Noahpinion Hey Democrats:Stop fiddling while Trump burns America
Someone has to stop the Mad King.
誰かが狂った王を止めなければならない
(WAJ: 野党であるアメリカの民主党は関税反対の断固たる姿勢が取れていない。法的には、トランプ大統領の関税攻撃を議会は止めることができる。にもかかわらず民主党は煮え切らない態度をとっている。あのバーニー・サンダース議員でさえそうだ。そのようなねじれた錯綜する複雑な状況が生まれている背景には、グローバリズムに反対するトランプ氏の過激主義がある。アメリカが進めてきたグローバリズム、超新自由主義のもとで富をかき集めてきたエリート層へのアメリカ民衆の怨嗟をトランプ大統領の政策は踏み台にしている側面があるからだ。単純な「トランプ反対」「アメリカ反対」では、足元をすくわれ、危険な動向に掉さす可能性がある。しっかりした視点が求められる。アメリカの反トランプ陣営の問題点を鋭く突く本稿は貴重だ。巻末にAIによる用語説明を付記した。)
ノア・スミス(アメリカのエコノミスト/Noahpinion主宰)
2025年4月7日
投資家はトランプ大統領の異常に高い関税がすぐに撤回されないことに気づいた。結果、米国株式市場は暴落を続けている。
ドナルド・トランプ大統領が米国の主要貿易相手国に驚くほど高い関税を導入したことを受けて、2日間にわたり株式市場が歴史的な暴落を見せた後も、ホワイトハウスは反抗的な姿勢を崩さなかった。そのため、米国株先物は日曜夜に下落した…ダウ工業株30種平均先物は日曜夜に1531ポイント、つまり4%下落し、月曜にまた厳しい取引が控えていることを示唆した。S &P500先物は4%下落。ナスダック100先物は4%下落。(訳注:㋃7日月曜日の終値は3万7958ドル、関税率発表前4月2日の4万2215ドルにくらべ10.1%の下落)
S&P 500先物は、わずか3回の取引セッションで15%下落した。これを「暴落」と呼ぶのはもはや誇張ではない。ドナルド・トランプ氏の政策により、わずか数日間ですでに5兆ドル以上のアメリカ人の富が消え去った。月曜日の市場が予想通りであれば、その額はすぐに10兆ドルになる可能性がある。¹そして、それは最初の3日間に過ぎない。多くの投資家は依然として関税が一時的なものだと予想している。
<Basil氏の書き込み:訳>
「うん、投資家のたった15〜25%しか、それが6か月後も続いていると思ってないんだよ(笑)」
1. 関税について:あなたの考えでは、発表された関税の最もあり得る結果は何だと思いますか?
A: わからない
B: 1カ月以内に関税が引き下げられる
C: 3カ月以内に関税が引き下げられる
D: 6カ月以内に関税が引き下げられる
E: これらの関税はより長期間維持される
F: 報復措置により関税が引き上げられる可能性がある
Basil ㋃5日
ウォール街の誰一人として、これらの関税が2か月以上続くとは思っていないし、これが現実になると気づいたときに事態は本当にひどくなるだろう。
つまり、私たちがすでに経験した崩壊は、これから起こることの始まりに過ぎない可能性があるということだ。
アメリカ国民は当然ながら、この無謀な経済破壊に激怒している。関税への支持は50%を超えたことはなく、現在では完全に最低水準に落ち込んでいる。経済、雇用、国際貿易は、外交政策に加わり、アメリカ人がトランプ氏を最も嫌う問題となっている。
<アメリカ世論調査:訳>
トランプの対応に対する純支持率:
移民政策:+4%
汚職対策:−10%
雇用/仕事:−13%
経済運営:−15%
経済運営:−16%
国際貿易:−18%
Ipsos社調査 / 2025年4月2日 / n=1486
米国政府の経済政策に対する否定的な見方は、大不況時よりも高いレベルにまで高まっている。
アメリカの消費者はトランプの経済政策に急速に不満を抱き始めている
「政府の経済政策に否定的な意見を持っている」成人の割合
株式市場だけの問題ではない。ほとんどのアメリカ人は、関税が実体経済に悪影響を及ぼし、失業率の上昇や所得の減少につながると予想している。
