The Trilateral Defence Pact of Saudi Arabia, Türkiye and Pakistan: A Fragile Alliance amid Conflicting Interests and U.S. Calculations for Temporary Relief from Mounting Crises
サウジアラビア・トルコ・パキスタン3国防衛協定:利害の対立と、増大する危機から一時的な安堵を得ようとする米国の計算のただ中にある脆弱な同盟
(WAJ: 。本稿において著者は、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの3国防衛協定は、相互防衛を掲げるが、3国の目的は異なる。サウジは安全保障、パキスタンは経済支援、トルコは戦略的自律性を求めるため、対イラン戦争で実際に共同参戦する保証はない。協定は米国依存の低下と中東秩序の変化を示す一方、「イスラム版NATO」ではなく、利害が一致する間だけ機能する脆弱な抑止連合となる可能性が高い、と論じている。なお著者ファテー・サミ氏がこの間、本サイトに執筆した論説のすべては「ファテー・サミ執筆記事一覧」で読むことができる。)
ファテー・M・サミ(Fateh Sami):フリーアカデミック研究者
2026年8月10日

2026年8月7日にメッカで調印されたトルコ、サウジアラビア、パキスタンの3国防衛協定は、一見したところ、中東に新たな安全保障上の均衡が生まれつつある兆候とみなすことができる。この協定の中心原則は、3国のいずれか1国に対する武力攻撃を、3国すべてに対する攻撃とみなすというものである。しかし、この合意の真の重要性は、その名称や正式な文言ではなく、より根本的な問いにある。すなわち、この3国は本当に同じ利益を共有し、同じ脅威に直面し、共同の戦争の費用を負担する同じ意思を持っているのか、という問いである。当初の報道はまた、この合意が相互防衛の原則を掲げているにもかかわらず、戦時における具体的かつ実務的な軍事義務をまだ定めていないことを示している(Reuters, 2026)。
実際には、3国はそれぞれ異なる3つの計算にもとづいてこの協定に加わった。サウジアラビアが何よりも必要としているのは安全保障であり、パキスタンが必要としているのは財源と経済支援であり、トルコが第一に求めているのは地域における戦略的な行動余地の拡大である。この相違こそ、協定に内在する脆弱性を示す最初の徴候である。
サウジアラビアは数十年にわたり、米国の安全保障の傘に大きく依存してきた。しかし近年の展開、とりわけイランをめぐる戦争によって、危機の瞬間にワシントンへ全面的に依存するだけでは不十分かもしれないという認識がリヤドで強まった。したがってサウジアラビアは、米国との戦略的関係を維持すると同時に、追加的な安全保障上の選択肢を求めるという二重のアプローチを追求している。パキスタンおよびトルコとの関係強化は、このより広範な多角化政策の一環とみることができる。
しかしサウジアラビアは、同盟国を持つことと、実際に戦う意思のある同盟国を持つこととを区別しなければならない。パキスタンは長年サウジアラビアと緊密な軍事関係を保ち、パキスタン軍が過去にサウジ領内に駐留したこともある。だが、この歴史は、サウジとイランが直接対決した場合に、イスラマバードがテヘランとの大規模戦争に参戦することを必ずしも意味しない。
パキスタンはイランと国境を接しており、より広範な地域戦争の帰結を無視できない。同時に、インドは依然としてパキスタンの主要な安全保障上の競争相手であり、イスラマバードの軍事・経済資源には限りがある。したがってパキスタンはサウジアラビアとの防衛協力拡大から利益を得る可能性があるが、それは、最終的にパキスタン自身の国家安全保障を危険にさらしかねない費用を、サウジの安全保障のために負担する意思があることを必ずしも意味しない。
この観点から、メッカ協定をめぐる根本的な問いのひとつは次のようなものである。パキスタンは経済・金融支援と引き換えに、現実の戦争に直面したときには履行できない、あるいは履行する意思のない義務を受け入れるのだろうか。
一方、トルコには別の計算がある。トルコはNATO加盟国であるものの、近年のアンカラの外交政策は、地域政策のすべてを自動的にワシントンに同調させるつもりがないことを示してきた。トルコはシリア、コーカサス、湾岸、東地中海で自国の利益を追求しており、イランとイスラエルの双方に対する政策も、常に一貫した単一の路線に従ってきたわけではない。
