(WAJ: 編集部には、アフガニスタンやヨーロッパから、女性たちの懸命の叫びが届けられます。「もうひとつの9.11の危険」。今号の<視点>では世界中で闘う女性たちへ賛歌を捧げます。)

 
 

 暗闇に咲く花 

~野口壽一 新作~

 

暗闇に咲く花
美しさは見えない
誰にも見えない

花の美しさを隠せと
命令したのは誰だ!
従うのは闇

おんなは天の半分を支える?
ひとを造るのが天ならば
天を支えるのはおんな 仕えるのはおとこ

昔おんなは太陽だった
天を照らし自ら輝いていた
輝きを取り戻せと叫んだ

おんなは第二の性
歯軋りしたおんながいた
第一の性なのに

暗闇に咲く花は
涙と汗と血をささげ
自ら輝こうとあがく

その花はひまわり
この星のあそこやここで
鉄の雨や鞭に抗って咲こうとしている

叫びが聞こえる
わたしは燃えさかる大地に咲く花
わたしはこの星の治らぬ傷

わたしは文化と伝統の面汚し
わたしは信仰と宗教の汚点
わたしは燃えさかる大地に咲く花

あちらこちらで
暗闇に咲くひまわりが
光ろうとしてすすり泣いている

そこかしこで
悶え、うめき、叫ぶ
恨みと望みが空を震わせ

ことだまとなって発し
東へ西へ 北へ南へ
薄明りの中で咲くひまわりたちへ

耳朶をたたき、震わせ、ゆする
照らせ、咲け、ともに
太陽となって輝こう

 

<注>
「おんなは天の半分を支える」:毛沢東の言葉
「昔おんなは太陽だった」:平塚らいてうの言葉
「おんなは第二の性」:シモーヌ・ド・ボーヴォワールの言葉
「わたしは燃えさかる大地に咲く花」:この行を含む五行はアフガニスタンのシンガーソングライター、アリアナ・サイードの同名の歌より(野口壽一訳、ヨーロッパ議会での彼女の歌唱および歌詞は https://x.gd/pZtqb で視聴できる)

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