Afghanistan: Trapped in Taliban’s Brutality, A Product of USA-Pakistan Support
アフガニスタン:米国とパキスタンの支援が生み出したターリバーンによる残虐行為に囚われしもの

(WAJ: 当初、アメリカによってテロ集団と指定された(現在でも国連からも政権指導部のほとんどがテロ指定されている)ターリバーンは、現在では、IS(イスラム国)やアル=カーイダと戦う上での協力者として位置づけられている。その2年以上の支配によって、アフガニスタンが「人質刑務所」と化している事実を筆者は指弾している。そしてその現状は、現在のイスラエルによるガザ攻撃、パレスチナ抹殺攻撃とつながっていることを指摘し、指弾している。なおサミ氏がこの間、本サイトに執筆した論説のすべては「ファテー・サミ執筆記事一覧」で読むことができる。通読すれば氏の鋭く的確な慧眼ぶりに驚かれることだろう。)

 

By Fateh Sami 17/12/2023
ファテー・サミ(本サイト・アフガン主筆)

野蛮で非文明的な原理主義者でまごうことなきファシスト集団であるターリバーンは、アフガニスタンを「人質刑務所」に変えてしまった。彼らはISI(訳注:パキスタンの軍統合情報局)諜報ネットワーク、パキスタン政府、米国の代理人として機能し、アフガニスタン国民の利益に反して働いている。彼らが日々精を出すのは、米国によって設置された男性優位の宗教過激派としての本性にもたれかかり、社会矛盾、文化の消滅、そしてファルシ・ダリ語(訳注:アフガニスタンの公用語のひとつ)の根絶を目指すことである。ファルシ・ダリ語こそが何世紀にもわたって国民を結び付ける重要な要素であったにも関わらず。

ターリバーンは2年間の治世を通じて、さまざまな口実のもとに政治活動家を組織的に弾圧した。彼らの抑圧的な戦術は、資本主義的占領軍が国々を支配する際に取る戦術の鏡映だ。ターリバーンの原理主義的かつファシスト的な政府は、敵対する政治活動家を探し出すスパイを大勢やとい、その結果、多くをターリバーン刑務所に送り込み、そこでは不可解かつ残忍な殺人、拷問、心理的圧迫、殴打、暴言、辱めが生じている。
2年以上にわたって米国から直接支援を受けて来た当のターリバーンは、反政府勢力を弾圧し、前政権職員を投獄し、新たな政治的反対派が出てくると「帝国主義政府と結びついている」と非難し、その結果、米国の陰謀によりみずからの政権奪取に繋がった事実を都合よく隠してきた。

このように米国の直接支援に支えられたターリバーンが政治活動家を弾圧し、アフガニスタンを「人質刑務所」に変えた。彼らの抑圧的な行動は、男性優位の宗教的過激主義を旗頭として、さまざまな社会領域に広がっている。

表でも裏でも、ターリバーンの支配者らは政治活動家の抑圧者として行動してきた。用いるのは暴力と脅迫。目指すは反動的な資本主義の枠組み内で必ず生じる社会紛争への対応だ。彼らの弾圧メカニズムには、政治活動家を特定するための密告者の雇用が含まれ、毎日おきる謎の殺人と囚人への残忍な拷問を生み出している。ターリバーンによる言いがかりは、イスラームを侮辱しているとか、帝国主義政府とつながり従属しているとかさまざまだが、自分たちこそが米国の傀儡だということを都合よく無視している。

彼らは、国外に逃れた政治活動家もアフガニスタンに帰国できると主張しているが、現実は異なる。特にパシュトゥーン人以外は、帰国するや危険にさらされ、死にさえ直面することになる。ターリバーンが抑圧し罠を仕掛ける標的は政治活動家であり、過去の政権の元テクノクラートや単なる市民活動家も含まれる。

