Pressures on Journalists: Bleak Prospects Ahead for Media Activity in Afghanistan

(WAJ: アフガニスタンには報道の自由はない。そればかりか、ターリバーンを批判する論説を掲げれば激しく弾圧され、投獄され、ころされる。その現実をアミン・カワ氏は告発する。しかし、アフガニスタンのジャーナリストは黙殺されているだけでなく、アフガニスタンで起きていること、彼らの言説を外部世界に向けて発信している。われわれはそれを少しでも広く知らしめる活動をつづける。)

By: Amin Kawa
Hasht-E Subh Hasht-E Subh 29 January 2024

アミン・カワ
ハシュテ・スブ 2024年1月29日

ターリバーン支配下のメディア情勢は厳しい。アフガニスタンを占領して以来、ターリバーンは広範な禁止令を課し、情報へのアクセスやニュースの流通をほぼ不可能にしている。国内の報道機関は自己検閲と、運営や表現における自由の欠如に直面している。諜報機関を含むさまざまなターリバーンの出先機関は、ジャーナリストや報道機関に威圧的に接し、身動きの取れない雰囲気を植え付けてきた。テレビでの音楽、エンターテインメント、政治番組の禁止、女性司会者へのベール着用の義務化に加え、すべてのメディアは配信前に承認を得るためにコンテンツを提出する必要がある。一部のメディア専門家は、国内報道機関が圧力を受けて「ターリバーンのプロパガンダ機関」に変貌したと主張する。過去2年半にわたり、ターリバーングループはジャーナリストを繰り返し拘束、拷問、尋問してきた。最新では、ターリバーンがジャーナリスト3人を拘束した。この事件は後に述べるように、アフガニスタンの開かれたメディアを支援する団体「ナイ」(Nai)の一時的な活動停止につながった。

<関連記事> 
ジャーナリストの拘束
https://www.asahi.com/articles/ASS1P7G0ZS1PUHBI01H.html

https://www.ifj.org/media-centre/news/detail/category/press-releases/article/afghanistan-three-journalists-detained-by-taliban-intelligence-agency

ナイの活動停止
https://afjc.media/english/index.php/events/press-release/nai-suspends-activities-temporarily-due-to-current-situation-in-afghanistan

 

メディアやジャーナリストを支援する国内外の団体はかねてから、アフガニスタンでのメディア活動は2023年も非常に不安定であり、生き残ることは「困難」になると述べてきた。国際機関が発表した統計によると、アフガニスタンでは昨年、ジャーナリストに対する暴力事件が少なくとも108件記録され、ジャーナリスト2人が殺害された。

<関連サイト>(3月11日に2人の記者が爆殺されたが、犯行声明はISILが出した)
https://www.unesco.org/en/articles/director-general-condemns-killing-journalists-sayed-hussain-naderi-and-akmal-tabian-afghanistan

<関連記事>
https://tolonews.com/afghanistan-186108

 

そうした団体の中にアフガニスタンの開かれたメディアを支援する組織ナイがある。ナイは、2023年に約40人のジャーナリストがターリバーン武装勢力に拘束され、一部は拘留後すぐに解放されたが、刑務所に送られ数ヶ月服役した者もいたと報告したばかりだ。ところが20年近くにわたってさまざまな分野でメディア活動をしてきたこの組織が、最近、とある追及を受けて活動を一時停止すると発表した。

ナイのムジブ・ハルワットガル(Mujib Khalwatgar)事務長は、「アフガニスタンの開かれたメディアを支援する団体であるナイの指導部は、今年1月の最新会議で、アフガニスタン国内での活動を一時的に停止することを決定した」と述べた。同氏によれば、ナイの関係者が今後アフガニスタンで活動する予定はないという。

<参考記事>
https://www.afintl.com/en/202401261314

 

以前、「国境なき記者団」(訳注:言論の自由を求めるジャーナリストによるNGOで本部はパリ)は年次報告書の中で、アフガニスタンは依然としてジャーナリストにとって最も危険な国であると述べた。同組織は2023年の報告書で、ターリバーンがアフガニスタンで独立メディアを弾圧し、ジャーナリストをスパイ容疑で拘束したと指摘した。年次報告書は次のように述べている。「ジャーナリストに対するスパイ容疑はアフガニスタンで用いられる戦術の一つである。 2021年8月に政権を奪還して以来、ターリバーンは独立系メディアを弾圧してきた。彼らは2023年に21人のジャーナリストを拘束した。」

<参考サイト>
https://rsf.org/en/779-journalists-were-jailed-2023-547-will-spend-new-year-s-eve-prison

 

