3クラス体制(識字/初級/中級)の新学期が始まって早くも3か月となります。イーグルアフガン明徳カレッジ(EAMC)では、メインの日本語教育も、フリンジの託児サービスも、毎回詳細なリポートが事務局(NPOイーグル・アフガン復興協会)に提出・保存されています。
それを読むとEAMCが日々進化し続けていることがよく分かります。学校は誰かが「つくってポン」ではなく、みんなで「ずっと作り続けていくもの」だと実感する次第です。たとえば(最近のリポートより):
- 新たに通訳としてシュクロナさんが参加しました。単なる「語彙」の置き換えばかりでなく、言葉の概念をダリー語で伝えてくれます。質問の言葉「(これは)なんですか?」は物に使い、「だれですか?」は人に使い、「どこですか?」は場所に使うなど。理想は「日本語は日本語で教える。」とは言え、初級クラスでは通訳のフォローがあると効果的です。
☆上記リポートへの事務局からの返答として、以前来校してくれたアフガン高校生たちの中で、高い日本語能力を持つ数名がリストアップされました。彼女たちに連絡をとって通訳チームの補強に向け動き始めるとのことです。こうしたスタッフ間のキャッチボールがEAMCのさらなる充実を促しています。
- 授業の途中から小学生のお子さんが入室し、母親と一緒に前に出て黒板に答えを書いてくれました。分からないところがあった母親にダリー語で解説するなど、微笑ましい姿でした。それを見た教室の全員が拍手を送りました。
託児も日々進化します。午前は託児、午後は学習支援と決めていましたが。
- とある母親から「うちの子は午前中しか来られないが、勉強を教えてもらえないか?」との訴えがありました。その日、彼らは宿題を持ってきておらず、座り机(床に座ってお絵書きなどする)で絵本を読んでもらうくらいでした(それでも母親は大喜び)。そこで、翌週はリズム室(託児の現場)に勉強コーナーを設けて対応しました。会議机と椅子を数名分準備すると、さっそく6人が利用しました。宿題持参の子もいます。スタッフが2、3人で対応し、学習支援も新しいフェーズに入りました。
いかがでしょう?「今年度の進め方はもう決まっている、文部科学省に届け出た通り」というホンモノの学校ではない良さがEAMCにはあると思いませんか? また、ボランティアスタッフが忙しいなか書き送ってくれるリポートには、教育データの蓄積という側面のほかに、もう一つの意義があります。
私たちはEAMCのような取組を「空前ではあるが、絶後にしない」という志を持っています。しかしその力は限られています。今後ほかに新たな学校を作ろうとする動きがぜひ出てきて欲しい。「その少しの参考になれば」というリポートでもあるのです。たとえば、私たちがかなり疎いリモート技術を駆使した対面教育とか、日本各地にあるモスクを活用した教室とか。
2千年もまえの宗教改革者がその弟子たちに諭したように「その者を妨げてはいけない・・・われわれに反対でない者は、われわれに賛成する者」なのです。