一部の政治団体は海外であの手この手を駆使し、政治権力の分け前を求めてターリバーンと交渉しようとしている。これらのグループは、多くの場合、特定のプロジェクトを推進する裕福な外国から資金提供を受けている。とは言え、ターリバーンはこれまで、国民を隷属させ、貧困と飢餓を蔓延させ、宗教政治に突き進んでおり、それらに異議を唱えるいかなる政治活動家も弾圧してきた。特に西洋諸国の息がかかったテクノクラートによる政治市民活動は目の敵にされている。

国連と人権委員会も心許ない。中国、ロシア、米国などの世界大国が互いに矛盾する影響をもろに受けるからだ。彼らはどんな原理主義者グループに対処するに当たっても、いつも二重の基準を示す。これらのグループにテロリストのレッテルを貼るか、はたまた彼らを代理人として利用するか。各国で捕らえられている政治活動家を釈放させんと賄賂を提供したりする場合まである。これは、人権や女性の権利という現在の世界規範が中立性を失い、政府や組織が資本主義システム内の目標に目がくらみ、規範がぶれまくっていることを示している。

このような状況において、唯一の道は国民の団結だ。そして、ターリバーンとその抑圧用ロボット兵が跋扈するファシスト政府に抗い、国内に捕らわれた政治犯を解放するために全力を尽くす。国民はこれらの政治犯たちの声を世界中に増幅させ、ターリバーン政府が社会を強制的に服従させ、社会紛争を暴力および残虐行為へと収斂させるのを阻止しなければならない。

われわれは政治犯を無条件で即時釈放するよう要求する。
「政治犯の釈放には交渉の余地はない!」
この宣言を支持する者は、以下のことを約束する。

1. 政治犯の即時釈放のために、あらゆる政治的および民間の資源を活用する。
2. この通知を広く周知する。
3. この宣言に基づいて作業グループを結成する。
4. すべての政治犯の名前をリストアップする。
5. 政治犯の釈放と、原理主義者およびファシストのターリバーン主権に対する闘争のために、可能な限り各国の人々と団結するよう努める。
6. 政治犯の即時無条件釈放を確約し、暴利をむさぼる者たちがターリバーンによる原理主義的ファシスト政権の抑圧機構を、金もうけや自分たちのために悪用しないよう留意する。

 

「現在の世界的混乱を乗り切る: 協力的な安全保障の呼びかけ」

国際法の不遵守と国家の根絶につながる武力的暴力の持続によって傷ついた世界では、「大量虐殺」と「人道に対する罪」という言葉がこれまで以上に意味を持つ。過去1世紀にわたり、多くの国が侵略と荒廃の犠牲になってきた。その多くは誤ったシナリオ、先入観、核兵器の保有などの地政学的な権力闘争によって引き起こされた。全人類にとって安全が行き渡る世界を思い描くことが極めて重要だ。

米国、中国、ロシアなどの主要技術大国は、世界的に大きな影響力を持っており、地政学的な温床づくりから世界人口の福祉のための協力へと努力の方向を転換すべきである。各国が互いに意図せず罠を仕掛けている現在の状況は、世界的な緊張を悪化させるだけだ。 (原注1)
残念ながら、かつては世界平和を維持するための灯台であった国連(UN)は、激化する紛争に直面してその権威を失ったとみえる。第二次世界大戦前の国際連盟との類似点には不安を感じる。
国際連盟が世界的な紛争を防ぐことができなかったことが、最終的に第二次世界大戦という大惨事につなががった。国連には現代世界の平和を確保する権限が欠けているのではないかという懸念が浮上している。

ウクライナ、パレスチナ、アフガニスタンの相互に関連する問題は、大国間の戦略的競争の兆候であり、不安定な世界環境を生み出している。これらの課題に対処するには、地政学的な対立を永続させるのではなく、協力的な安全保障対策を検討することが不可欠だ。本論考では、現在および将来の世代にとってより安全な世界を確保するための協力と集団的責任を強調しつつ、グローバル・ガバナンスのパラダイムシフトの緊急の必要性を掘り下げる。

