Madrasa Expansion: Afghan Girls’ Education Under Threat

マドラサ(宗教学校)の増強:脅威にさらされるアフガニスタンの女子教育

 

(WAJ: 現状のアフガニスタンにおいて、一般的に教育の重要性を強調、ないし要求することは極めて危険である。なぜなら、ターリバーンでさえ、教育の重要性を否定しているわけではないからである。彼らが否定しているのは、人権や科学など現代において普遍的な価値を代弁する世俗化された教育であり、彼らは彼らなりの宗教教育、つまりマドラサ(宗教学校)教育を男女を問わず実行しようとしているからだ。ターリバーンは内外の女子教育開始要求を逆手に取った女子に対するマドラサ教育の増強を画策しつつあることに注意を向けるべきである。)

 

ハシュテ・スブ(アフガニスタンの独立系メディア)主張
2024年4月14日

ターリバーングループは、アフガニスタンの女子生徒を6年生を超えた教育から排除していることで広範な批判にさらされている。ターリバーングループの熱心な支持者やロビイストですらこの姿勢を正当化することができない。この政策は非常に不合理であると考えられているため、他の団体はもちろん、ISISのような最も過激な宗教団体からも支持を集めていない。この点におけるターリバーンの統治は、イスラム教国でも非イスラム教国でも見られない異常事態のように見える。この問題が解決されない限り、国際法や国際協定に基づいてこのグループと関与する姿勢は存在しない。

ターリバーングループはいくつかの勢力で構成されており、外から見ても少なくとも3つの勢力が区別できる。第1に、ハイバトゥラー師を中心とするイデオロギー派、第2に、ドーハでターリバーンを代表する交渉人を中核とする現実主義派(訳注:2020年2月ターリバーンと米国はドーハで行われた交渉において合意し、それが翌2021年8月の政権奪取に繋がった。その後も、同地はターリバーンと国際社会の交渉の舞台となり、昨年8月には米国との会議が開かれた。さらに今年2月には国連と会議する予定だったが、ターリバーンは参加を拒否した)、そして第3に、舞台裏での政治的陰謀や諜報計画に気づいていない単純で知識のない歩兵たちである。ターリバーングループのイデオロギー部門は世界的な圧力や人々の不満には注意を払っておらず、シャリーア法の独自の概念に従ってその適応を検討しているだけだ。同グループの歩兵も宗教指者層に忠実であり、そのあらゆる行為はイスラム体制の利益に沿うものであると解釈している。一見脆弱な信頼だが、よほどの変化が見られない限り揺らぐことはない。唯一ターリバーングループ内の現実主義派のみが女子から教育を剥奪することの不合理性を懸念している。それは彼らがアフガニスタンにおける同グループによる統治の将来への影響を予測できるためである。

<参考記事> ドーハ会談
https://www.aljazeera.com/news/2023/8/1/taliban-us-hold-first-official-talks-since-afghanistan-takeover
https://www.aljazeera.com/news/2024/2/19/talibans-conditions-to-attend-un-meeting-unacceptable-guterres-says

 

ターリバーングループ内の現実主義派は、ターリバーンのイデオロギーを深く信じておらず、人権にまったく価値を認めない少数の政治家で構成されている。むしろ、彼らは諜報機関との提携によりターリバーンの仲間入りを果たし、ターリバーン支持者のふりをしてターリバーンの利益に預かろうとする日和見主義者である。この派閥のメンバーはパキスタンで何年も快適に暮らし、その後贅沢なライフスタイルを求めてドーハに移住した。彼らはターリバーンの統治を富を蓄積し贅沢な恩恵を享受できる絶好の機会とみなしている。そのため、女子教育、女性の雇用、その他国際協定に反する事項に関するターリバーン指導部の政策に懸念を抱いている。彼らは、現在の統治が維持されることに一筋で、どんな犠牲を払ってでもこの絶好の機会を逃したくない。だから特定の宗教的およびイデオロギー的な問題については進んで妥協する。この一派は内外の収入源に焦点を当てており、国の経済動脈の支配権を握ることを優先している。彼らは経済利権のためにターリバーンを隠れ蓑として利用しており、それ以上のことは考えていない。

