(WAJ:コロナ開けで通常規模に戻って開催された今年の原爆慰霊の日。ガザの虐殺行為をまえにイスラエルへ招待状を送らなかった長崎市へのG7諸国の反応が問題になった。昨年の広島G7ではG7首脳全員+EU理事会議長、委員会委員長の9人がそろって平和記念資料館を訪問し、原爆死没者慰霊碑に献花、および植樹を行った(下:外務省提供写真参照)。
ところが今年は、長崎市が、ロシア・ベラルーシおよびイスラエルに招待状を出さなかったことに日本以外のG7諸国が反発、従来の大使級代表派遣を取りやめ、格下の主席とする反発をみせた。イスラエルをロシアなどと同列に扱うのが不当だ、というのである。(下、朝日新聞より)
イスラエルがガザ(これまでの西岸地域などでも同じ)で行っている住民への無差別虐殺行為は原爆を使っていなくても”虐殺”という点では同じ行動であり、かつロシアと同じくイスラエルは核保有国なのである。G7諸国(日本も含む)のこのダブル・スタンダードを、G7諸国のひとつであるイギリスのBBCがどう報じたか、下記に引用する。)
<BBC NEWS JAPAN>
西側諸国の駐日大使、長崎の平和式典に出席せず イスラエル不招待が理由と
2024年8月9日
長崎県長崎市に原爆が投下されて79年目の9日、長崎で平和祈念式典が行われた。アメリカやイギリスを含む複数の西側諸国の大使らは、出席を見送った。各大使館は、イスラエルがこの式典に招待されなかったためと説明している。
長崎市の鈴木史朗市長は8日、イスラエルを招待しなかったことについて、「政治的な理由で招待していないわけではなく、平穏かつ厳粛な雰囲気のもとで式典を円滑に実施したいという理由だ」と記者団に説明。判断に変更はないと述べた。
アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、欧州連合(EU)の大使が7月中旬に長崎市に書簡を送り、イスラエルが式典から除外された場合、「ハイレベルの参加者を派遣することが難しくなる」と伝えていたことが、7日までに明らかになっていた。
1945年8月9日に長崎に投下された原爆では、爆発そのものとその後の放射線の影響のため、合わせて約7万4000人が死亡したと考えられている。
鈴木市長は会見で、式典を「平穏かつ厳粛な雰囲気のもと、円滑に」実施したいと説明。そのうえで、「不測の事態の発生のリスク」などを考慮した結果、イスラエル大使に招待状を送らなかったと述べた。
一方で、各国大使らの決定を残念に思うと話した。
市長は、長崎市の説明が十分に理解されていないと感じていると述べ、「引き続き、必要に応じて機会を捉えて粘り強く説明し、理解を求めたいと考えている」とした。
林芳正官房長官はこの件について、式典に誰を招待するかは長崎市が判断するものであり、「政府としてコメントする立場にない」と述べた。
上川陽子外相も、「式典は長崎市主催の行事」だと強調し、「政府としてコメントする立場にはない」と述べている。
東京のイギリス大使館の報道官はBBCに対し、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使が、長崎市での式典に参加しないことを認めた。
ロングボトム大使は、イスラエルを招待しないことで、同じく招待されていないロシアやベラルーシと同列に扱い、不幸で誤解を招くことになると述べていた。
アメリカのラーム・エマニュエル駐日大使も出席しなかった。大使館は声明で、長崎市長はイスラエルを無視することで、この式典を政治的に利用したと指摘した。
同大使館の報道官はBBCに対し、エマニュエル大使は代わりに、東京の寺院で行われる平和式典に出席すると述べた。
イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使は、長崎市の決定は「世界に誤ったメッセージを送るものだ。長崎がもう何年も推進してきた核心的なメッセージから、目をそらさせる」とコメントした。コーヘン大使は6日、広島で行われた平和式典に参加している。
鈴木市長によると、長崎市は今年6月にイスラエル大使館に対し、パレスチナ自治区ガザ地区での「即時停戦」を求める書簡を送っている。
イスラム組織ハマスが運営するガザ地区の保健省はイスラエルの大規模な軍事作戦により、これまでに4万人近くのパレスチナ人が殺されたと述べている。
軍事作戦の発端となった、昨年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃では、1200人が殺害され、251人が人質としてガザ地区に連れ去られた。
(英語記事 Western envoys shun Nagasaki event over Israel snub)