Some Taliban Members Oppose Ban On Women’s Education

(WAJ: 毎週金曜日にEメール発信される『アザディ・ブリーフィング』3月8日号は興味深いニュースを届けてくれた。本サイトでは幾度となくターリバーン内部の女子教育制限批判の動きを報じてきたが、ここでは2人のターリバーン指導者による最新の批判が紹介されている。ターリバーンのかたくなな姿勢を変えない限りアフガニスタンに未来はない。そのためには外からの断固たる批判と、内部からのそれに応える動きがない限り変革は無理である。その意味で、本サイトで自伝を長期連載した、あの悪名高きグアンタナモ刑務所で4年間の獄中闘争を戦った不屈の闘士でターリバーン創設者のひとりでもあるザイーフがカーブルにいて批判の声を上げた事実は貴重だ。ちなみに3月8日は伝統ある「国際女性デー」(かつての国際婦人デー)である。)

 

2024年3月8日
アブバカル・シッディーク


アフガニスタンの女性たちが、ターリバーン政権に女子校の再開と女性の十分な雇用機会の確保を求め、カーブルで抗議デモを行った。

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RFE/RL(訳注:Radio Free Europe/Radio Liberty:ラジオ・フリー・ヨーロッパおよびラジオ・リバティー は、アメリカ合衆国議会の出資によって運営されている報道機関である。東ヨーロッパからロシアを主な対象地域とするラジオ放送を行っている。本部はプラハ。 ウィキペディア)のラジオ・アザディ上級特派員のアブバカル・シッディークです。以下は、私が追跡してきたことと、今後の注目点です。

重要な問題

ターリバーンの元高官アブドゥル・サラム・ザイーフ(Abdul Salam Zaeef/訳注:第1次政権時代のターリバーンの重鎮でグアンタナモから釈放されたあと詳細な自伝を発表した)は、過激派グループによる女性教育への厳しい制限を批判している。

「近代教育に反対したり、その重要性を貶める議論を捏造したりする者は、完全に無知であるか、イスラームの衣をまとってムスリムに反対しているかのどちらかだ」と彼は5日、X(旧ツイッター)に書き込んだ。

<参考サイト> ザイーフのXサイト(@abdulsalamzaeef)
https://twitter.com/search?q=%40abdulsalamzaeef&src=typed_query

 

カーブルを拠点とするザイーフは、ターリバーンの創設者のひとりであり、1996年から2001年までターリバーンが政権を握った最初の時期には副大臣(訳注:防衛省と資源産業省)と大使(訳注:2001年9月11日に米国で同時多発テロが起きたときのパキスタン大使)を務めた人物である。

2021年に権力を掌握して以来、ターリバーンは小学6年生より上の女子の就学と女性の大学進学を禁止し、国際的な非難を招いた。

ザイーフは長年反対意見を表明してきたが、最近、女性教育に対するターリバーンの制限を公然と批判した2人目の著名人となった。

1人目はターリバーンの外務副大臣であるシェール・モハマド・アッバス・スタニクザイ(Sher Mohammad Abbas Stanikzai)で、女性教育の禁止を撤回するよう政府に求めた。

「学問はすべての人に開かれたものであるべきだ。教育なくして国の発展はありえない。」と彼は述べている。

それが重要な理由:

ザイーフとスタニクザイの発言は、女性教育の問題をめぐるターリバーン内の対立を浮き彫りにしている。

ターリバーンの精神的指導者であるムッラー・ハイバトゥッラー・アフンザダ(Mullah Haibatullah Akhundzada)は、その過激な政策をグループ内部の人物から非難されているが、女性の権利を厳しく制限することもそのひとつである。

「純粋な」イスラーム体制を作ろうとするアフンザダは、多くのアフガニスタン人を疎外し、ターリバーンの未承認政府を国際的に孤立させた。

今後の展開:

ターリバーンの神権体制のもとでは、アフンザダがすべての重要事項に関して最終的な発言権を持つため、グループの政策が穏健化されるかどうかは不明だ。

抑圧的な政策の撤回と包括的な政府の樹立ぬきで、ターリバーンが国際的な承認を得る可能性は低いと思われる。

何を注視すべきか:

国外で稼ごうとするアフガン労働者や貿易業者によれば、湾岸諸国でビザ制限が強化されている。

過去40年間、ペルシャ湾の産油国は、何十万人もの貧しく教育を受けていないアフガン人に仕事を提供してきた。

「行きたくても湾岸アラブ諸国は現在、アフガン人へのビザ発給に消極的だ」と、南西部のホースト州に住むナキブラーはRFE/RLのラジオ・アザディに語った。

「アフガンでは商売にならないが、アラブ首長国連邦に行こうと思ってもビザを取るのは大変だ」とは、同州の貿易商アスマトゥラ・ザドランの言葉である。

独立調査機関であるアフガニスタン・アナリスト・ネットワーク(訳注:https://www.afghanistan-analysts.org/en/の1月の報告書によると、オマーンを除く湾岸諸国は現在、アフガニスタン人に就労ビザを与えていない。

重要な理由:

アフガニスタン人に対するビザ規制の強化は、湾岸で働く家族からの送金を当てにしていた何万もの家族に影響を与えそうだ。

アフガニスタンは、ターリバーンに占領されて以来、すでに経済危機と大量失業に苦しんでいる。

湾岸諸国からの送金の減少は、数百万人が飢餓に瀕しているアフガニスタンの経済状況をさらに悪化させる可能性が高い。

私からのコメントは以上です。質問、コメント、ヒントがあれば、忘れずに送ってください。

アブバカル・シッディーク

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