(WAJ: 残虐極まりないイスラエル軍のガザ進行に反対する抗議デモがアラブ諸国だけでなく世界中で繰り広げられている。ロンドンでは11月11日に30万人以上が集まった。一方、フランス・パリでは第2次世界大戦時のナチスが行ったような、ユダヤ人差別の「ダビデの星」のスプレーによる落書きが相次いで見つかり社会問題となっている。パレスチナ問題はウクライナへのロシアの侵略に次いで、前例のない非人道的大事件(グテーレス国連事務総長)となり世界を揺るがしている。一人ひとりが戦争反対と即時停戦の声を上げなければならない。)

 

2023年11月12日
伊藤正

最近のガザ状勢を整理する。

イスラエルが第3次中東戦争で占領した地域である「ガザ地区」と「ヨルダン川西岸地区」に住んでいたパレスチナ人の市民たちによる大規模な大衆蜂起がつづいてきた。

イスラエルとパレスチナの間では憎しみと殺人の連鎖が繰り返される。そんな双方に統治者能力がない状態の中、今回のイスラエルが進めるガザへの本格的侵攻には果たしてどのような正当性があるのか、以下、検証したい。

 

1. 現状認識

10月7日にイスラム組織ハマースが突如、イスラエルへ攻撃を開始。イスラエル側も激しい空爆で応酬がはじまった。

バイデン政権は、イスラエル支持一辺倒だが、ハーバード大学やコロンビア大学など、米名門大学の一部学生がパレスチナへの支持を表明し、深刻な分断をもたらしている。

学生たちは、2001年の9.11テロ直後、パレチナに共感する人は16%だったのに対し、イスラエルに共感する人はその3倍を超えていた。

この点では、共和党支持者も民主党支持者も、無党派層も大きな差がなかった。ところが今回、パレスチナに共感する人の割合は30%前後、民主党支持者の間では50%に迫っている。

パレスチナ支持が民主党支持者の間で高まっているのは、アメリカ社会における党派閥の亀裂をまさに代弁している。今日民主党の左派や若い世代の支持者の間で社会的・経済的不平等への問題意識の高まりが起っている。イスラエルとパレスチナの間には、力と富と軍事力に途方もない格差がある。

アメリカ国内で貧困の構造的要因に強い疑念を頂くリベラル派民主党員が国際政治でパレスチナに共感を抱き、支持者が増えているのも自然な流れのようだ。

ここでつぎにアメリカにおける米国ユダヤ人の意識の変化についても論じたい。

過去は、米国の主要なメデイアでも「米国の外交政策に対するイスラエル・ロビーの影響を語ることはタブーとされていた」流れに変調がおきている。

最強なユダヤ・ロビーとしてはイスラエル公共問題委員会(AIPAC)が米国の国益よりイスラエルの国益を優先する姿勢に批判が集まっている。

アメリカの親イスラエル政策の背景には、ユダヤ・ロビーの存在があり、イスラエルを支持している議員(下院、上院)を支援しているユダヤ系アメリカ人の存在がある。

支援の中身としては、イスラエルに批判的な議員に対して圧力をかける一方、イスラエル政府の政策を無批判に支持しアメリカの国益よりイスラエルの利益を重視する傾向が見られる。

米国ユダヤ人の対イスラエル観の変化と新しいロビー組織J ストリートの活動
<https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Me_review/1502_01.html>

ワシントンでは、若い世代のユダヤ人による、新しいロビー活動を行うJストリートが2008年に創設された。同組織は、アメリカの国益を守る範囲内でイスラエルを支援する、イスラエルの政策を公の場で議論し、必要であれば批判するなど、イスラエル支持でありながら従来にないスタイルの活動を行っている。

既存のユダヤ・ロビーは、Jストリートを批判しているが、オバマ政権はJストリートに対する支持を表明していた。

ユダヤ人世論の変化の背景には、「親イスラエル、親和平(Pro-Israel, Pro―Peace)」を掲げて結成されたJ ストリートの活動拡大によるところが大きい。彼等はロビ-団体として法的に登録しており、イスラエル関係でAIPACについで2番目の法的なロビー団体である。

しかし、両者の主張や活動は、全く異なっている。J ストリートが入植地やエルサレム、米・イスラエル関係、さらにはイランの核開発などの問題に関するイスラエル歴代政府の基本的な立場に批判的で、イスラエル政府を非難しないAIPACとは全く対照的だと言える。また痛烈な批判としては、中東和平プロセスでパレスチナ国家の樹立を認め、二国家解決案を実現しようとしないイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権はイスラエルの長期的な利益に反するものであり、そのネタニヤフ政権を支持し続けるAIPACもまた「反イスラエル的だ」と論じている点がある。

