(2025年6月16日)
コメ問題、1500兆円国際問題の解決策
~AIも真剣に日本の将来について考える~
発端は読者の声
ムソウ国師さんが、目下日本を騒がせているコメ問題にふれる投稿をしてくれた。
社会(共同体=クニ)に必須の物的基盤である米が国家の支配に組み込まれ利用される歴史を思い返えさせるコントだった。それに刺激されてふと浮かんだのが江戸中期・吉宗将軍の享保の改革。この時の米札(べいさつ)だった。小生の乏しい歴史知識でも、幕府の財政再建のために導入されたこの施策と、それをきっかけに流通をあずかる大阪商人などの力が増大したこと(日本的ブルジョアの発生)を知っている。
そこから連想したのが、1500兆円にのぼる国債問題を、550兆円にも積みあがった企業内部留保金を活用して解決できないか、というアイデア。つまりは経済を活性化して利益を生み出さない限り負債は解決できないのだ。
そこで、最近その威力が一般にも知れ渡ってきたAI(ChatGPT)に聞いてみた。
いや~驚きましたね。
AIのすごさとその活用方法については<視点>でも何度か書いたけれど、そのときよりさらに数段賢くなっている。
専門家からみれば突っ込みどころ満載だろうが、まずはAI君とのやり取りをご覧あれ。
ChatGPT君との会話
まずはつぎのように聞いてみた。
【問】日本では国債1500兆円が問題にされている一方、企業の内部留保金が550兆円以上あるといわれています。国の債権問題を解決するために企業の内部留保金を債券化するなどの有効解決法はないのでしょうか。
すると次のような答。
【答】とても鋭いご質問です。「国債残高(約1500兆円)」と「企業の内部留保(約550兆円)」という二つの大きなマクロ経済上の数字を結びつけて、国家債務問題の解決策として企業の内部留保を活用するという発想は一見魅力的に思えますが、実際にはいくつかの経済的・制度的なハードルがあります。
「では米札に学ぶ解答を論文風にまとめてほしい」と注文したら、国債や企業内部留保金などの用語の整理をし、つぎのような論文案を提出してきた。1文字も修正せずそのまま転載する。
AI君が2秒で執筆した論文案
タイトル:企業内部留保を担保とした国家信用拡張の可能性――現代版「米札」構想の検討
はじめに
現在の日本は、1,500兆円を超える政府債務を抱え、財政健全化が喫緊の課題となっている。一方、企業部門は長年にわたり内部留保(現預金および利益剰余金)を積み上げており、その総額は550兆円を超えるとされる。本稿では、この企業の内部留保を国家信用の担保資産とみなし、これをもとに国家が新たな信用通貨または特別債券を発行するという、いわば現代版「米札」構想を検討する。
1. 歴史的先例としての「米札」と「札差制度」
江戸時代、幕府および諸藩は米蔵にある米を担保に「米札」を発行し、民間商人からの資金調達を可能とした。これは実物資産を信用基盤とした貨幣の一種であり、財政危機下における信用創造の実例である。特に第8代将軍・徳川吉宗は、大阪商人との関係を活かし、享保の改革の中でこの制度を活用した。
2. 現代日本における類比的構造
今日の日本においても、国家と民間の資産構造には大きな乖離が存在する。国家は累積債務に苦しむ一方、企業は投資機会の不足とリスク回避的傾向から、利益剰余金を積み増し続けている。特に大企業では、現預金比率が極めて高く、いわば「死蔵された資本」が経済循環から外れている状態である。
3. 政策的可能性
本稿が提案するのは、以下の3つの政策的枠組みである:
3-1. 特定目的国債の企業引受
政府が発行する特定目的型の国債(例:グリーン国債、AI・インフラ開発債など)を、企業が自主的に引き受ける制度。これは既存の財政投融資制度の民間版とみなすことができる。
3-2. 内部留保担保証券(企業担保債)の創設
企業の純資産や利益剰余金をベースにした「内部留保担保証券」を制度化し、これを中央銀行または政府が買い取る。これにより、内部留保が実質的に信用貨幣化される。
3-3. 公的基金への協調的拠出
企業が特定の国家目的(防災、教育、科学技術振興など)に資金を拠出し、それを担保として国債や通貨を発行するスキーム。一種の準課税的措置であるが、インセンティブ設計により自主性を尊重する。
4. 実現への課題とリスク
法制度上の障壁
会社法上、内部留保は必ずしも自由に処分可能な資産とは限らず、担保設定には会計・監査上の精緻な制度設計が必要である。
通貨信用の維持
信用通貨として発行する場合、インフレ圧力や通貨価値の下落リスクへの対応が不可欠である。過剰な通貨供給は市場の信認を損なう危険がある。
民間協力の確保
企業側にとって明確なメリットが提示されなければ、制度は機能しない。例えば税控除やレピュテーション向上など、協力へのインセンティブ設計が必要である。
おわりに
本構想は、過去の米札制度に学びつつ、現代日本における財政・貨幣政策の革新的な可能性を探るものである。もちろん、法制度、金融システム、企業行動の全てに関わる広範な調整が必要であるが、「眠れる資本」を社会全体の活力へと転換する道は模索に値する。経済の閉塞を打破する新しい信用創造の一手として、さらなる研究と政策検討が求められる。
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当否は別として、原案のひとつとしては検討に足る素案ではないだろか。
「眠れる資本」を社会全体の活力へと転換する道は模索に値する、と答えたので、その考えをベースに問題点を踏まえた解決案を提案させてみた。いろいろと興味深い考えを述べてきたので、その考えまとめてプレゼン資料の原稿をつくってくれ、と。すると次の原案を提出した。
プレゼン資料案
タイトル:
企業内部留保を活用した国家財政健全化の新提案
~550兆円の民間資金を社会的投資に活かす方法~
スライド1:問題提起
日本の国家財政における二つのギャップ
国の借金(国債):約1,500兆円
一方で、企業の内部留保:約550兆円
なぜ、これだけの民間余剰資金があるのに国の将来投資が不足するのか?