したがってトルコにとってメッカ協定は、思想的な関与というよりも、一種の戦略的保険を意味する可能性がある。それは、アンカラが将来、地域の大国のいずれかから深刻な圧力または直接的な脅威を受ける場合に備えた保険である。
このように3国は、最初から、共通の戦略目標を必ずしも追求しないまま共通の協定に調印した。3加盟国の利益と目的のこの隔たりこそ、協定の最も根本的な構造的弱点をなしている。
イラン戦争と協定の真の試練 イラン戦争――「1国は全体のために」が試される場
メッカ協定が真の防衛同盟へと発展するのであれば、その本当の試練は調印式ではなく戦場で訪れる。「一国への攻撃は全加盟国への攻撃である」という原則が真の抑止力を持つのは、いずれか1国への攻撃が3国すべての軍事的対応を引き起こすと敵対者が信じる場合だけである。しかしトルコ・サウジアラビア・パキスタン協定の場合、現実の戦争が起きた際に、集団的に行動するこのような共通意思が存在するかどうかは、依然として不確かである。
この問いは、イランとの関係においてとりわけ重要である。協定は公式にはイランを敵国と特定しておらず、3加盟国の指導者もその防御的性格を強調してきた。それでも、協定が生まれた地域環境が、イランと米国の戦争、およびその潜在的帰結に対する湾岸諸国の懸念の高まりによって形成されたことは疑いない(Reuters, 2026)。イラン戦争はまた、米国の軍事力の限界を露呈した。これは米国の圧倒的な軍事的優位を看過するという意味ではない。むしろ、軍事的優位と、望ましい政治的帰結を達成する能力との違いを明らかにするものである。米上院軍事委員会の有力議員ジャック・リード上院議員は、政権の戦争遂行を批判し、米国は明確な戦略も、戦争を終結させる信頼できる計画もないまま紛争に入り、それでもなお、戦争を正当化する根拠として示された目的を達成できていないと論じた(Reed, 2026a)。また彼は、戦争によって費用が増大し、弾薬備蓄が減少し、米国民への経済的圧力が高まっていることも批判している(Reed, 2026b)。
これらの批判が重要なのは、米国の政治・安全保障体制の内部においてさえ、軍事力だけで複雑な地域危機を解決できるという確信が一様に共有されているわけではないことを示すからである。
イランはまた、同国との戦争が必ずしもイラン領内に限定されないことを示した。イラク、イエメンその他の地域に存在するテヘランと連携する勢力や集団に、イランのミサイル・ドローン能力が加わることで、紛争が複数の地理的戦線へ拡大する可能性が高まる。そのような状況では、サウジアラビアは、より広範な戦争の帰結に最も直接さらされる国のひとつになりうる。しかしトルコとパキスタンは、サウジアラビアを守るために、本当にイランとの直接戦争に入る用意があるのだろうか。
この問いに単純な答えはない。
先に述べたように、パキスタンはイランと国境を接すると同時に、サウジアラビアの金融支援に依存している。したがってイスラマバードは、リヤドとの戦略的関係を維持することと、テヘランとの危険な対立を回避することとの間に根本的な緊張を抱えている。
同様にトルコも、イランとの重要な経済・安全保障関係を維持し、シリアに直接的な戦略的利益を持つ。同時に、NATO加盟国であることがいっそうの複雑さを生む。メッカ協定の加盟国のひとつとイランとの危機が激化した場合、アンカラはさまざまな安全保障上の責務と自国の国益とを両立させなければならない。
このため、相互防衛の原則は紙の上ではきわめて強力に見えるかもしれない。しかし国際政治において、同盟の真の強さを決めるのは合意文書の文言ではなく、それを実行するために必要な費用を負担しようとする加盟国の意思である。
地域の計算に影響を与えるもうひとつの要因は、ガザ戦争と、イスラエル支援によってワシントンが負う政治的代償である。『ランセット・グローバル・ヘルス』に掲載された査読済み研究は、戦争開始後最初の16カ月間に、ガザで7万5000人を超えるパレスチナ人が暴力的原因によって死亡したと推計した。これは当時入手可能だった公式数字を大幅に上回る(The Lancet Global Health, 2026; Reuters, 2026)。同研究はまた、暴力による死者の約56%を女性、子ども、高齢者が占めたと推計している。
これほどの犠牲者は米国に重大な政治的・道義的代償を課してきた。とりわけ、イスラム世界全体および地域の大部分で米国の政策への反発が強まるなかでも、ワシントンがイスラエル支援を続けてきたからである。
したがってイランとガザの戦争は、より広いメッセージを伝えている。中東はもはや、外部の軍事力に依存するだけで安定した安全保障秩序を押しつけ、あるいは維持できる地域として扱うことはできない。