国連教育科学文化機関(ユネスコ)も2023年の年次評価で、アフガニスタンではジャーナリスト暗殺事件が2件目撃されたと述べた。

だが、ここに来て動きが激しい。国境なき記者団は最新の声明で、ターリバーンによるジャーナリストの「恣意的逮捕の新たな波」に対して警告した。 3人のジャーナリストの拘束を受けて、同団体は「ターリバーン諜報機関による新たな恣意的逮捕の波が始まり、わずか2日間に3人のジャーナリストがカーブルで拘束された」と述べた。同団体はターリバーンに対し、ジャーナリストに対する抑圧的かつ威圧的な政策を中止するよう求めた。同団体によると、アフガニスタンのメディア界は憂慮すべき拘束の波に直面している。

先週、アフガニスタン・ジャーナリスト・センター(AFJC)は、カーブルのメディア関係者アフマド・ジャワド・ラスーリ(Ahmad Jawad Rasouli)とアブドゥル・ハク・ハミディ(Abdul Haq Hamidi)の2人がターリバーン諜報機関に拘束され、非公開の場所に移送されたと発表した。さらに、月刊誌「ミーナ」のエザトゥラ・ズワブ(Ezzatullah Zwab)社長が2日前、カーブルからジャララバードに向かう途中ターリバーンに拘束された。彼の息子たちはソーシャルメディアで父親の拘束を認め、旅行中に逮捕されたと述べた。ズワブ氏の息子の一人であるヌスラト・アルマン(Nusrat Arman)によると、ターリバーンが父親を拘留したのはささいな問題について説明してもらうためで、終わればすぐに釈放すると保証したようだ。しかし、ターリバーンは父親を尋問する根拠を提示しなかった。

一方、これらジャーナリストの拘束を受けて、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)もターリバーンによるメディア弾圧の継続を非難した。同組織は声明の中で、ジャーナリストの拘束はアフガニスタンにおける独立系メディアの弾圧が継続していることの証であると主張した。

しかし、アフガニスタンジャーナリスト安全委員会(AJSC)のサディクッラー・タウィディ (Sadiqullah Tawhidi)元支援部長は、ターリバーンには人権と表現の自由を受け入れる用意が全くないとハシュテ・スブ・デイリーに語った。彼によると、2021年8月15日以来、このグループは人間の自由をすべて制限し、数十人のジャーナリストを逮捕した。タウィディ氏はさらにこう訴えた、「現在、約30人のジャーナリストが投獄されていると言われている。深刻な検閲も横行している。すべてのニュースはこのグループによって検閲されている。カーブルほか2、3の都市では今も数人の若い女性たちが働いているが、男性職員とは別の事務所に閉じ込められ、マスクの着用を強いられている。」

また、情報へのアクセスは厳しく制限されており、ターリバーンはいかなる質問にも応じず、ジャーナリストには同グループの関与が明かな治安事件についてすら質問が許されないと述べた。同氏によると、ターリバーンはこれまでにメディアに対して14件の制限令やガイドラインを発令しており、ターリバーン政権下でのメディアの悲惨な状況が浮き彫りとなっている。

タウィディ氏は、国内の報道機関の70%が業務を停止し、アフガニスタン人ジャーナリストの多くが国を出るか、失業のあげく転職したと強調した。彼はさらに、「いまや、国内メディアはターリバーンのプロパガンダ用ロボットだ」と結論した。

過去2年間、メディア支援団体はジャーナリストに対するターリバーンの抑圧的な政策と厳しい圧力に対し繰り返し非を唱えてきた。これらの団体によると、ターリバーンがアフガニスタンを占領する前は、国内で 197 のテレビ ネットワーク、284 のラジオ局、数百の印刷出版物、および 1800 以上のアクティブな Web サイトが運営されていた。

国境なき記者団は、ターリバーンが統治する前はアフガニスタンにあわせて547社もの報道機関があったことを振り返りつつ、2023年は女性がメディアから撤退した年だと意義づける。ターリバーンの女性への規制は続き、ジャーナリストだからとて例外ではない。

ターリバーンは前政権時に制定され施行された情報アクセス法を一時停止している。政権奪取前にはその存続を保証したにもかかわらず。このことを忘れてはならない。

その結果メディア活動に対するターリバーンの執拗な弾圧が横行し、アフガニスタンは2023年の世界報道の自由度ランキングで180カ国中152位にランクされてしまった。

現在、ターリバーンの報復を恐れて数十人のジャーナリストがイランとパキスタンに避難し、不法入国者という悲惨な状況に甘んじている。これらのジャーナリストは、メディア支援団体が彼らを無視して危険にさらしていると非難し、この案件が再検討され、自分たちが安全な場所に移送される必要性を強調している。

原文(英語)を読む

Pressures on Journalists: Bleak Prospects Ahead for Media Activity in Afghanistan