、それらを食い物にしてきたのがアフガニスタンの主な政治派閥で、肝心の国民といえば、長期にわたる紛争に耐えてきた最も悲惨なテロの犠牲者である。さまざまな要因によって今の国家が形作られている。
この国の地政学的立場は、中央アジア、南アジア、中東という独特な地理上の特性を持つ3つの地域と複雑に結びついているため、特に重要である。隣接する国々への玄関口として重要なために、地理的なつながりを戦略上うまく利用する行為は、歴史的に観察されてきた。その結果、この地域は、かねてより世界の主要国間の中継ルートとして機能し、現代でもその役割を維持している。さらに、アフガニスタンの地形は、主に山岳地帯からなり踏破が困難である。こうした地理的特徴によって、国の社会と文化は大きな力学作用を受け、国家的一体感の形成を困難にしている。さらに、複雑な地形は、それを巧妙に利用するゲリラ戦術に長けた、多くのグループの台頭を促した。歴史上のほとんどの時代において行政システムは一貫して分散的であり、そのことが部族長に与えられる権力と権限の増大につながっている。
こうした状況は、これまで大きな変化を経験してきている。まず始まりは1880年の第二次対英戦争の終結だった。戦勝直後に就任したアブドゥル・ラーマン(Abdur Rahman)国王の指揮のもと、分権的な政治構造が解消された。それまでのカーブル政権は、中央政府の法的権限を認めながらも、極端な自治権を有する各地の部族長らによって牛耳られていたのだ。自らの親族や地方派閥らが扇動する多くの反乱に直面した王は、自国民との武力対決に訴え、遂に彼と彼の政権に文句なしの支配を確立させた。アブドゥル・ラーマンの力づくのやり方は一定の成果をもたらしたものの、政治的な反発を引き起こし、最終的にはその後の指導者たちに悪影響を及ぼすことになる。王権の漸進的な低下はその後の国民的な反発を招き、最終的には1929年の内戦にまで至った。それを受けて、アブドゥル・ラーマン国王の孫にあたるアマヌッラー(Amanullah)国王は、退位を決意した。その後、一連の出来事を経て、タジク人ハビブッラー・カラカーニ( Habibullah Kalakani/訳注:英国の支援で台頭したが、ライバルのパシュトゥーン人からは「パチャ・イ・サカオ=水運びの息子」と嘲笑された)が王位につきカーブルでの権威を確立した。しかし、残存する王室エリートたちは彼の統治に反対して、パシュトゥーン族をなんとかひとまとめにし、わずか9か月後に、かれらの遠い親戚であるナディル・シャー(Nadir Shah)を王位につけた。その後、パシュトゥーン王政はしばらく安定した。 [原注1]
<参考サイト> パチャ・イ・サカオの乱
https://mltr.ganriki.net/faq06a08b.html
ところが、時は移って1992年。タジク民族のブルハヌッディン・ラッバーニ(Burhanuddin Rabbani)が権力を掌握したことで、力関係に大きな変化が生じた。歴史的記録をみればわかるように、アブドゥル・ラーマン率いる中央集権化の取り組みに始まり、現代まで、アフガニスタンは、権力共有のための効率的なシステム構築の困難につねに直面してきた。暴力的な紛争や戦争の発生は、アフガニスタンの権力交代に大きな影響を与えた。アフガニスタンでは、パシュトゥーン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人という4つの重要な民族グループが独自性を発揮している。歴史を通じて、これらのグループは大きな力を持ち、国内の安定を維持する上で大きな役割を果たしてきた。重要なことは、パシュトゥーン人グループが支配的な地位を喧伝し、アフマド・シャー・アブダリ(Ahmad Shah Abdali )王の時期にアフガニスタンが形成されてからほぼ2世紀にわたって長期にわたる権威を維持してきたことである。さらに、歴史的発展過程で、この国は不安定な経済状態による困難に直面してきた。
