America’s Suicide Pact
America’s suicidal march began long before Donald Trump. Trump and the buffoons around him are the inevitable final chapter of the decaying empire.
アメリカの自滅への道は、ドナルド・トランプの登場よりもずっと前から始まっていた。トランプと彼を取り巻く道化師たちは、衰退する帝国の避けられない最終章を象徴している。
(WAJ: 筆者クリス・ヘッジズ氏は、文明は外部からではなく内部の腐敗によって崩壊すると述べ、現代アメリカも同様の危機にあると論じている。レーガン政権以降、共和・民主両党の支配層は企業や富裕層と結託し、民主主義制度を形骸化させ、富を上層へ集中させてきた。労働組合の弱体化、規制緩和、社会保障削減、戦争拡大などによって市民は困窮し、政治やメディアは oligarchy(寡頭支配)の道具となった。トランプはその異常例ではなく、腐敗した体制の「裸の姿」にすぎないと主張する。粗野で露骨ではあるが、彼以前から続く支配層の腐敗を体現しているという。また、エプスタイン事件に触れ、政治・金融・学術・メディアなど各界の有力者が特権階級として結びつき、一般市民ではなく自らの地位維持を優先していると批判する。さらに、民主党も企業利益に従属した「機能不全の政党」であり、真の改革能力を失っていると指摘する。帝国としてのアメリカの衰退が進む中、人々は現実逃避し、移民や少数派をスケープゴート化し、科学や文化よりも排外主義や軍国主義へ傾いている。筆者は、トランプ現象は文明崩壊期に現れる病理の象徴であり、アメリカ社会全体が深刻な道徳的・政治的腐敗に陥っていると結論づけている。その結論は小型化して現代の日本にも表れているようだ。傾聴すべし。)
クリス・ヘッジス
2026年5月8日

生きるか、さもなくば自分でやれ(Live or DIY) – ミスター・フィッシュ
歴史家アーノルド・J・トインビーの名言、「文明は他者に殺されるのではなく、自殺によって滅びる」。文明は内部から崩壊する。道徳的、社会的、精神的な腐敗に陥り、寄生的な支配階級に支配される。民主主義制度は機能不全に陥り、市民は貧困化し、富は支配階級へと吸い上げられ、強制が統治の主要な手段となる。
私たちのこの自滅への行進は、ドナルド・トランプや、彼を取り巻く道化師、追従者、詐欺師、キリスト教ファシストたちが権力を握るよりはるか以前に始まっていた。とりわけレーガン政権とクリントン政権の時代、支配階級が国家と帝国を私的利益のために食い物にし始めた時からである。
こうした人々を表す言葉がある。裏切り者だ。
両大政党の指導部に居座ったこの裏切り者たちは、私たちから資産と権力を少しずつ奪っていった。彼らは策略、虚偽、合法化された賄賂を用いた。選挙政治、三権分立、自由な報道、法の支配を尊重しているふりをしながら、それら民主主義の柱を内部から破壊した。その古い体制は、どれほど欠陥があったにせよ、中身を空洞化された。そして最高裁や議会を見ればわかるように、億万長者階級の命令に従う、無道徳で愚かな人間たちへと明け渡された。
民主主義の最大の敵である寡頭支配層と企業から巨額の資金を与えられた共和党・民主党の政治エリートたちは、抵抗した政治家たちの経歴を破壊した。彼らは労働組合を潰し、誠実なジャーナリストを排除し、報道機関を少数の企業と寡頭支配者の手に集中させた。無制限の強欲を抑え、市民を略奪的企業や環境汚染から守っていた規制は切り捨てられた。さらに彼らは、富裕層に事実上の「納税拒否」を可能にする法律を成立させた。トランプは大統領就任前15年間のうち10年間、連邦所得税を支払っていなかったことで知られる。一方で国内産業は解体され、約3000万人が職を失った。富はもはや生産や製造から生まれるのではなく、株式や商品の価格操作、そして国民に重い債務奴隷状態を強いることで生み出されるようになった。
こうした寄生者たちは社会保障を削減・廃止し、警察を軍事化し、世界最大の刑務所システムを築き上げ、肥大化して制御不能になった軍需産業へ資金を注ぎ込んだ。ドイツの社会主義者カール・リープクネヒトは、第1次世界大戦という自滅的愚行の直前、ドイツ帝国主義者を「国内の敵」と呼んだ。私たちの支配者、すなわち国内の敵もまた、帝国の世界的覇権を衰退させる無意味な戦争を次々と引き起こし、納税者の数兆ドルを自分たちの銀行口座へ流し込んだ。イランはその最新の例にすぎない。
トランプは例外的存在ではない。彼はこの自滅的な契約の、むき出しで飾り気のない表現にすぎない。彼は自分が引き継いだ体制が機能しているふりをしない。嘘もより露骨だ。自分と家族をあからさまに富ませ、粗野な下品さで語る。環境保護庁、教育省、郵便公社など公共善のために存在する政府機関を解体していく。しかし彼は、自由主義的な装飾を剥ぎ取っただけで、それ以前から続いてきたものを体現している。
私は『America: The Farewell Tour』でこう書いた。「トランプは異常ではない」と。
彼は、崩壊した民主主義のグロテスクな顔そのものである。トランプと、彼を取り巻く億万長者、将軍、愚か者、キリスト教ファシスト、犯罪者、人種差別主義者、そして道徳的逸脱者たちは、ウィリアム・フォークナーの小説に登場するスノープス一族の役割を演じている。スノープス一族は、腐敗した南部に生じた権力の空白を埋め、堕落した元奴隷所有貴族階級から容赦なく支配権を奪い取った。フレム・スノープスとその一族――その中には殺人犯、小児性愛者、重婚者、放火犯、牛と性交する知的障害者、その獣姦を見せ物にして入場料を取る親族まで含まれる――は、いまや連邦政府の最高権力層にまでのし上がった下劣な人間たちの架空の表象である。彼らは、野放し資本主義が解き放った道徳的腐敗を体現している。