まさにこの現実こそが、メッカ協定の真の意義をめぐる根本的な問いを提起する。それは本当に新しい防御的安全保障機構なのか。それとも3加盟国が共有する恐怖に対する一時的な対応にすぎないのか。
協定が永続的な同盟に発展しそうにない理由 「防衛同盟」から「脆弱な連合」へ
メッカ協定を重要でないとして退けるべきではない。しかし、その重要性を誇張することも分析上の誤りにつながりうる。この合意は、3国がそれぞれ異なる理由から不安を感じている時期に生まれたが、不安感を共有することは、必ずしも共通の利益を共有することを意味しない。
サウジアラビアは安全保障を求め、パキスタンは資源と経済支援を求め、トルコはより大きな戦略的自律性と地域的影響力を求めている。この3つの目的は、ある時点では一致するかもしれないが、その一致が必ずしも永続的な同盟を生み出すわけではない。
サウジアラビアにとって中心的な問題は、政治的・安全保障上の生存である。リヤドは、将来大規模な攻撃に直面しても孤立させられないという保証を得たい。しかし問題は、パキスタンとトルコの双方が重大な制約を抱えていることである。
パキスタンは、インドへの対処、国内の経済的困難、中国・米国との複雑な関係、イランに対する慎重な配慮を同時に抱えながら、サウジアラビアとテヘランとの大規模戦争に深く関与することはできない。イスラマバードは軍事協力、訓練、装備、さらにはサウジアラビアへの限定的な部隊配備を提供する用意があるかもしれない。しかしこれは、全面戦争に参加することを約束するのとは根本的に異なる。
トルコの計算はさらに複雑である。NATO加盟、米国との関係、イスラエルとの競争、イランおよびロシアとのつながり、シリアにおける直接的な戦略的利益が、互いに競合する考慮事項の網をつくり出している。したがってアンカラが、地域的・国際的に重い代償となりうるものをあらかじめ計算せず、政治協定だけを根拠に戦争に入る可能性は低い。
協定の主目的がイランに対抗する均衡をつくることであるならば、別の問いが生じる。この3国は、イランのような大国に対して、実際に一貫した軍事戦線を形成できるのだろうか。イランは国内の軍事能力に加え、相当な地理的縦深、ミサイル能力、非対称戦能力、地域的関係のネットワークを持つ。現在進行中の戦争はまた、圧倒的な軍事的優位があっても、大規模で複雑な国家に望ましい政治的帰結を受け入れさせることが必ずしも容易になるわけではないことを示している。
この観点からすれば、メッカ協定は、完全に実戦運用可能な軍事同盟というより、政治的抑止の手段として機能する可能性がある。
同時に、米国という要因を無視することはできない。地域的な安全保障枠組みが生まれれば、米国が直接担う安全保障上の負担の一部が軽減されうるため、ワシントンはそれを歓迎するかもしれない。しかし同じ過程が、より長期的には、トルコ、サウジアラビア、パキスタンの戦略的自律性の拡大につながる可能性もある。
この問題は、国際システムのより広範な変容のなかで見ると、さらに重要になる。中国はパキスタンと戦略的関係を、サウジアラビアと広範な経済・エネルギー関係を、イランと重要な協力関係を維持している。同様にロシアも、イランおよびトルコと緊密な関係を保ち、近年はサウジアラビアとの関係も拡大してきた。したがってメッカ協定が、必ずしも米国の戦略的軌道に永久にとどまらなければならないわけではない。
このため、おそらく最も重大な分析上の誤りのひとつは、この協定を「イスラム版NATO」または恒久的な反イラン陣営として描くことである。国際同盟は利益を中心に形成され、利益が変われば同盟も変わりうる。
結論――紙の上の結束、実行における相違
サウジアラビア、トルコ、パキスタンの3国防衛協定は政治的に重要であるが、その重要性を真の戦略的一体性と混同すべきではない。短期的にメッカ協定は強力なメッセージを発している。すなわち、サウジアラビアはもはや自国の安全保障をひとつの外部大国だけに委ねたくないと考え、トルコとパキスタンは、変化しつつある地域の安全保障構造を形づくるうえで、より大きな役割を求めている。しかし政治的メッセージは軍事能力と同じではなく、戦略的パートナーシップは必ずしも集団防衛と同じではない。
3国はまた、それぞれ異なる優先事項をもって協定に加わった。サウジアラビアが主として求めているのは、安全保障の強化と戦略的な安心の保証である。パキスタンは、安全保障上の計算と並んで重要な経済・金融上の利益を持つ。トルコが求めているのは、より大きな地域的影響力、戦略的自律性、そして形成されつつある中東秩序におけるより強い地位である。これらの利益は一時的に一致するかもしれないが、永続的な軍事同盟の強固な基盤を自動的に提供するものではない。