来年失業が増えると予想する人の割合
今後5年間で、自分の収入がインフレより速く増えると予想している成人の割合
民間の予測家たちは、差し迫った景気後退の確率を引き上げている。予測市場もそれに同調している。
一方、狂ったトランプ王は株式市場を暴落させたことを自慢している。
トランプは意図的に市場を崩壊させている
トランプ氏の同盟者や支持者の中にも、尻込みし始めている者がいる。ビル・アックマン氏は「我々は自ら招いた経済的な核の冬に向かっている」と宣言し、イーロン・マスク氏は欧州との関税ゼロの自由貿易圏を求めた。マスク氏はまた、関税の最も影響力のある支持者であるトランプ氏の経済顧問ピーター・ナバロ氏を激しく非難した。²
ここで重要なのは、議会がいつでも介入してこの狂気を止めることができることを覚えておくことだ。関税を制定する権限は憲法で議会に留保されており、トランプ大統領がこれらの関税を一方的に設定できるのは、議会が一連の法律で大統領にこの権限を与えたからにほかならない。議会はいつでも、新しい法律を可決し、これらの関税を消滅させることができるのだ。
そして実際、少なくともそのような法案が現在2件提案されている。ひとつは上院のチャック・グラスリー氏とマリア・キャントウェル氏によるもので、もうひとつは下院のドン・ベーコン氏によるものだ。これは良いことだ。たとえトランプ氏が拒否権を発動したとしても、私はこれらの法案が可決されることを願っている。最終的に、事態が悪化し、トランプ氏の人気が落ち込むと、民主党と共和党が団結して拒否権を覆し、関税の悪夢を終わらせるために必要な3分の2の多数派を形成する可能性がある。
しかし、すぐに気づくべきことがある。それは、関税反対運動を主導する3人の議員のうち、ベーコン議員とグラスリー議員の2人が共和党員だということだ。概して、民主党は反関税運動の先頭に立ってはいない。
これは民主党が完全に沈黙しているという意味ではない。ナンシー・ペロシ氏のように、関税に反対する声明を出している人は多い。
<ナンシー・ペロシ議員の書き込み:訳>
トランプ政権の目に余る不器用さは我々の経済をぶち壊しており、それは自業自得なのだが、勤勉なアメリカ人の家族を苦痛の矢面に立たせたままにしてしまう。
ミスを決してするな:トランプ大統領の意味なき関税は物価を押し上げ、退職後の貯金を目減りさせ、我々を不況の瀬戸際に追い詰める。
1988年にロナルド・レーガン大統領は言った、「我々の友人に対し貿易戦争を宣言する準備万端のデマゴーグには気をつけるべきだ。それは我々の経済、我々の社会保全、そして全自由主義世界を弱める。皮肉にもアメリカの旗を振りながら。」
レーガン大統領の言葉は当時において真実で、今も真実だ。願わくはトランプ氏と議会にいる私の共和党の同僚たちがこの知恵に注意を捧げんことを。
しかし、これまでのところ、進歩主義者がイーロン・マスク氏の DOGE を攻撃した時のような激しい非難はなかった。バーニー・サンダース氏は、DOGE に対して、大勢の観客を集めた「寡頭政治を止めろ」という大騒ぎのツアーで応じた。しかし、関税に対する彼の反応は慎重で曖昧なものだった。
中国、メキシコ、その他の低賃金諸国との破滅的で無制限な自由貿易協定に反対する運動を主導した者として、私は、大企業のCEOだけでなく、米国の労働者に利益をもたらす貿易政策が必要であることを理解している。そして、それには、企業が米国の雇用や工場を海外にアウトソーシングするのを阻止する強力な手段となり得る、対象を絞った関税も含まれる。
結論:私たちには、合理的で、よく考え抜かれた、公正な貿易政策が必要だ。トランプ氏の全面関税は、その方法ではない。輸入品に一律かつ恣意的な売上税を課す必要はない。そうすると、アメリカ国民が切実に必要としている製品の価格が上昇する。我々は、価格を極端に高くするのではなく、価格を下げるためにできる限りのことをすべきだ。
