Osama Bin Trump – Read by Eunice Wong

Destroing the Empire

Our imperial overreach began 25 years ago with the War on Terror. It is being brought to a grim conclusion by Donald Trump’s war on Iran.
われわれの帝国的な過剰拡大は、25年前の「対テロ戦争」と共に始まった。そして今、ドナルド・トランプによる対イラン戦争によって、それは陰鬱な結末を迎えようとしている。

(WAJ: ヘッジズ氏は、トランプ大統領の失策を厳しく批判するが、失策は彼のせいではなく歴代大統領=アメリカの政策にある、とする。トランプ大統領はおろかにも失策の仕上げとアメリカの衰退を完成させているだけである、と。ヘッジズ氏が発する痛恨のメッセージからわれわれが学ぶべきは、ヘッジズ氏は自らを免責していないことだ。ここでヘッジズ氏は一貫して「われわれ」という主語を使っている。アメリカの衰退とと世界へ与えた害悪の責任は為政者のみでなく、悪政を正すことのできなかったヘッジズ氏自身にもあると痛切な自責の念を貫いていることだ。右翼・左翼をとわず、日本人もヘッジズ氏のこの姿勢を共有しなければならないのではないだろうか。)

 

クリス・ヘッジズユーニス・ウォン
2026年9月19日
(この記事はユーニス・ウォンが朗読しました。彼女の作品はwww.eunicewong.actorでご覧いただけます。
この記事は2026年9月12日に初掲載されました。)

 

<本文>

イランに対する戦争はアメリカ史上最大の戦略的失策であるが、アメリカ帝国の衰退を引き起こした責任はトランプにはない。しかし、その致命的な結末を招いた責任は彼にある。

これで終わりだ。

石油資源が豊富なペルシャ湾にある米軍基地は損傷または破壊されており、再建される見込みはない。同盟国、ヨーロッパの同盟国でさえ、われわれを見捨てつつある。トランプの粗野さ、呆れるほどの無知、そして残酷さに象徴されるアメリカ社会の退廃と不道徳は、帝国主義の本質的な特徴である。ガザでの虐殺を助長するなど、国際人道法を露骨に無視する帝国主義に恐怖を覚えるグローバル・サウス諸国は、われわれを敵とみなしている。アブグレイブ刑務所(訳注:イラクにある刑務所。2004年にアメリカ軍の捕虜虐待事件で世界的に知られた)の記憶はわれわれの意識から薄れつつあるかもしれないが、世界の他の国々にとって、かつてわれわれが輸出していたディズニー風のアメリカ像は、米兵や請負業者がイラク人囚人を残酷に辱め、拷問するその映像に取って代わられた。世界の石油供給を混乱させたイランとの戦争は、世界経済を急速に崖っぷちに追い込んでいる。

われわれは滅びゆく。そして、多くの人びとを道連れにするだろう。

 

オサマ・ビンラディンは北アラビア海の海底に沈んでいるかもしれない。アル=カーイダはかつての面影を失っているかもしれない。しかし、ビンラディンの最も熱烈な夢は、過去25年間の帝国の甚だしい誤算、すなわち軍事的失敗に何兆ドルもの資金を浪費し、われわれの時代のユビュ王(訳注:フランスの劇作家アルフレッド・ジャリ作の前衛劇の主人公)とも言えるドナルドJ・トランプが台頭したことによって実現したのだ。

米国は、想定される敵を打ち負かすどころか、その勢力を拡大させてきた。米国とその植民地であるイスラエルは、地球上で最も忌み嫌われる国となっている。イランが帝国に対する非対称戦争で前進するたびに、世界中で喝采が送られる。

屈辱的な敗北、資源の浪費、そして次から次へと繰り広げられる戦争に費やされた少なくとも8兆ドルもの巨額の資金は、推定450万から480万人の命を奪い、帝国を空洞化させた。そのインフラは崩壊寸前であり、民主主義制度は無力化している。帝国は持続不可能な40兆ドルの債務でかろうじて存続しているに過ぎない教育制度、公正な選挙、自由な報道機関といった民主主義の至宝は、信用を失い、堕落してしまった。