したがって真の試練は、3加盟国のひとつが深刻な軍事危機に直面したときに訪れる。例えばサウジアラビアが大規模な攻撃を受けた場合、決定的な問いは、トルコとパキスタンが連帯声明を出すかどうかではない。サウジアラビアを防衛するために、自国兵士の生命を危険にさらし、財政・軍事資源を投入し、イランその他の地域大国との関係を損なう可能性まで受け入れる用意があるかどうかである。
その関与が不確かなままであるならば、この協定は、完全に実戦運用可能な集団防衛同盟としてよりも、脆弱な抑止連合および政治的安心を与える仕組みとして機能する可能性が高い。加盟国は利益が重なるときには協力するかもしれない。しかし平時の協力は、費用が重大なものとなったときにも共に戦う意思があることを必ずしも示さない。
この協定はまた、地域のパートナーに自国の安全保障についてより大きな責任を担わせることによって、ワシントンの当面の利益の一部に役立つかもしれない。しかし逆説的に、同じ過程がやがて3国の戦略的独立性を高め、従来の外部からの安全保障保証への依存を弱める可能性がある。
したがって究極的には、メッカ協定は、中東の安全保障秩序のより広範な変容のなかで理解されるべきである。支配的な外部大国が地域の安全保障枠組みをほぼ規定できた古い構造は、徐々に弱まりつつある。しかし安定した代替秩序はいまだ現れていない。地域大国は、競合する利益、戦略的対立、世界の主要大国との異なる関係によって、依然として分断されている。
メッカ協定は、まさにこの空白のなかから生まれた。すなわち、外部からの安全保障保証に対する信頼が低下する一方で、地域大国が真に統合された安全保障システムをつくるのに十分な相互信頼を、なお確立できずにいる、その中間から生まれたのである。
したがって協定の将来は、加盟国が保有する航空機、ミサイル、兵士の数だけで決まるものではない。調印式で発せられた宣言によって決まるものでもない。その真の価値が明らかになるのは、1加盟国が、他の加盟国に現実の負担を課すほど深刻な危機に直面したときだけである。
根本的な問いは単純である。
3つの異なる戦略目的のために集まった3国は、真の代価を支払う時が来たとき、実際に互いのために戦う意思を持つのだろうか。
答えが否であるなら、メッカ協定は「イスラム版NATO」にはならない。その代わり、中東で繰り返し現れてきた脆弱な連合のもうひとつの例となる。そうした連合は、平時には強力に見えるかもしれないが、その真の強さが明らかになるのは、戦争が到来したときだけである。
その意味でこの協定は、新たな地域安全保障秩序がすでに出現したことを示す徴候というよりも、古い秩序が、それに取って代わる新秩序の形成よりも速く侵食されていることの証拠なのかもしれない。
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参考文献
Heinrich, M. (2026) 「イラン戦争に先立つホルムズ海峡封鎖への備えについて、ハインリッヒが回答を要求」米国上院エネルギー・天然資源委員会、2026年。
Reed, J. (2026a) 「リード、国防総省のイラン戦争についてヘグセスに質問し、国防総省には十分な資金があるが、正しい優先順位、戦略、文民指導部が欠けていると指摘」米国上院、2026年7月21日。
Reed, J. (2026b) 「イラン情勢の最新展開に関するリード声明」米国上院、2026年7月9日。
Reuters (2026a) 「中東の混乱が激化するなか、サウジアラビア、トルコ、パキスタンが相互防衛を誓約」2026年8月7日。
Reuters (2026b) 「トルコ、パキスタン、サウジアラビアの防衛協定は、技術的にはNATO第5条と同じ――トルコ閣僚」2026年8月8日。
Reuters (2026c) 「フーシ派がサウジのタンカーを攻撃したと発表後、湾岸の船舶交通が減少」2026年8月6日。
Reuters (2026d) 「ガザ戦争最初の15か月の死者数、報告値より多い――研究」2026年2月19日。
Spagat, M. et al. (2026) “Violent and non-violent death tolls for the Gaza conflict: new primary evidence from a population-representative field survey,” The Lancet Global Health.
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