 

まず用語を変え、シナリオも変えよう: 「政治戦略目標」という新概念

優越感を抱く人がしばしば欺瞞や誇張を繰り返し、他人に迷惑をかけることはありがちだが、本当の懸念はそのような人物が権力の座に就いたときに生じる。精神的、肉体的、民族的、人種的、または宗教的優位性に関する誤解や妄想に根ざした下心と自己中心的な感情は、彼らを危険な野生動物や典型的な野獣に変える。

歴史は世界中で数多くの例を証明している。アドルフ・ヒトラー、チャーチル、ネタニヤフ、スターリン、ポル・ポト(カンボジアの独裁者)、広島と長崎に原爆を使用したハリー・トルーマンなどの人物。 1945 年8月6日に広島上空で爆発したウラン爆弾は、TNT火薬15,000トンに相当する爆発力を持っていた。この爆破により全建物の約70パーセントが焼失し、1945年末までに推定140,000人が死亡し、生存者のガンや慢性疾患の発症率も増加した(原注2) 。欧州地中海人権監視(訳注:欧州、中東、北アフリカにおける特に若者の人権保護を提唱する国際NPO)によれば、イスラエルは2023年10月7日以来、ガザ地区に核爆弾2個に相当する25,000トン以上の爆発物を投下した。(原注3)

<参考サイト>
https://euromedmonitor.org/en

 

アフガニスタンでは、アブドゥル・ラーマン・カーン(Abdul Rahman Khan)、肉屋ハシム・カーン(Hashim Khan)、裏切り者ナディル・カーン(Nadir Khan)、殺し屋ハフィズ・ウッラー・アミン(Hafiz Ullah Amin)、カーブル市の屠殺人グルブッディン・ヘクマティアール(Gulbuddin Hekmatyar/1か月間でロケット弾をカーブルの民間人に向け100発発射し、市民約10万人を死傷させた)などの悪名高い犯罪者は、歪んだ優越感がいかにして数千人の絶滅につながったかを示している。

子ども、女性、高齢者を含む数万人が中東地図からパレスチナを根絶することを目的とした圧倒的な空軍の犠牲となったガザでの最近の出来事は、こうした犯罪を包括的に分析する必要性を浮き彫りにしている。このような犯罪がなぜ、どのようにして世界的に繰り返されるのかを理解するには、多面的な検討が必要だ。国際刑事裁判所を設立する1998年のローマ規程は、この問題に関する国際社会の最新の合意を反映した文書である。これは、犯罪を構成する可能性のある特定の行為の最も広範なリストを提供する条約でもある。

ローマ国際刑事裁判所規程にかんがみると、イスラエルのネタニヤフ首相は「人道に対する罪」を犯した。これは民間人に対する広範または組織的な攻撃の一環として行われた行為を意味する。その規定範囲は、殺人、絶滅、国外追放または人口の強制移送、国際法の基本的な規則に違反した投獄または身体的自由の剥奪、拷問からなり、さらに強姦、性奴隷化、強制売春なども含む。国際法の下で許されないと広く認識されているその他の事由および、本項で言及されている行為または「国際裁判所」が管轄する犯罪に関するその他の事由も含まれる(原注4)

「最近のガザ地区の病院爆撃など、民間人に対して行われた残虐行為を常にパレスチナ人のせいにしようとしているのはイスラエルの欺瞞の文化だ。(原注5)」 パレスチナ人に対する最近のイスラエルの殺害、爆撃、野蛮な行為に対して世界中で大衆的な抗議活動が組織されいる。ガザ地区の病院爆破に対する大量虐殺に対する怒りと憎しみが示されている。「日曜日にはメキシコシティで、100以上の社会団体の呼びかけで、パレスチナ人に対する大量虐殺行為の停止とイスラエルの攻撃の停止を求めて、数千人が行進した。」 (原注6)