スライド2:内部留保とは?
内部留保=企業の利益の蓄積
会計上の「利益剰余金」など
現預金だけでなく、設備・在庫・金融資産等も含む
主な目的:将来の投資・危機対応・株主資本の強化
注意:自由に使える現金とは限らない
スライド3:なぜ国債の返済には使えないのか?
内部留保は民間の私的財産(憲法上の保護対象)
政府が強制的に活用することは困難
「返済」に使うには法的・制度的制約が多い
そこで、「返済」ではなく「協働による投資」という新発想が必要
スライド4:基本アイデア
内部留保を債券購入・ファンド出資へ誘導するしくみ
目的:国家の財政健全化と成長投資を両立
手段:企業にとって合理的な形で政府の資金調達に協力してもらう
スライド5:政策提案①
インセンティブ付き国債購入制度
一定額以上の内部留保を持つ企業に対し:
国債購入による法人税控除
または 優遇金利国債(例:ESG国債)を設計
メリット:民間資金が国に流れる/企業の社会的責任(CSR)向上
スライド6:政策提案②
公共投資共同ファンドの創設
政府+民間(企業)によるインフラ・教育・脱炭素などへの投資ファンド
政府は呼び水資金+保証、企業は資産運用として参加
例:「未来投資ファンド」、「グリーン国土再構築ファンド」など
企業にとってもリターンあり/国の将来価値創造に貢献
スライド7:制度設計のイメージ図
(図示:内部留保 → ファンド or 国債購入 → 政府事業投資 → 成長・税収増)
スライド8:期待される効果
分野 効果
国家財政 成長投資により税収増加/債務残高の相対的縮小
企業経営 社会的責任を果たしつつ合理的な資産運用が可能
経済全体 乗数効果による経済活性化/民間資金の循環促進
スライド9:リスクと対応策
リスク 対応策
民間資金の逃避(海外流出) 投資対象の透明性、リターン保証、税制優遇
政府による乱用の懸念 独立性のあるファンド機構/民間審査の導入
財政的リスク 成長戦略に連動したスキームに限定
スライド10:まとめ
内部留保を国債返済に直接使うのは難しい
しかし、民間資金を国の成長投資に**「誘導」することは可能**
政府・企業・市民が協働して、持続可能な社会を実現する新しい社会契約へ
スライド11:Q&A
ご質問ありがとうございます。
民間資金活用のアイデア・制度設計に関する議論をお待ちしています。
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AI君はまだまだやる気
ご親切にも、AI君は、
ご希望であれば、この内容をPowerPoint形式(.pptx)またはPDFとして出力できるようにデザインして納品することも可能です。
また、グラフ・図解・事例データ付きの拡張版の作成もできます。ご希望されますか?
と言ってきた。
「いえいえ今はそこまでしてくれなくて結構。とりあえず、あなたの意見を参考に自分の考えをまとめてみます」と答えてはみたけれど、人前でプレゼンするまでの原稿を自力だけで作成するには一体何時間、いや何日かかるだろうか。
AI君を相棒にすれば提案書づくりが飛躍的に短縮化できることは間違いない。実際、今回の<視点>もあっというまに仕上がった。AIの進化はずるする人間をますます増やす結果をももたらしそうだ。
ア~オドロイタ。
【野口壽一】