民主党員の中には、トランプ大統領の関税を弁明する寸前まで来ている者もいる。ペンシルバニア州選出の³クリス・デルジオ下院議員は、トランプ大統領の政策の実施を批判する声明を発表したが、全体的なアプローチは支持しているようで、関税によるインフレの対策として価格統制を求めている。
私は関税を、共産主義中国のような悪質な行為者や貿易詐欺師に対抗する手段として使うことを支持する。強力な産業政策や労働者支援政策と並行して関税を戦略的に使って、アメリカの雇用と消費者を守ることを支持する。そして、西ペンシルベニアにいる私たちのような勤勉なアメリカ人にとって可能な限り最良の取引を得るために、USMCAのような貿易協定を積極的に再交渉することを支持する…私は、アメリカの産業と雇用を破壊し、頻繁に機能不全に陥る広範囲にわたるサプライチェーンを生み出した、何十年にもわたる自由貿易に関するワシントンの合意を支持しない。それはラストベルトだけでなくそれ以外の地域にとっても悪い取引だった。そして、外国の貿易詐欺師が労働者を搾取してアメリカの雇用を奪うのを許すことも支持しない…大統領には、関税を隠れ蓑にした企業による値上げを阻止する権限がある。なぜ大統領はそれを使わないのだろうか?
下院民主党は、デルジオ氏が同様の声明を発表するビデオをツイートし、トランプ大統領の全般的なアプローチに対する限定的な支持を示唆する文章を付け加えた。
<下院民主党:訳>
本日の民主党日々ダウンロード:西ペンシルベニア州選出のデルジオ議員
彼はいかにトランプ氏の貿易政策がカオス的混乱そのものであるかを説明する。しかしその同じ関税がうまく課せられ、労働者の側に立つ強固な産業政策と対になされるなら、製造業を超充電するのに役立つことが出来るとも言う。
我々は勤勉なアメリカ人に本当の政策を提案している。その目的は彼らの家族とコミュニティを強くするためだ。強盗男爵や大企業に税金をネコババされているのを隠すための愚衆政治が目的ではない。
これでは、はっきり言って、滑稽なほど手ぬるい。トランプ大統領が株式市場に与えている、そしてまもなく米国経済に与えることになる意図的な破壊を、故意に引き起こした大統領はこれまでいない。前世紀の政策ミスで比較できるのはイラク戦争だけであり、その大失敗は何年もかけて展開された。民主党には、あらゆる屋根に駆け上りトランプ大統領を非難し、前例のない怒りの波に乗って2026年の中間選挙で議会の完全勝利を収める絶好のチャンスを手にしている。しかし、彼らはそれを放棄し当たり障りのない声明を発表し、重箱の隅に拘泥し、アメリカの繁栄を共和党の狂王から守る主導権を、こともあろうか共和党に握らせている。
一体何が起きているのか? もしこれが民主党側の戦略的で計算された動き、つまり共和党連合を分裂させてから、その機に乗じて天下をとる動きだとしたら、民主党にはデルジオ氏のような関税の苦しい準擁護は不要で、ペロシ氏のような厳しい声明をもっと出すだけでいいと私は思う。だが現実は厳しい。トランプ氏が実際に、進歩主義者たちが何十年も夢見てきた新自由主義に対する大反撃を実行に移しており、民主党はそれが急速に大火事に変わりつつあるという事実を前に対処法がよくわかっていない。そのことは明らかだと思われる。
トランプ氏の関税支持は、実はある意味政治的な逆転現象だ。何十年もの間、貿易協定が米国の労働組合を弱体化させ、米国の雇用を低賃金の国に流出させ、環境を破壊していると懸念していたのは民主党と左巻きの労働者たちだった。近年、自由貿易をその主要な柱のひとつとする新自由主義が米国の問題の核心であると気づいたのは進歩主義者たちだった。
「反新自由主義」は、現代の進歩主義運動のなれの果てだ。社会主義を批判する者たちは、気に入らないことには何でも「新自由主義」というレッテルを貼った。ルーズベルト研究所やヒューレット財団のような進歩主義シンクタンクは、新自由主義の後に何が来るかを決めることに専念する思想家やイベントに資金を提供した(私自身、これらのイベントのいくつかに参加した)。ウォーレン運動(バイデン政権にかなりの影響力を持つ知識人エリートのプロジェクト)は、独占禁止法、価格統制、労働組合への支援強化などを主要な政策手段として、この概念を実践に移し始めた。ジェイク・サリバン氏やジェニファー・ハリス氏のような国家安全保障志向のリベラル派は、産業政策(私も強く支持)に重点を置いていた。サンダース運動(政策に多少影響を与えたものの、決して権力を獲得することはできなかったポピュリスト運動)は、懲罰的な高税や産業の国有化など、さらに劇的な政策を求めた。