「世界中の抗議活動、国連のロビー、そしてソーシャルメディアの怒りの空間で、ジェノサイドという言葉がますます大きくなっている。ユダヤ人国家は、約230万人のパレスチナ人が住むガザ地区を破壊している。週末にかけて、デモ参加者らは、イスラエルをかたくなに支持し手を血で染めたとみなされるにいたったバイデン政権へのメッセージとして、ホワイトハウスの門に赤いペンキを塗りつけた。イスラエルの行動を非難する際、とりわけブラジル、南アフリカ、コロンビアの政府はいずれも、その非道さを説明するために明確に「大量虐殺」と表現している。」(原注6) 「パレスチナ人に対するイスラエルの刑事的犯罪行為、イスラエル人に対する惜しみない米国の支援は、世界の世論の中で米国をこれまで以上に孤立させている。」(原注7)

イスラエル軍はガザ地区北部全域で数百人のパレスチナ人を一斉検挙し、家族から引き離し、男性を強制的に丸裸にし、一部をトラックで非公開の場所に輸送した。

イスラエルによるハマースへの圧倒的な作戦は、包囲されたガザ地区の広範な破壊を引き起こし、人道危機を引き起こした。保健当局によれば、イスラエル軍の砲撃によりガザ地区では現在1万人以上のパレスチナ人が死亡しており、そのうちの3分の1以上が子供である。生きている人々は、電気、水、食料が不足し、瓦礫と病気の増加という悪夢の中に閉じ込められている。これは本物の大量虐殺であり、人道に対する犯罪だ。

私の観点からすると、これらを理解するには2つの要素が必須だ。まず、用語の定義が特定の目標の達成を物語として紡ぎ出す。政治家、軍当局は、同一のものを語るとき「テロリスト」と「自由の戦士」という正反対の用語をうまく使い分ける。例えば、ターリバーンは当初テロ集団とされていたが、現在では米政府はアフガニスタンの救世主として彼らと関わっている。逆に、ハマースはかつてイスラエルの緊密な同盟者だったが、現在はテロ集団のレッテルを貼られている。よく見てみると、ハマースこそ「自由の戦士」であり、米国の全面的な支援を受けて、イスラエルのシオニスト政権とファシスト政権が75年間にわたって押し付けてきたパレスチナの残酷な占領に断固として反対していることが分かる。

アメリカによるアフガニスタン占領下の過去20年間、最後にアメリカはターリバーンの権力掌握を支援したが、当初はテロ集団と決めつけ、それと戦うという枠組みだった。しかし、いまや、ターリバーンを守護者と形容するまでに進化した。

省みると、イランを攻撃して殲滅することを目的とした当初の計画は、世界の極性が変化した今では時代遅れになっている。インド、中国、ロシア、イランなどのアジアの大国は米国の支配に対して団結し、強固な防衛を形成している。

また中国、ロシア、イランといった新興の域内大国は、イラクで目撃されたような、何百万人もの人々の殺害、破壊、苦痛をもたらす、人道に対する罪である、米国政府による積極的な先制攻撃を今では許さない。その結果、米国は地球上で数十年にわたって行ってきたこれまでの行動を続けることはできなくなるのだ。

<参考文献>
1.https://www.aljazeera.com/news/longform/2023/11/9/israel-attacks-on-gaza-weapons-and-scale-of-destruction
2.https://www.icanw.org/hiroshima_and_nagasaki_bombings
3. https://chrishedges.substack.com/p/israels-culture-of-deceit
4. https://www.un.org/en/genocideprevention/crimes-against-humanity.shtml
5. https://chrishedges.substack.com/p/israels-culture-of-deceit
6 https://www.washingtonpost.com/world/2023/11/07/genocide-israel-gaza-palestine/
7. https://www.youtube.com/watch?v=rSw8Rj_VyPc

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