Part 3: The Friends of the Taliban

 

(WAJ: アル=カーイダやパキスタン・ターリバーン(TTP)のようなイスラム過激派と連携する20におよぶ過激派集団も重要だが、連載3回目のこの記事の最後に取り上げられているムッラーが特に重要である。アフガニスタンの集落は、部族長、地主、軍長およびムッラーが結びついて権力構造を形成していた。アフガニスタンの歴史において権力は王族から部族長・地主層に移り、つぎに軍長(軍閥=ムジャヒディーン)に移り、そして現在のターリバーン=ムッラーに移ってきた。ターリバーンの実体はこのムッラーが代表するイスラム解釈とパシュトゥーン族の掟である。そのことをこの記事は明確に述べている。(より詳しくはこの論考をご参照ください。))

 

アモンプール (ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア))
2024年10月21日

 

テロリストグループほか

国連安全保障理事会の報告書によると、現在アフガニスタンには20を超えるテロリストグループが存在し、その大部分はターリバーンの支援を受けている。アル=カーイダやパキスタン・ターリバーン運動 (TTP) など、これらの集団の中には、テロ活動が顕著なため、より多くの情報が得られる集団もある。しかし、アフガニスタンでターリバーンの支配下で活動するその他の過激派集団はあまり知られておらず、結果として、それらについての情報はほとんどない。存在する散発的な情報でさえ、最新のものではないため、信頼性に欠ける。以下では、アフガニスタンで活動するこれらのテロリスト集団の活動を可能な限り調査してみることにする。

1) 東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)

このグループは中国出身のウイグル人で構成されており、アル=カーイダやターリバーンの同盟者とみなされている。国連安全保障理事会の報告書によると、ETIMはアフガニスタンに300人から1200人の戦闘員を抱えている。ターリバーンはこのグループのメンバーにアフガニスタンのパスポートと身分証明書を提供している。東トルキスタン・イスラム運動も2022年に新たな武器と基地を獲得した。同運動の指導者アブドゥル・ハク・アル=トルキスターニと上級司令官アブドゥル・サラム・トルキスターニはアフガニスタン北東部に拠点を置いている。アル=カーイダの指導者評議会のメンバーでもあるアブドゥル・ハク・アル=トルキスターニは、2009年に米国財務省によって国際テロリストのリストに載った。ターリバーンは中国とパキスタンに対し、東トルキスタン・イスラム運動と戦うことを約束しているが、この約束を厳密に守る可能性は低いと思われる。ターリバーンは過去にも同様の約束をしたが、果たせなかった。

2) ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)

ウズベキスタンのイスラム運動は、1998年にジュマ・ナマンガニとタヒル・ユルダシュによって設立された。ジュマ・ナマンガニは2001年に殺害され、タヒル・ユルダシュは2009年に殺害された。ユルダシュの死後、アブ・ウスマン・アディルが運動の指導者となったが、2012年に殺害された。アディルの死後、彼の副官ウスマン・ガジとタヒル・ユルダシュの息子であるアブドゥルアジズ・ユルダシュの間で指導者争いが起こり、運動は2つの派閥に分裂した。 2014年、パキスタン軍がパキスタンの部族地域でTTPに対する作戦を行っていた際、ウスマン・ガジと350~400人の戦闘員がザブール州へ移動し、アブドゥルアジズ・ユルダシュと150~200人の戦闘員はクナル州へ移動し、最終的にアフガニスタン北西部へ移動した。ガジ派は2015年にISIS-Kに加わり、ユルダシュ派はターリバーンへの忠誠を誓わされた。ウスマン・ガジは2015年にザーブル州でISISとターリバーンが衝突した際に捕らえられ、同派は大きな損失を被った。アブドゥルアジズ・ユルダシュの派閥も、2020年にファーリヤーブ州ゴルマチ地区で死亡したことで弱体化した。報道によれば、ウズベキスタンのイスラム運動は2021年から2022年にかけて北東部、北西部、東部の3つの派閥に分裂したという。ISISとターリバーンの衝突や指導者の死によって弱体化したが、アル=カーイダとターリバーンの支援を受けてアフガニスタンのターリバーン支配下で再び勢力を拡大するとみられており、今後この地域にとって大きな脅威となることは間違いない。

 

3) ジャマート・アンサルッラー (タジキスタン・ターリバーン)

アル=カーイダとターリバーンの同盟者であるこのグループは、マフディ・アルスランが率いており、アフガニスタンのバダフシャーン州のマイマイ、ダルワズ、クーファブ、クワハン、ナサイ、シャキ地区を拠点としている。ロング・ウォー・ジャーナル(訳注:ワシントンに拠点を置く民主主義防衛財団(FDD)が発行するジャーナル)によると、2021年にターリバーンはバダフシャーン州の5地区の支配権をマフディ・アルスランに委ねた。ジャマート・アンサルッラーはタジキスタン・ターリバーンとしても知られ、アフガニスタンのバダフシャーン州に約200人の戦闘員を駐留させている。

 

4) ムッラー

アフガニスタンでは、ムッラーあるいは聖職者が大きな影響力と地位を占めており、ターリバーンほどこのことをよく理解しているグループはない。ターリバーンは現在の地位に就くために聖職者を徹底的に利用しており、聖職者の支持を失えば、アフガニスタンの不安定な地盤で支配を維持するのは困難になることを知っている。ターリバーンのメンバーだけが、他のターリバーンのメンバーにとって危険なライバルとなり得る。なぜなら、ターリバーンは互いの弱点を知っており、その弱点を利用して相手を倒す方法を知っているからだ。この弱点とは、他でもないイスラームそのものである。ターリバーンはイスラームの解釈を通じて、いかなる反対勢力をもどうにか抑えつけているが、ターリバーン政権を支持する重鎮たる聖職者も、自分たちのイスラームの解釈に則ってターリバーンに対抗できる。ここで、イスラームは二重の役割を果たしている。イスラームはターリバーンのイデオロギーの支柱となり、ターリバーンが反対勢力を粉砕するのを助けることもできるし、ターリバーンに対抗するための効果的なイデオロギーの道具になることもできる。ターリバーンはこの二重の役割をよく認識しており、だからこそ彼らは聖職者に例外的な地位を与え続け、彼らを満足させ続けるためにあらゆる努力を続けている。

聖職者と宗教学校はターリバーン首長国の最も重要な支柱を構成しており、いずれが欠けても政権は不完全で不安定になるほどである。したがって、過去3年間、ターリバーンがすべての資源を宗教学校の建設に注ぎ込んできたことは驚くべきことではなく、この努力は続いている。宗教学校の数が増えれば増えるほど、ターリバーン政権の軍事的、政治的、イデオロギー的基盤は強固になる。これらの学校のほとんどはターリバーンのイデオロギーを推進するだけでなく、テロリストグループの勧誘源にもなっている。通常の学校や大学を完全にターリバーン化するには何年もの努力と計画が必要だが、宗教学校は最初からターリバーン化されており、イスラム主義テロリストを輩出するには資金援助のみが必要だった。これが、ターリバーンが通常の学校や大学の拡張にほとんど関心を示さず、代わりに宗教学校の強化に注力している理由である。

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