この問題は、アフガニスタンの政権が財政上の安定達成のために外部援助に依存してきたという永続的な構造的脆弱性によってさらに悪化した。ソ連崩壊後、アフガニスタンは強力な国際的支援者の大幅な不足に直面し、150年続いたそれまでの時代との顕著な変化が生じた。つまり、この国は中央政府を支えるために必要な多額の外国資金の不足に直面した。[原注2]
さらに、アフガニスタンでの40年にわたる長期の戦争は、脆弱な経済状況と相まって、低コストの反政府勢力の出現にとって肥沃な土壌となっている。アフガニスタン国境内に入りさえすれば、戦闘に参加して魅力的な収入を得られる。この事実は大きい。
アフガニスタンはムスリムが大多数を占めているのが特徴で、住民の約99パーセントがイスラームに帰依している。アフガニスタンの人々が抱いている宗教的信念は、彼らの日常生活に大きな影響を与えているが、その文化的習慣はイスラームの原則にしっかりと基づいている。さらに、アフガニスタンの人々は幅広い歴史的背景と文化的伝統を有しており、それらは本質的に多様かつ奥深いものである。このことを強調し理解することが重要だ。この国は、過去40年間にわたり、持続的な敵対行為の結果、顕著なまでの過激化を経験してきた。アフガニスタンの南部および西部地域は、パキスタン北部とともに、過激派の信念の意図的な普及に対して一層の脆弱性を示している。このことは言及するに値する。パキスタンには、イスラームの学問に焦点を当てた教育機関であるマドラサが数多く存在している。これらの施設のかなりの部分が適切な法的権限や登録なしに運営されている。[原注3]
さらに、現在のターリバーン指導者のかなりの部分がパキスタンのマドラサで教育を受けていることが注目に値する。ターリバーンの台頭の初期段階では、顕著な数の会員がパキスタンにある著名な神学校であるダルル・ウルーム・ハッカーニア・マドラサの出身者だった。この教育機関は、パキスタンで最大かつ最も古い教育機関の1つである。重要なことは、このマドラサこそがターリバーンの指導力に影響を与える上で必須の役割を果たし、世界中のどの教育機関よりも多くのターリバーン司令官を輩出したことだ。マドラサはアフガニスタン国境から約 150キロに位置しており、この地域におけるその影響力は驚くほど絶大だ。ターリバーンの精神的な父として知られるこの教育機関の学長であるサミウル・ハクは、ターリバーン運動の台頭に大きく関与したことで名声を博している。一般に「ジハードの統一」として知られる概念は、域内の紛争を長期間持続させる元凶とされ、学術的には批判にさらされている。[原注4]
アフガニスタンが潜伏するイスラム国ホラーサーン(訳注:IS-KまたはISKP)に対して弱腰な理由は様々で、政府側の宗派主義、過激主義、脆弱性と、武装勢力側が低コストで兵員を増強できることが、複雑に絡み合っている。それに加えて、この国の地政学的な位置、山岳地形、麻薬取引への関与などは、IS-Kに対して浸透のためのさらに有利な環境だと映る。アフガニスタンは、中東においてダーイッシュ/イスラム国の樹立を促進したのと似た状況を呈しており、さらなる中東危機がこの地で再燃する条件がうまく整ってしまった。
ダーイッシュ(訳註:中東におけるISの呼称)の最初の波とIS-Kのそれとの類似性は隠しようがない。その認識が必須である。2003年、米国がしゃしゃり出てきたイラクで、ダーイッシュは出現し、シーア派住民と出来て間もない政府の両方を標的にとても危険な攻撃を繰り返した。シーア派の著名な政治家であり米国がまずもって支援したヌーリ・アル・マリキ(訳注:2006年から2014年までイラク首相)は選挙で勝利し、まずイラクにおける国家統一の促進に向けて挙党一致で取り組んだ。加えて、イラク政府は米国から軍事援助を受け、ダーイシュの脅威に効果的に対抗することができた。最終的に、ダーイッシュの最初の波は崩壊し、戦列に加わった多くが反政府勢力として逮捕された。