これらのリストのいずれにも、関税や貿易赤字が目立った位置を占めていないことに気づいて欲しい。反新自由主義は自由貿易に間違いなく懐疑的であり、バイデン氏は特定の中国製品に戦略的かつ的を絞った関税を課した。しかし、関税は反新自由主義のイデオロギーの非常に重要な部分ではなかったし、貿易赤字をアメリカが他国に利用されている証拠として挙げる進歩主義者はほとんどいなかった。最も熱心なバーニー支持者でさえ、トランプ氏が今実行しようとしている貿易破壊のレベルにはおそらくためらっただろう(バーニー氏自身も間違いなくそうだっただろう)。
しかし、たとえて言えば進歩的な反新自由主義運動がスローレーンで遊んでいる内に、トランプ氏が改造車で彼らをあっさりと追い抜いていった。トランプ氏は今や反新自由主義の旗印をつかみ取り、かつての運動指導者たちが夢にも思わなかった方向へと、それをさらに推し進めている。
現在、進歩主義の指導者たちは、自由貿易の旗印を掲げてトランプ氏と戦い、勝ちを収めた場合、関税とともに反新自由主義政策全体が放棄されるのではないかと恐れている。それはもっともな恐れだと思う。皮肉にもトランプ氏はすでに、ほとんどのアメリカ人に自由貿易に対するより肯定的な見方を植え付けており、関税による経済破壊が広がるにつれて、彼への反発はさらに激化するだろう。
<図表訳>
貿易に関するアメリカ人の見解
アメリカにとって、外国貿易は何を意味すると思いますか? 外国貿易は、米国の輸出増加による経済成長の機会と見ますか、それとも外国からの輸入による経済への脅威と見ますか?
緑線% 経済成長の機会
青線% 経済への脅威
破線% 意見なし
我々は確かに自由貿易への回帰という世代交代を目の当たりにしているのかもしれない。そしてそれは間違いなく進歩主義者たちのへその緒たる反新自由主義プロジェクトを危険にさらす可能性がある。
この可能性は反新自由主義の思想家や活動家を少々パニックに陥れており、その結果彼らは激しく曖昧な態度を取っている。
<Zephyr氏 の書き込み:訳>
トランプ氏の破壊的関税政策をあげつらって、いかなる関税政策においてもなにかいっぱしのものとするのは、ほとんど陽気すぎて確実にマニアックな欲望がないと無理です。それが財政の教室で習う第1原則。
彼らは財政と政治の両方で間違っており、ほとんどの人は新自由主義的超グローバル化には辟易としています。
オバマ氏が2008年に反NAFTAを掲げて勝ったのには理由があって、それは過去の失われた世代の存在でした。
最も活発な根っからの民主党支持者はしばしば超自由な商人ですが、それは正常な事態ではないのです。
<David Sirota氏 の書き込み:訳>
トランプ氏の関税はただ労働者階級を傷つけて終わります。ただ面白いのは、エリートたちが今になって正直にかつ誇りを持って、宣言していることです。米国の経済は向こう岸の製造業に頼り続ける「べき」で、アメリカ人の労働者など独裁国のいかれた召使いたちにとって代わられる運命だと。
こうして進歩主義運動の完全なる失敗が横たわる。このような態度を取る民主党員は、権力を勝ち取る一生に一度のチャンスを、彼らの悪名高い巧みな指の間から逃してしまうだけではない(もちろんそれは事実だが)。近代アメリカ史における最悪の経済的自己破壊行為をはっきりと非難し、反対することを拒否する。それによって、進歩主義者は民主党内の新自由主義を標榜するライバルに偉大な知的勝利を与え、彼らのつたない革命を歴史のゴミ箱に捨ててしまうことになる。
おそらく進歩主義者の中には、トランプ氏がダメージを与えた後、民主党が政権を奪還するが、トランプ氏の関税の一部はそのまま残るはずだと想像する人もいるだろう。そのようなことは以前にも起きている。例えば、バイデン氏はトランプ氏が最初の任期で中国に課した関税を維持した。進歩主義者は、トランプ氏が自分たちのためにオヴァートンの窓(訳注:下記サイト参照)を動かして露払いをしてくれていると考え、トランプが去った後、彼らはなんとかして戻ってきて、妥協案としてより穏健な反新自由主義を提示する運命にあると自分に言い聞かせるかもしれない。