経済的不安と、困窮者を支える社会保障制度を着実に削減する政府によって見捨てられた労働者階級は、明らかな衰退は内部の裏切り者や敵の仕業だと信じ込まされるプロパガンダに晒されている。トランプ支持者は、民主主義を維持するために設計された制度や理念そのものに背を向けている。ファシズムの常套手段である「急進左派」、イスラム教徒、移民、知識人、芸術家、有色人種、ジャーナリストは、スパイ法などの法律の下で迫害されている。嘘が電波に溢れ、内部の敵が黙らされ、あるいは根絶されれば、過激な国家主義、家父長制、安定した雇用、白人至上主義によって特徴づけられる帝国の栄光の日々が戻ってくるという自己欺瞞を支えている。

トランプ氏とその取り巻きである追従者、道化師、詐欺師、キリスト教ファシストたちは、国内の敵に対する暴力行為や選挙不正を公然と擁護している。共和党が中間選挙で勝利すれば有権者に5000ドルを約束して買収しようとする試みや、憲法秩序に対するトランプ氏の軽蔑は、アメリカの民主主義が茶番劇であることを明白に認めているに等しい。

司法の命令によって大統領に任命されたジョージ・W・ブッシュは、こうした無法と不処罰の種を蒔いた。トランプはそれを開花させたのだ。

覆面をつけ、かつてイラクやアフガニスタンで無辜(むこ)の民への拷問や殺害を可能にしたような『免責権』を与えられた米移民・無効管理局(ICE)のならず者たちが、米国の都市を恐怖に陥れている。彼らは、かつて『帝国』がファルージャやアフガニスタンのヘルマンド州で行ったものと何ら変わらない軍事スタイルの急襲を、丸腰の市民に対して実行しているのである。彼らは醜悪な国内強制収容所のネットワークを構築しつつある。

帝国が国外で用いた支配手段、すなわち市民的自由の剥奪や大規模な監視の実施などは、愛国者法の成立によって国内でも合法化され、監視リスト、密告者制度、人種的・宗教的プロファイリングなどが容認されるようになった。

衰退しつつある帝国は、国外で服従させられた人々が慣れ親しんだ専制政治を、自国民に押し付ける。

すべてが狂い始めた時、私は中東にいた。イスラム世界のほぼすべてが9.11の攻撃に衝撃を受けた。イランでのろうそく集会をはじめ、大規模な連帯表明が行われた。もしわれわれが、イスラム教徒を悪者扱いしたり、中東の何百万人もの人々に苦しみと死をもたらしたりするのではなく、こうした共感を基盤として行動していたなら、今日、われわれははるかに安全な状況にあっただろう。

その代わりに、われわれはナショナリズムという毒薬を体内深く飲み干してしまった。ブッシュ大統領の言い草「彼らはわれわれの自由を憎んでいる」から攻撃されたのだ、を愚かにも信じてしまった。つまり、われわれがアパルトヘイトと大量虐殺を行うイスラエル国家を支持したこと、国境を越えた人びとの命に対する冷酷な無関心、例えば米国の制裁によってイラクで100万人以上が殺害されたこと、そして残忍なアラブ独裁政権を支援したことが原因ではなかった、のだと

われわれが終わりのない戦争によって残した惨状、都市全体の破壊に加え、9.11以降の紛争地域における94万人の直接的な死者、360万から380万人の間接的な死者、そして3800万人の避難民を含む。

ハイジャック犯たちは、都市のスカイラインに甚大な死と破壊をもたらすことでメッセージを伝えようとした。彼らはわれわれが教え込んだ言葉を話したのだ。それは、ベトナムからイラクに至るまで、われわれの戦闘機、ミサイル、ドローンが伝えてきたメッセージと同じだ。われわれは耳を傾けなかった。われわれは、軍事力を使って中東を自分たちの思い通りに作り変えられると、愚かにも信じていたのだ。

対テロ戦争の失敗は、単なる道徳的な失敗ではない。戦略的な失敗でもある。われわれは、当然の疑問を問うことを拒否した。なぜ、国境を越えた多くの人びとが、自らの命や数千人もの同胞を殺害するほど、われわれに対して強い敵意を抱いていたのか。

25年前にあえてこうした疑問を提起したわれわれは、テロリズムの支持者として非難され、沈黙させられた

テロリズムを打ち負かす唯一の方法は、テロ行為を実行する者たちをそれぞれの社会の中で孤立させることだ。理解と連帯のネットワークを構築することだ。しかし、われわれは正反対のことをしてしまった。われわれは、打倒しようとしていたはずのテロリストになってしまったのだ。ビンラディンが望んでいたことを、われわれは自らやってしまった。われわれは自らを破滅させたのだ。

トランプは最後の幕を指揮している。

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