アフガニスタンでは、アシュラフ・ガニー(Ashraf Ghani)大統領が就任して1年が経った2016年に、国内の有名な民間メディアであるTOLO TVが独立した市民組織と共同で世論調査をした。その結果によると、大統領のリーダーシップに満足しているとの答えは比較的低かった(27.5%)。つまり僅かな期間で大統領の国民的支持は大きく低下していた。さらに、パシュトゥーン人中心主義が顕著であったため、政権を支持する非パシュトゥーン人は急速に減少し、政敵たちは口を開けば「パシュトゥーン化反対」を唱えて政体を非難した。[原注5]
振り返ると、2014年のアフガン大統領選に有力候補として浮上したガニーは、米国の介入期間中ずっと優遇されたパシュトゥーン族の一員で、選挙の手続きそのものに関するいざこざや、翌年まで続く権力闘争で疑義の絶えない就任だった。(訳注:大統領選では対立候補のアブドゥラ・アブドゥラと決着がつかず、2015年の決選投票を経て、さらに米国の介入もあってやっとガニー政権が船出した。)[原注6]
それが、パシュトゥーン人と非パシュトゥーン人のコミュニティ間に民族的格差を一層きわだたせた。 2015年に露呈した政治的ゴタゴタを待っていたかのように、アフガニスタンでは IS-Kの最初の波が目撃された。 IS-Kは意図的にシーア派のいくつかの集会を攻撃し始めたが、標的は人々の命そのもので、結果として多数の人命が失われた。アフガニスタンにおけるアメリカ軍と連合軍の関与こそが、イラク情勢と同様に、既存のバランスを崩壊させたのだ。それによってアフガニスタン政府と連合軍による戦略的攻撃が早められ、IS-Kに所属する個人や指導者のかなりの割合が捕らえられるか無力化された。その結果、2020年の暦には、アフガニスタンでIS-Kが行った暴力のレベルは顕著に減少したと記されている。
さて、中東におけるダーイシュの第二波はどうなったか。米国のイラクからの撤退(訳注:2009年から始まり2011年に完了)とアラブの春(訳注:2010年から2011年)の勃発を受け、イラクおよびシリアで続く混乱の中で、第二波は発生した。アブ・バクル・アル・バグダディ(訳註:ダーイッシュのリーダーで自称カリフ)の指揮下、ダーイシュ関係者のかなりの割合が、拘留施設から解放されるとすぐに活動を再開した。当時のイラク首相ヌーリ・アル・マリキが、聞く耳を持たず国内のスンニー派コミュニティの弾圧に関与したことが、それを誘発したと批判されるかもしれない。[原注7]
同様の傾向として、バシャール・アル・アサド(訳注:現シリア大統領)は、極度の残虐行為を特徴とする方法で、彼の政権に向けられたデモや反対派を抑圧するための厳格な戦術を実施した。マリキ首相とアサド大統領による宗派主義的かつ権威主義的な政策の実施はかなりの不安を引き起こし、最終的には域内での内戦、不安定な統治システム、そしてダーイシュ参加者の顕著な急増を呼び起こした。[原注8]
さて、アフガニスタンに話を戻そう。IS-Kの第2波の始まりは2021年8月26日に起こった。カーブル空港のすぐ近くでIS-Kが行った大規模な自爆攻撃である。この事件により、米軍関係者を含む多数の命が失われた(訳注:BBCによれば90名以上が死亡。)。この作戦は、IS-Kの再出現に関する明確なメッセージを国際社会、特に米国へ効果的に送り届けた。ターリバーンの復活後、かつての民主主義と自由の楽観的な時代は抑圧的な権威主義体制に移行し、人々は固有にして不可欠な人権を謳歌できなくなった。ターリバーンが政府支配を引き継いだ後、かなりの数のIS-Kメンバーがイラクと同様に恩赦されるか釈放された。その結果、これらの個人の大多数がその後組織に再関与し、違法行為を続ける態勢を整えていることは明らかだ。解放された人々の中にIS-Kの次期トップが含まれるかどうかはいまだ不透明だが、時間の経過とともに明らかになるだろう。
アサド政権下と同様、ターリバーンは現在、主にパシュトゥーン人ではない人々をターゲットに、敵対者の弾圧に取り組んでいる。ヒューマン・ライツ・ウォッチの最近の調査によると、「アフガニスタン北部パンジシール州のターリバーン治安部隊は、反政府武装勢力との関わりで告発された住民を不法に拘束し、拷問している」。[原注9]