<参考サイト> オヴァートンの窓
https://makitani.net/shimauma/overton-window
私は、そんなことが起きることには大きな疑問符をつける。第1期トランプ政権の関税が存続できた理由は、それほど大きなダメージを与えなかったからだ。アメリカ人が経済的に本当に苦しむとき、たとえば2008年の金融危機の後、彼らはしばしば、自分たちに痛みを与えたとみなされるものに対して全面的に反対する。金融危機の後、彼らは金融業界に反対し、その結果、第2次世界大戦以来最も厳しい金融業界の規制が生まれた。エンロン事件の後、サーベンス・オクスリー法は、企業会計の規制という点でおそらく過剰修正だった。そして、トランプ氏が今やっていることよりはるかに小規模だった1929年のスムート・ホーリー関税を最後に、自由貿易は何世代にもわたって続く金科玉条となった。
これがすべて終わった後、もしアメリカ人が「反新自由主義」イコール関税であると定めたら、彼らは自宅の庭にミルトン・フリードマン(訳注:新自由主義の思想に基づき、政府の役割を小さくし、市場メカニズムに経済を委ねることを主張した20世紀の経済学者)の屋敷稲荷を建てて当然だ。⁴ 産業政策、独占禁止法、増税などの考えが関税と関連しているなら、それらも捨て去られる運命だ。そして議論は次のようなことを言う人々でいっぱいになる。
<アレクセイ・グゼイ議員の書き込み:訳>
あんなに多くの人が産業政策に目覚めながら関税にむかつくのは何でだろー。兄弟なら知的な糞は一緒にくらおう。
進歩主義者と彼らに耳を傾ける民主党員が自らのいかれた計画から何かを救い出したいのであれば ― 救い出す価値のある重要な部分があることには私も同意する ― 彼らは「まあ、関税は正しく実施されれば役立つが、トランプ氏の関税はどうもやり方がまずいね、ブツブツ」と愚痴るのをやめて、こんな言い訳よりもずっと良い何かに気づかねばなるまい。
幸いなことに、「新自由主義」や他の大きなイデオロギー的概念について語ることなく、力いっぱい振り絞ってトランプ氏の関税を攻撃することは容易に可能であるはずだ。関税はアメリカの労働者階級を圧迫するだろうから、そう言えばいい。関税はアメリカの産業空洞化を大幅に加速させ、工場労働者を失業させるだろうから、そう言えばいい。関税は中流階級を貧しくし、失業率を上げ、退職後の貯蓄を破壊し、購買力を蝕むだろうから、そう言えばいい。
「新自由主義」や「エリート」や「金融階級」などと結びつける必要はない。より使い古されたイデオロギーの争いの一部にする必要はない。そうした考え方は、議員のツイッターアカウントを管理する民主党スタッフ層には響くかもしれないが、平均的な有権者は「関税は悪い、だからトランプ氏は悪い」以上のメッセージを実際にはあまり必要としない。関税は進歩主義政策の主要部分ではなかった。フランクリン・D・ルーズベルトは1934年の貿易協定法で関税を大幅に削減した。
こう考えても、産業政策や独占禁止法は良いことだとまだ言えるだろう。たとえ「新自由主義」に関する理論によって頭の中で密かに結びついたとしても、レトリックの中でそれらを結び付ける必要はない。関税を進み来るバスの下に放り込み、アメリカ国民をイデオロギーに関する学生好みの青くさい議論から解放してほしい。
また、民主党は、これを階級闘争にしようとするのを本当にやめてほしい。一部の民主党員は、関税によって富裕層が利益を得ると主張しようとしているが、それはどう考えても無理筋だ。
<Chuck Schumer氏の書き込み(トランプ大統領の書き込みのリツィート):訳>
<Donald J. Trump>
米国にやって来て巨額の資金を投資している多くの投資家に対して、私の方針は決して変わりません。今は金持ちになる絶好の機会です。かつてないほど金持ちになるのです!!!