ターリバーンの現実主義派にとって、アフガニスタンの少女たちの状況やこの国の女性の将来は重要ではない。なぜなら、この一派は長年にわたってターリバーングループと行動を共にしてきたが、そのイデオロギーを理解し、それを正当化するための努力を惜しまなかったのは、交渉事や政治活動が彼らの海外利権にとって特に有利だったからである。それが真実ではないと知りながら、変わりつつあるターリバーンの姿を世界に向けて絶えず描き続けたのはこの派閥だった。現在、彼らの主な懸念は、国内外の広範な利益がこれらの政策によって危険にさらされる可能性があり、そのような有利な機会は彼らの生涯に二度とないかもしれないということである。

ターリバーンの現実主義派は、外国人との交渉、逆にターリバーンの軟弱政策に批判的な国内政治家との交渉でも、現在の状況は一時的かつ一過性のものであり、最終的には世界は変化したターリバーンを見ることになるだろうと一貫して強調している。この派閥は女子教育に関する解決策を国際社会に提案しており、ターリバーン指導部もその解決策に同意するはずだと主張している。ところがその解決策とは、アフガニスタン全土で女子向けに宗教学校のカリキュラムを実施し、アフガニスタンのすべての女子に信仰を教え込むというものである。この派閥の信念によれば、アフガニスタンの女子全員が宗教の生徒になるとの保証がもたらされれば、さしものターリバーン指導部も女子教育に反対する動機を失う。また無学のターリバーン戦闘員らが西側諸国と妥協しているとして指導部を非難することもなくなる。この派の見解では、いかなる形であれ、女子教育におけるオープンな姿勢は、グループ正当化のための梃子として利用され、西側にいるターリバーン支持者のよりスムーズな活動に役立つ。

ターリバーンの現実主義派の根本的な問題はグループ内での彼らの立場にある。ひとつの組織があればその周辺にはいつも非主流派がおり、政治的なバリエーションを見せて相手を欺く。彼らはそれに近い。ターリバーンのような集団において、自分の立場を強化するのは軍事的武勇か確固たるイデオロギーのいずれかである。したがって、ターリバーンの中で最も強力な人物は、長年にわたって戦場で軍隊を率いてきた軍司令官か、あるいはグループの知的およびイデオロギー的金科玉条に通じ、彼らの戦争努力を正当化する聖職者のいずれかである。現実主義者はグループ内ではいわば5番目の車輪であり、戦争や組織指導での影響力はないのに、富を蓄積し贅沢な生活を享受できる成功例を持っているだけだ。この派の言葉を真に受ける人々は、ターリバーンの本質をいまだに理解していない。

アフガニスタン国民にまだチャンスがあるとすれば、それは現実主義者が主役の座から降ろされることにある。アフガニスタンを襲った悲劇の一部は、ドーハ交渉でこの派閥が行った嘘と欺瞞の結果だったからである。実際、この派閥のやり口はアフガン国民にターリバーン主義を穏やかかつ陰湿に押し付けることである。そしてアフガニスタンを徐々に宗教的過激主義の最大の拠点に変える。こうして最後はターリバーングループの反人権政策に対して誰も怒りの声を上げなくなる。

もし女子教育が宗教学校に押し込められれば、アフガニスタンで新たな悲劇の段階が始まり、国を宗派間戦争の泥沼に陥れることになる。何百万何千万もの少女たちを洗脳しターリバーン女性軍の歯車にすれば、世代を超えて大惨事がもたらされる。ターリバーンのイデオロギーが人々の生活の構造そのものに浸透し、夫婦、母子、友人、知人を互いに対立させる。それはターリバーンとその支持者に短期的な利益をもたらすかもしれないが、長期的には、アフガン国民にとって、全員対全員の戦争となる。ムスリムとヒンズー、シーアとスンニ、スーフィーとサラフィー、ハナフィとイスマイル、イフワンスとデオバンディ、サフィとパンジピリ。分断され敵対し始める隊列は枚挙にいとまが無い。

原文(英語)を読む

ダリ語版は下記。
https://8am.media/fa/education-of-girls-in-afghanistan-schooling-scenario/