ターリバーンは、暴力行為や残虐行為に没頭するとともに、非パシュトゥーンの民族的背景を持つ人々を強制的に立ち退かせる強圧戦術を採用している。その後、これら追い出された人々の財産はパシュトゥーン族のコミュニティに再分配される。最近の情報筋によると、ターリバーンがパキスタン・テヘリケ・ターリバーン(TTP)関係者を北方地域へ移住させようと企てている兆候がある。この戦略は、彼らをパキスタン国境から遠ざけることを目的として実施されている。[原注10]
国民抵抗戦線(NRF)は、「国民抵抗運動」とも呼ばれ、アフマド・マスード(Ahmad Massoud)の指導の下に誕生した。「国民抵抗運動」は、アフガニスタンの人気者かつ尊敬されるゲリラ、アフマド・シャー・マスード(Ahmad Shah Masoud)によって設立されたものだが、これはその後継組織である。元来この組織は、1994年以降に発生した内戦におけるターリバーンへの対応の中で設立された。 2021年に前政権が崩壊した後、アフマド・シャー・マスードの息子であるアフマド・マスードは、ターリバーン代表との和平交渉が決裂し、早期に武装抵抗運動の支持者として浮上した。 NRFで対外関係を担当するアリ・マンスール・ナザリー(Ali Mansour Nazary)によると、NRFが目指すのは、男女平等を含むすべての個人の平等な権利を理想として堅持する民主的で分散型のアフガニスタンの創設で、それに向けたロビー活動に積極的に取り組んでいるという。[原注11]
NRFはアフガニスタンにおいて特筆すべき勢力であり、国の北部地域でターリバーンに対する数多くの戦闘作戦に積極的に関与している。同様に、主にアフガニスタン北部で活動するアフガニスタン自由戦線(AFF)の結成が公式に発表された。この組織はターリバーンを標的とした数多くの作戦を成功させてきた。そのほか多くの派閥がターリバーンへの反対を公然と表明している。[原注12]
一方ターリバーンは、共和国崩壊後、包括的な恩赦を宣言した。しかし、最近の報告書によると、国連は元政府高官やアフガニスタン国防治安軍(ANDSF)関係者に関する恣意的な逮捕と拘留が累計424件発生したと記録している。さらに、この報告書は、パイプやワイヤーによる身体的暴行、言葉による脅迫を含む、さまざまな虐待行為を含む144件の拷問と虐待の事例を包括的に説明している。[原注13]
加えて、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ANDSFのかなりの数の元メンバーがIS-Kグループと連携していることが判明した事例を報告している。[原注14]
ターリバーンは派閥内の不和に加えて、国際テロ組織、すなわち中央アジア地域から発信するテロ組織との関わりという顕著な課題に直面している。過去20年間、相当数の多国籍テロ組織がアフガニスタンから連合軍を追放することを主な目的として武力衝突に関与してきた。さらに、ターリバーン内の多国籍派閥は、中央アジア全体に過激なイデオロギーを広めることによって影響力の範囲を拡大しようと努めてきた。彼らから見るとターリバーンの正当性は、米国との和平交渉に関与した結果、損なわれている。ターリバーンが過激派戦術を放棄し、国際社会とのより大きな譲歩を追求する約束通りの取り組みに邁進した場合、多国籍派閥がIS-Kと連携する可能性は顕著に存在する。さらに、IS-K は中央アジア諸国出身の個人を引き付けるために現実的な戦略を採用している。これは、ウズベキスタンとタジキスタンを標的としたロケット攻撃によって証明されている。中央アジアの反乱組織の共同目的は、中央アジアにおけるイスラム教シャリーアの普及と執行である。
IS-K は現在、その影響力の維持、そのメンバー数の回復に取り組んでいる。それは、米国との和平協定に反対したターリバーン内の一派閥と思しきものに焦点を絞り、新しいメンバーの採用と訓練に戦略的に焦点を当てることで達成しようとしている。[原注15]