それを信じるほど愚かな人はいない。金持ちは株を大量に所有しており、市場が暴落すると金持ちこそが大きな打撃を受けることは誰もが知っている。
階級闘争は、国を支配し直すための基盤として常に使われてきたが力不足だ。そのうえ関税を「億万長者対その他全員」という構図に押し込もうとするのは、まったく馬鹿げている。これはまさに経済学入門で教えられるパレート改善(訳注:利益・不利益の分配は平等かつ最大限・最小限に)がぴたりと当てはまる状況のひとつであり、愚かな政策が億万長者と労働者階級のアメリカ人を等しく苦しめている。狂人が船体に穴を開けるのを阻止しておけば、上げ潮来たりなば再度船は浮かぶのだ。
要するに、民主党員と進歩主義者は、狂気の王とその関税的狂気との戦いにおいて矢面に立つ必要がある。あげつらわれている関税は明らかに実行可能な経済的、政治的プログラムではない。関税を撃退する先頭に立つ人々が、事実上、アメリカの経済政策のリーダーとなる運命だ。あなたもそうした人々になってほしい。
【原注】
1. 参考までに、これまで記録された米国の最大の貿易赤字は1兆ドル未満だった。株式市場の暴落と貿易赤字を比較する正当な理由はない。なぜなら、貿易赤字は実際には米国の富の損失をまったく表していないからだ。しかし、たとえそうであったとしても、トランプ氏の株式市場の暴落ははるかに大きなものとなるだろう。
2. 「影の大統領イーロン」説はここまでか?