また、イスラエルのNGO「沈黙を破る」は、軍の元兵士らが兵役で経験したパレスチナ人への暴力や差別をイスラエル国内で証言しそれを公開していまも活動している団体である。

彼等の活動を取り上げたドキュメンタリー映画『愛国の告白 ─沈黙を破るPart2─』(土井敏郎監督、2022年公開)はメンバーの言葉として「何百万人のパレスチナ人の喉を踏みながら、イスラエルの安全と平和を得られると考えるのは正気ではない」と苦悩と悔伍と共に語らせており、抑圧は解決に繋がらないという現場の実感を発信し続けている。

彼等のサイトにおいても、ハマスの奇襲を犯罪と指弾してはいるが、同時に市民を巻き込む空爆にも反対して人間性への信頼は絶対に捨てない、と訴えている。彼らの活動は何とかして憎しみの連鎖を留止めようとする、小さな声だが世界に訴える不屈の声として注目が集まっている。

ネタニヤフは退陣せよ」数千人がデモ…イスラエル市民の76%が退陣を要求:
<https://news.yahoo.co.jp/articles/1f03c0782946d8f961ede881c06a438efef0cb95>

イスラエルで4日(現地時間)、ガザ地区の武装勢力ハマスとの戦争で超強硬な対応を貫いているベンヤミン・ネタニヤフ首相の退陣を求めるデモが行われた。同日公開されたある世論調査では、76%がネタニヤフ首相の退陣を望んでいるという結果が出るなど、ネタニヤフ首相は国内でますます窮地に追い込まれている。

エルサレムの首相官邸前で同日、数百人のデモ隊がイスラエル国旗を持って「(ネタニヤフ首相を)直ちに投獄せよ」というスローガンを叫びながら警察と対峙した。ロイター通信などが報じた。警察がデモ隊の首相官邸への接近を阻止したことで、デモ隊と警察のもみ合いも起きた。デモに参加した市民、ネタ・チンさんは「彼ら(政府)は我々を裏切った、と語っている。ネタニヤフを排除する投票を望んでいる。このデモが続き、さらに大きくなることを願う」と述べた。(ロイター)

テルアビブでは数千人の市民がハマスに拉致された人質の写真を持ってデモを行った。彼らは「どんな代償を払っても人質を救出せよ」、「(人質を)今すぐ家に連れて来い」、「直ちに停戦せよ」などのスローガンを叫んだ。

イスラエルのTV放送「チャンネル13」がこの日公開した世論調査結果によると、回答者の76%がネタニヤフ首相の退陣を望むと答えた。また、回答者の64%は戦争が終わった後、直ちに総選挙を実施すべきだと答えた。ハマースの奇襲攻撃を防げなかった責任は誰にあるのかという質問には、44%がネタニヤフ首相を、33%はイスラエル軍参謀総長など軍首脳部を挙げた。

2.検証結果:

最大の焦点は、ネタニヤフ首相の退陣要求がイスラエルにおける世論調査で76%に及んでいることだ。

今回10月7日にイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへの攻撃を開始、先に手を出したのはハマースであっても、過激なネタニヤフ首相の退陣を多数のイスラエル国民が望んでいる事実に注目したい。

この約75年間憎しみの連鎖を繰り返してきたことへの反省、もうこれ以上の殺戮の繰り返しが無意味であることへの思いが一般市民の間で広がっている。背景にはイスラエルのNGO「沈黙を破る」の、イスラエルとパレスチナという国家の枠を超えた人間性の信頼を叫ぶ声がイスラエルの市民の間で芽生えている事実がある。

今日(11月10日)のTV報道によるガザ地区の死者数 :
パレスチナ側1万22人  イスラエル側 1400人  計:1万1422人

この段階で言えることは、一日も早く停戦を実現して、人命を尊重した交渉ができる政権をまずはイスラエルに誕生させること。これが現状において出来うる早道だと考える。

One thought on “ガザ・イスラエル戦争 ~一日も早い停戦を~”
  1. […] (18) 米国に住むユダヤ人の底力でしょうか。10月28日に起きたニューヨーク中央駅でのデモの様子です。「またユダヤ人がイスラエルを応援して騒いでいるのね」と見出し読みで誤解してはいけません。「われわれの名を使うな」のTシャツを着て、多くのユダヤ人らがガザ侵攻に抗議したのです。イスラエルのウソと非道に気づいたユダヤ人も多い。世界の声「ガザ・イスラエル戦争 ~一日も早い停戦を~」に詳しく述べられている通りです。 […]

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