加えて、かつて中東に跋扈したダーイッシュ中核の指導部は、「偉大なカリフ制」の樹立を目的に、アフガニスタンを中央および南アジアに影響力を拡大するための戦略的拠点とみなした。これは、米国の撤退後、徐々に増えてきたソーシャルメディアでの積極的な発言によって裏付けられる。最近、パキスタン国境内でTTPによって行われる襲撃の頻度と強度が著しくエスカレートしている。その結果、ターリバーンはパキスタン政府からの重大な外部圧力を受けており、パキスタン政府はターリバーンがTTPメンバーに支援と避難所を提供していると非難している。しかし、ターリバーンはアフガニスタン国境内のTTP工作員に対する強力な措置を講じていない。パキスタン出身の学者アンナス・アッバスによると、アフガニスタンのターリバーンがTTPに対して断固たる措置を講じることに消極的なのは、現在アフガニスタンに避難しているTTPメンバーが見捨てられたことでアフガニスタンの反政府勢力であると自認すれば、IS-Kと連携するかもしれないという認識から来ているという。IS-Kの基本的なメンバーは、ほとんどが幻滅したTTP個人から構成されている。[原注16]
さらに、ターリバーンには、錬度の高い軍事インフラの欠如、不十分な財源、航空機支援の欠如などの新たな課題がある。それらはすべてISに対抗する上で大きなネックとなる。加えて、2年半を経てもターリバーンは国際レベルでどの国からも承認を得ることができていない。さらに、非パシュトゥーン人に属する個人を抑圧する過酷な戦術と、パシュトゥーン民族に対する偏った好意を示す政府機構の確立により、重要な内部的正当性を獲得しようとするターリバーンの努力は失敗に終わっている。さらに、この特定のアプローチは宗派間の分裂を深め、ターリバーンと真っ向から対立する他の武装グループの出現を促進した。 IS-Kのような手強い敵と対峙したとき、複数の要因が集合的にターリバーンの本質的な脆弱性の一因となる。
IS-Kの第2波の発生が観察されている。アフガニスタンの地理的境界内で大幅な人命の損失が発生している。報道によると、IS-K内での活動の顕著な急増が観察され、地域社会と国際社会の両方で懸念が高まっている。中東におけるダーイッシュの出現に寄与した状況は、現在のアフガニスタンにも見られるかもしれない。アフガニスタンにおけるIS-Kの出現は、経済の衰退、政治的不安定性、民族間および宗派間の緊張、そして世界的なテロの存在を含む大義の衝突に関連している可能性がある。
上記の説が誤りであるとしても、閣僚の130人が国連の禁止人物名簿に載っているターリバーンと関わることでアフガニスタンの平和、安定、特にテロ対策の目的を達成できるかどうかが問われることになる。[原注17]
過去20年間、かなりの割合の十代の若者がダルル・ウルーム・ハッカーニア・マドラサの教育枠組みの中で過激派の教えを受けてきた。その結果、その後、相当数の人々が武器を装備し、過激派のイデオロギーを保持してアフガニスタンに帰国した。現在の状況では、優勢なグループが国全体に対する権威を獲得し、それによって教育要項を彼らの急進的な考えと調和させるために修正を加えている。さらに、当局は教育機関の閉鎖を実施すると同時に、アフガニスタン国内のさまざまな地域に新たなマドラサの設立を開始した。今後数年間に、アフガニスタンの若い世代が、テロ、過激主義、暴力に関連した現在のイデオロギーの顕著な存在感を示すことが予想される。現在、国際社会はうごめく過激派の恐怖に直面しているが、これからの時代は過激国家の樹立に直面することになる。
アフガニスタンの民主政権が崩壊した後、この国は戦争と過激主義のブラックホールに陥った。これらの危機の灰からどのようなアフガニスタンが立ち上がるのか誰も予想できない。
<原注>
[1] Thomas Barfield, A Cultural and Political History (New Jersey: Princeton Uniersity Press, 2010), 第6章 邦訳はないが、Amazonでペーパーバックを購入可能
[2] 同上, 第7章
[3] Jamila Achakzai, “Pakistan: Why is the number of illegal madrassas rasing?,”DW, October 31, 2022.