3. 名前負けの感いまだあり(訳注:デルージオを名乗るならイル−ジョンから解き放たれよ、ほどの意味)。
4. OK, this is probably an exaggeration. I hope.
まあ、これはおそらく誇張だろう。そうであってほしい。
========
<本論考理解のための用語解説>(ChatGPT利用)
1)自由主義(Liberalism)
特徴:
個人の自由と権利の尊重が基本理念。
政府の役割を積極的に肯定し、市場の失敗(貧困、不平等、環境問題など)を是正するための介入を支持。
福祉国家、累進課税、労働者の権利保護などを重視。
いわゆる「現代リベラル」は、社会的公正と多文化主義も強調。
代表的論客:
ジョン・ロールズ(John Rawls)
→ 『正義論』で「公正としての正義」を提唱。現代リベラリズムの哲学的支柱。
ポール・クルーグマン(Paul Krugman)
→ 経済学者・コラムニスト。福祉国家と財政出動を擁護。
マイケル・サンデル(Michael Sandel)
→ コミュニタリアン的批判も含みつつ、公共善の重視を通じてリベラリズムの再構築を試みる。
2)新自由主義(Neoliberalism)
特徴:
市場の自由と競争を最重要視。
政府はできるだけ経済活動に関与せず、「小さな政府」「規制緩和」「民営化」「自由貿易」を推進。
経済的自由を通じて個人の自由が実現されると考える。
代表的論客:
ミルトン・フリードマン(Milton Friedman)
→ シカゴ学派の経済学者。自由市場の絶対的信頼と政府介入への強い反対。
フリードリヒ・ハイエク(Friedrich Hayek)
→ 自由市場による秩序形成を主張。『隷属への道』で全体主義への警鐘を鳴らした。
ロナルド・レーガン/マーガレット・サッチャー(政治家)
→ 新自由主義政策の実践者として象徴的存在(英米で1980年代に主導)。
3)反新自由主義(Anti-neoliberalism)
特徴:
新自由主義による格差拡大、公共サービスの劣化、労働環境の不安定化などへの批判。
経済を人間中心に再構築しようとする潮流であり、ポスト新自由主義とも。
経済民主主義、グリーンニューディール、包摂的資本主義などの概念を含む。
一部はマルクス主義や急進的社会主義とも接続。
代表的論客:
ジョセフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz)
→ グローバル資本主義の暴走を批判し、「新しい経済ルール」の必要性を主張。
ナオミ・クライン(Naomi Klein)
→ 『ショック・ドクトリン』で新自由主義の暴力性を告発。
デヴィッド・ハーヴェイ(David Harvey)
→ 地理学者でマルクス主義的視点から新自由主義を分析。『新自由主義』の著者。
補足:3潮流の関係性(ざっくり)
潮流 国家の役割 市場の位置づけ 主な関心
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自由主義 積極介入 公共性と規制を重視 公正と平等
新自由主義 小さな政府 自由で効率的な市場 経済成長と効率
反新自由主義 再分配と規制強化 批判的視点 社会正義と包摂性
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現代アメリカで「進歩主義者(progressives)」と呼ばれる人びとは、リベラルの中でもより急進的・改革志向が強い立場を取る人たちを指す。以下にその特徴をまとめる。
◆ 進歩主義者(Progressives)の主義・特徴
1.経済的平等の重視
新自由主義的な市場の暴走を批判し、富の集中や格差の是正を求める。
最低賃金の引き上げ、富裕層への課税強化、医療・教育の公共化などを主張。
大企業やウォール街への批判が強い。
2.積極的な政府介入を支持
「小さな政府」よりも、積極的な公共投資と再分配を肯定。
気候変動対策(例:グリーン・ニューディール)を通じて雇用創出や産業転換を進めるべきと主張。
3.社会正義・人権・多様性の擁護
**人種・性別・ジェンダー・移民・LGBTQ+**の権利を重視。
警察改革、刑事司法制度の見直し、歴史的差別の是正なども含まれる。
ただし、保守派からは「woke(行き過ぎた社会正義)」と批判されることも。
4.反グローバリズムの一部的受容
多国籍企業の利益優先のグローバル化に反対し、「人間中心の経済」を提唱。
ただし、排外主義ではなく包摂的な国際主義を理想とする。
◆ 代表的な進歩主義者
政治家:
バーニー・サンダース(Bernie Sanders)
→ 社会民主主義者を自称。格差是正・医療の無償化・学費の無料化を主張。
エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)
→ 金融規制や富裕層課税を訴える。労働者や中間層への支援を強調。
アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez, AOC)
→ 若手の急進派。「グリーン・ニューディール」の提唱者。
知識人・活動家:
ロバート・ライシュ(Robert Reich)
→ 元労働長官。経済格差や企業支配に警鐘。
ナオミ・クライン(Naomi Klein)
→ 気候正義と反資本主義的立場からの活動家・著述家。
タナハシ・コーツ(Ta-Nehisi Coates)
→ 黒人差別の歴史と現在を鋭く描き、進歩派の知的支柱の一人。
◆ リベラルとの違いは?
リベラル(Liberal) 進歩主義者(Progressive)
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経済政策 穏健な再分配 より急進的な再分配・公共化
政治姿勢 妥協・中道寄り 改革主導・体制批判的
民主党内の立場 バイデン派など サンダース派・AOC派