支配階級の堕落を映し出す「エプスタイン文書」には、トランプだけでなく、元米大統領ビル・クリントン(エプスタインとともにタイを訪れたとされる)、アンドルー王子、マイクロソフト創業者で億万長者のビル・ゲイツ、ヘッジファンド富豪グレン・デュービン、元ニューメキシコ州知事ビル・リチャードソン、元財務長官で元ハーバード大学学長のラリー・サマーズ、認知心理学者で作家のスティーブン・ピンカー、エプスタインの弁護士で熱烈なシオニストのアラン・ダーショウィッツ、ヴィクトリアズ・シークレットCEOのレスリー・ウェクスナー、元バークレイズ銀行員ジェス・ステイリー、元イスラエル首相エフード・バラク、奇術師デヴィッド・カッパーフィールド、俳優ケヴィン・スペイシー、元CIA長官ウィリアム・バーンズ、不動産王モート・ザッカーマン、元メイン州上院議員ジョージ・ミッチェル、そして失脚した映画プロデューサーで強姦犯として有罪判決を受けたハーヴェイ・ワインスタインらも含まれていた。彼らは皆、エプスタインの終わりなき酒池肉林の周囲を回っていたのである。
『Winners Take All: The Elite Charade of Changing the World』の著者アナンド・ギリダラダスは、エプスタインの周囲に集まっていた権力者たちと一握りの女性たちは、他者の苦痛や搾取に対する共感を欠いた特権階級の象徴だと指摘する。それは子どもを含む性的虐待、彼らが引き起こした金融崩壊、支持した戦争、放置した依存症や薬物過剰摂取、擁護した独占、加速させた不平等、食い物にした住宅危機、人々を守ろうとしない監視技術など、あらゆる場面に現れている。
ギリダラダスはこう書いている。
「公開されたメールが示しているように、政府、ビジネス、ロビー活動、慈善事業、スタートアップ、学界、科学、金融、メディアの交差点には、きわめて閉鎖的な“能力貴族”が存在している。そして彼らは、公共善よりもまず仲間内を守る。多くのアメリカ人が“最初の機会”すら奪われている一方で、この集団の構成員には無限の“再挑戦”が与えられることに、人々が憤りを感じるのは当然だ。立ち退き、ぼったくり、差し押さえ、AIによる失職、あるいは強姦に至るまで、人々の訴えがしばしば無視されるのも当然だ。」
さらに彼はこう述べる。
「エプスタインのメール群は、私たちの社会秩序がどのように機能し、誰のために存在しているのかを示す、壊滅的な書簡的肖像画を描き出している。そう言うこと自体が過激なのではない。過激なのは、このエリートたちの振る舞いのほうだ。」
また彼は続ける。
「この新自由主義時代の権力エリートが十分理解されていないのは、彼らが単なる金融エリートでも、高学歴エリートでも、慈善的貴族でも、政治エリートでも、世論形成エリートでもなく、それらすべてをまたいで利益を得ており、自らの善意を本気で信じているからかもしれない。」
さらにギリダラダスはこう念を押す。
「彼らは皆、同じチームなのだ。テレビでは対立して見えるかもしれない。互いに逆の政策を掲げることもある。ネットワーク内の誰かが、別の誰かの行為に苦悩を表明することもある。しかしメールが描き出しているのは、何よりもまず“物事を決める階級”に自分たちが居続けることを最優先する集団だ。原則とネットワーク維持が衝突すれば、勝つのは常にネットワークである。」
体制全体が腐っている。それは自らを改革することはない。
(ギリダラダス氏へのインタビューはこちらで閲覧できる。)
民主党は今年の中間選挙で勝つため、新たに「減税」を選挙公約に掲げた。だが、おそらくまたしても、中身が空虚で争点もなく、ジェノサイド支持の大統領候補を擁立するだろう。民主党支持者たちは、カマラ・ハリスの、著名人頼みの15週間という短期大統領選キャンペーンに、実に15億ドルもの資金を注ぎ込んだ。彼女はこの20年間で初めて、全国得票でも敗北し、すべての激戦州を落とした民主党候補となった。
民主党は、もはや機能する政党ではない。それは企業による蜃気楼にすぎない。党員たちは、せいぜい事前承認された候補者を選び、演出された党大会や集会の背景役を務めるだけである。党員には党政治に対する実質的影響力がまったくない。
トランプのイラン政策の失敗に見られるように、帝国の力の衰えが明白になるほど、混乱した大衆はますます幻想世界へ逃げ込む。そこでは厳しく不快な現実は入り込めない。
文明の末期、人々は自己欺瞞的な傲慢さに浸り、偽りの美徳を吹聴する。そして失敗の責任を押しつけるためのスケープゴートを探す。ムスリム、不法移民、メキシコ人、アフリカ系アメリカ人、フェミニスト、知識人、芸術家、反体制派――そうした人々である。
魔術的思考と「アメリカ例外主義」の神話が公共言説を支配し、学校教育でも教え込まれる。芸術や文化は、国家主義的なキッチュへと堕落する。環境危機の最中でさえ科学は軽視される。他者の視点から世界を見る力、共感や理解や思いやりを育む文化的・知的営みは、グロテスクで残酷な超男性主義と超軍国主義へと置き換えられていく。
トランプは、こうした文明の断末魔に完璧に適合した存在である。彼は怪物でも異常者でもない。彼は、私たちの病理的な社会の、むき出しの顔なのだ。