https://www.dw.com/en/pakistan-why-is-the-number-of-illegal-madrassas-rising/a-63607470
[4] Zia ur-Rehman, “Where Afghanistan’s New Taliban Leaders went to School,” The New York times, November 25, 2021,
https://www.nytimes.com/2021/11/25/world/asia/pakistan-taliban-afghanistan-madrasa.html
[5] Pamela Constable, “ Afghanistan has many problem. may be the president be one of them,” The Washington Post, September 2, 2016
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/afghanistan-has-many-problems-its-president-may-be-one-of-them/2016/09/01/8e00cd00-6e11-11e6-993f-73c693a89820_story.html
[6] Ali Reza Sarwar, “Ashraf Ghani and the Pashtun Dilemma,” The Diplomat, January 18, 2015
https://thediplomat.com/2015/01/ashraf-ghani-and-the-pashtun-dilemma/
[7] Jason M, Breslow and Evan Wexler, “Who is Nouri al-Maliki,”Frontline, July 29, 2014
https://www.pbs.org/wgbh/frontline/article/who-is-nouri-al-maliki/
[8] Katherine Marsh and Simon Tisdall, “Syrian troops shoot dead protesters in day of turmoil” April 11, 2011
https://www.theguardian.com/world/2011/apr/22/syria-protests-forces-shoot
[9] Afghanistan: Taliban Torture Civilians in Panjshir,”Human Rights Watch, June 10, 2022
https://www.hrw.org/news/2022/06/10/afghanistan-taliban-torture-civilians-panjshir#:~:text=(New%20York)%20–%20Taliban%20security,Human%20Rights%20Watch%20said%20today
[10] Ayaz Gul, “Taliban Move to Address Pakistan’s Cross-Border Terror Complaints,” VOA, June 04, 2023
https://www.voanews.com/a/taliban-move-to-address-pakistan-s-cross-border-terror-complaints/7122978.html
[11] Phillip Wasielewski, “The Afghan National Resistance Front Outlines Its Strategy: Implications for US Foreign Policy,” Foreign Policy Research Institute, November 21, 2022
https://www.fpri.org/article/2022/11/the-afghan-national-resistance-front-outlines-its-strategy-implications-for-us-foreign-policy/
[12] Ansia Shaheed, “The formation of seven groups for armed and civil struggle against the Taliban,” Independent, March 15, 2022
https://www.independentpersian.com/node/222276/سیاسی-و-اجتماعی/شکل%E2%80%8Cگیری-هفت-گروه-برای-مبارزه-مسلحانه-و-مدنی-علیه-طالبان
[13] Rahim Raiez, “More than 200 former Afghan officials and security forces killed since Taliban takeover, UN says,” the Associated Press, August 22, 2023
https://apnews.com/article/un-report-taliban-killing-right-violations-75c5111add0db5e1f7884be5399722f7#
[14] Yaroslav Trofimov, “Left Behind After U.S Withdrawal, Some Former Afghan Spies and Soldiers Turn to Islamic State,” The Wall Street Journal, October 31, 2021
https://www.wsj.com/articles/left-behind-after-u-s-withdrawal-some-former-afghan-spies-and-soldiers-turn-to-islamic-state-11635691605
[15] Explainer: ISIS-Khorasan in Afghanistan,” Wilson Center, August 27, 2021
https://www.wilsoncenter.org/article/explainer-isis-khorasan-afghanistan
[16] Hassan Abbas, The Return of the Taliban: Afghanistan After the Americans Left, (Yale University Press, 2023), 195ページ Amazon、キンドルもあり
[17] Afghanistan International,” The regime with the highest number of people on the United Nations blacklist,” Facebook, August 17, 2023
https://www.facebook.com/watch/?extid=CL-UNK-UNK-UNK-IOS_GK0T-GK1C&mibextid=2Rb1fB&v=1464986444246831