Why the World is Turning a Blind Eye to Afghanistan’s Recent Tragedies?
(WAJ: ガザ・イスラエル戦争でロシアのウクライナ侵略戦争のニュースが激減している。それ以上に、ヘラートでの大地震や国民の過半数が飢餓の危険に直面しているアフガニスタンは忘れ去られているのではないか。そんな中でもWHOはヘラートの住民11万4000人への支援として790万ドルの支出をきめた。だが行政能力がなくかつ真剣に被災者救援を行わないターリバーンの対応(https://webafghan.jp/herat-earthquake/)により、アフガン国民は2重3重の苦難を押し付けられている。そのような現状のレポート)
By: Mohammad Ali Nazari
モハンマド・アリ・ナザリ
Hasht-E Subh 2023年10月19日
ハシュテ・スブ 2023年10月19日
アフガニスタンではここ10日間、不幸な出来事が相次いでいる。ヘラートとその近隣地域は致命的な地震に見舞われ、多数の死傷者と甚大な被害がもたらされた。数千人が命を落とし、数百軒の家が破壊され、多くの家族が避難を余儀なくされた。ヘラートでは、地震や余震への恐怖が続いているため、人々は家を捨ててテントへの避難を余儀なくされている。残念なことに、何千もの家族にはこれらのテントを買う余裕がない。寒さがつのる夜、テントは風雨にさらされている。
悲劇的なことに、こうした自然災害のさなか、バグラーン州で恐ろしい攻撃が発生した。自爆テロ犯が礼拝者の間で自爆し、死者80名、負傷者40名という壊滅的な被害をもたらした。(トピックス欄参照:https://webafghan.jp/topics/#20231013、https://webafghan.jp/topics/#20231014)イスラム国ホラーサーン(ISIS-K)がこの攻撃に対する犯行声明を出した。この事件は、ターリバーンが過去2年間にこのグループを排除すると繰り返し主張してきたにもかかわらず発生した。ターリバーンがそのような主張をするたびに、ISIS-Kは致命的な攻撃を続け、アフガニスタン人民の状況を悪化させている。さらに、元国会議員がターリバーンの調整で帰国し免責カードを所持していたにもかかわらず、ターリバーンが報復司法を発動したというニュースもあった。これらの出来事は、ターリバーンの迫害や不法逮捕と合わせて、最近のアフガニスタンにおける重要な進展となっている。
驚くべきことに、これらの重大な出来事はアフガニスタンの外ではあまり注目を集めていない。なぜ各国政府、組織、メディアはこれらの事件にあまり関心を示さないのかという疑問が生じる。
重要な要因の1つは、アフガニスタンには過去2年数カ月の間、正当な政府が存在しなかったことである。現在実権を握っているターリバーン政権は、国内的にも国際的にも正当性を欠いている。この正統性の欠如はターリバーンを孤立させるだけでなく、アフガニスタンの人々をも世界の他の地域から切り離すことになった。外国政府は、ターリバーンを手段として利用している場合でも、この不法なテロ政権と有意義な二国間関係を確立することはできない。自国の国民に対する責任を負うこれらの政府は、ターリバーンのような政権と考えなしに外交関係を結ぶことはできない。ターリバーンによる占領後、カーブルにある多くの友好国の大使館が閉鎖されたことは、アフガニスタンの現在の孤立を浮き彫りにしている。さらに、国際機関は各国の政策に直接的または間接的に影響を受ける。政府が特定の地域との関係を断つと、特定の非政府組織も追随し、世界銀行やアジア開発銀行などの機関がアフガニスタンで資金提供しているプロジェクトを停止または中止するなどの行動につながる。
さらに、カーブルの現政権が推進する反人権および反人間的価値観に基づく政策も、この孤立の一因となっている。世界とアフガニスタン国民が要求するアフガニスタンとの関係正常化の前提条件のひとつは、人権の尊重である。これには、女性の権利、少数派の権利、表現の自由を求める権利などが含まれる。残念ながら、ターリバーンはこれらの正当な要求に反対しており、反抗しても何らの報いを受けることはない。ターリバーンの頑固さの矢面に立たされているのはアフガン国民だ。彼らは自らの経済的困難にも関わらず、さまざまな賦課金、税金、身代金をターリバーンとその関連組織に支払っており、その肩にかかる国際的孤立の重荷はさらに深まっている。
一方、国際救助委員会(訳注:1933年にアインシュタインの要請で立ち上がった国際組織で、現在約40カ国で機能し26の米国の都市に難民を受け入れるなどの活動を行っている)の最新報告書によると、2880万人のアフガン国民が緊急援助を必要としており、これは前年に比べて60%増加している。この報告書は、ほとんどのアフガン国民が人道支援を必要としているだけでなく、緊急援助を必要とする人々の数が過去1年で1.5倍以上増加したことを示している。アフガニスタンの飢餓状況に関する最新の報告書が世界食糧計画(WFP)によって発表され、アフガン人口の3分の1が次の食事がどこから来るのか分からないことが明らかになった。しかし、ヘラート地震の影響はまだ調査されていない。
ターリバーンは同時に、これらの地震の犠牲者に関する正確な統計を提供することもできず、ましてや被った経済的損失を調査することもできていない。世界保健機関によると、ヘラートは小さなテントの街と化しており、世界はこれらの人々にほとんど注意を払っていない状況だ。世界中の多くの人は、地球のこの地域で何が起こっているのかを知らないかもしれない。
アフガニスタンは人権侵害の歴史を持つグループによって統治されている。このグループは、暗い過去と現在実施している政策により、関与しようがしなかろうが世界にとって高い代償を伴う状況を生み出している。アフガニスタンの隣国2カ国は長年にわたりターリバーンを支援しており、ターリバーンと非常に密接な関係にあるが、今年首都でテロの可能性を感じている。イスラマバードでも攻撃が発生し、テヘランでの攻撃の前にISIS-Kの工作員が逮捕された。このように隣の2カ国は現在テロに直面しており、ターリバーンとの関わりの代償を支払っている。その一方で、多くの国や一部の国際機関がターリバーンの支配下にあるアフガニスタンから手を引いたために、この国の貧しい人々に苦しみが生じている。このような状況のため、どの国もターリバーンと関われば、その国民と政府の両方がその結果としてテロの恐怖に見舞われる。逆に関わりを絶てば、アフガン国民が貧困という矢面に立つことになる。さらにターリバーンとの関与が続けばアフガン国民にとっても高い代償が伴う。ターリバーン支配の永続化につながるからだ。ターリバーン政権の継続は、悲惨さ、飢餓、孤立の継続を意味する。
ターリバーンとの関係によって払わされる代償に尻込みして、各国政府はこのグループへの対応に慎重になっている。この慎重さのせいでコミュニケーションの確立がより遠のいた。さらに、ターリバーンの独立機関に対する弾圧とその事案への不当な干渉のため、各種組織や報道機関はアフガニスタンで効果的な存在感を示すことができていない。現在、カーブルではほとんどの友好国の政治的代表施設は閉鎖されており、メディアは検閲の下で運営されており、国内外のジャーナリストはターリバーンによる逮捕と弾圧の恐れからアフガン国内で活動できない。また各種の国際機関もターリバーンがそれぞれの分野で干渉したため、活動を停止するか熱意を失っている。アフガニスタンが国外で積極的に機能する外交代表を欠いている状況では、国際機関はアフガン国内で活動する前向きさを維持できない。メディアは独立した無制限の報道を行うことができず、その結果、世界の他の国々はアフガン国民についての情報を得ることができない。現状では、アフガニスタンは報道管制下に置かれている。この国と国民は闇の中にあり、スポットライトも当てられず、その声を聞く者もいない。したがって、現在のアフガニスタンの孤立と国際社会におけるこの国の問題の重要性の低下は、ターリバーンによるアフガニスタン支配とこのグループによる非人道的な政策の実施によるものである。ターリバーン政権がさまざまな形で存続する限り、この孤立が続くことは明らかである。
【原文(英語)を読む】
https://8am.media/eng/2023/10/19/why-the-world-is-turning-a-blind-eye-to-afghanistans-recent-tragedies/