Herat Security Dialogue (HSD-XII) Warns: Taliban’s Second Rule More Oppressive Than the First
(WAJ: 2月末、スペインの首都マドリードで関係者を集めてアフガニスタンに関する会議が開かれた。会議にはアフガニスタン人だけでなくパキスタンおよびアメリカからも、アフガニスタン問題に深くかかわったかつての当事者たちがつどい、議論を交わした。そこではターリバーンとの関係をどう作っていくかが大きな課題として提起されたが、国際社会が取れる「最悪の」行動はターリバーンを承認すること、という厳しい認識が基調となったようだ。)
アミン・カワ(ハシュテ・スブ:アフガニスタンの独立系メディア)
2025年2月25日
ヘラート安全保障対話(HSD)第12回会合は、「アフガニスタン:希望の復活、相乗効果」と題して、スペインの首都マドリードでアフガニスタン戦略研究所(AISS)が主催して開かれた。今回のヘラート安全保障対話には、政治・安全保障の専門家、研究機関や国際機関の顧問、ジャーナリスト、アフガニスタンおよび世界各国の政治的民間エリートらが参加した。この会合の講演者は、テロの脅威、政治情勢、女性の地位などについて意見を交換した。アフガニスタンの元外務大臣兼国家安全保障顧問のランギン・ダドファル・スパンタ博士(訳注:ソ連時代はドイツに亡命し、ターリバーン政府崩壊を受け在独のままカーブル大教授に就任、その後帰国し、2006年から2010年までカルザイ内閣に外相として加わった。2013年に検事の弟が銃殺されターリバーンが犯行声明を出した。タジク人)がターリバーンとの平和的交渉への支持を表明した。しかし、アフガニスタン国民の最大の関心事は「抑圧的なターリバーン政権」から国を救うことだと同氏は述べた。元政府高官の同氏はさらに、テロ、過激主義、差別、無学、敵意とは無縁のアフガニスタンを目指し、同時に平和と抵抗を追求するために「アフガニスタン国民人民議会」の設立を提案した。一部の演説者は、アフガニスタンにおけるテロの存在を警告し、世界がアフガニスタンの状況を無視すれば、9月11日よりもひどい大惨事が起こる可能性があると強調した。また、現在のターリバーンの統治は最初の政権よりも悪いとも述べられた。
<参考記事> スパンタ博士の兄弟がヘラートでタリバンに射殺されるhttps://tolonews.com/afghanistan/dr-spantas-brother-shot-dead-taliban-herat
ヘラート安全保障対話の第12回会合は月曜日(24日)にマドリードで初日を迎え、女性たちが愛国歌を歌い、スーフィーのダンス(訳注:神秘の儀式をダンスで表現したもので、竜巻状の円を繰り返し描きながら神との一体を図ることを目的とする)が披露された。ショーレ・ワキリは国歌「わが祖国、あなたの愛は私の誇り」を歌った。続いて始まった「アフガニスタン:希望の復活、相乗効果」と題された会合には、数十人の政治活動家、研究機関の研究者、外交官、市民・人権活動家、ジャーナリストが出席した。
この会議の初日、講演者たちはテロリズム、アフガニスタンの政治情勢、女性の地位について議論した。さらに、アフガニスタンの人権問題に関する国連特別報告者のリチャード・ベネット氏は、アフガニスタンにおける女性と少女の状況と人道的状況について語った。ベネット氏は、ターリバーン最高指導者とターリバーン最高裁判所長官に対する逮捕状請求は、女性たちの士気を高め、彼女たちの継続的な闘争を支援する一歩であると称賛した。
ランギン・ダドファル・スパンタ博士は、多くの政治家、市民運動、女性権利団体も賛同しているとして、ターリバーンとの平和的交渉への支持を表明した。しかし、これまでのところターリバーンからは何の反応も得られていないと同氏は指摘した。スパンタ博士は、アフガニスタン国民と国際社会はともにアフガニスタンの安定と平和を共通の願いとしていると付け加えた。博士は、アフガニスタン国民にとって最大の関心事は「抑圧的なターリバーン政権から祖国を救うこと」であると繰り返した。
スパンタ博士は、アフガニスタン国内の反ターリバーン運動は、民主主義、法の支配、社会正義といった明確な目標を掲げた首尾一貫したインクルーシブ(包摂的)な政治的選択肢が欠如しているため、大きな課題に直面していると述べた。国際社会、域内諸国、アフガニスタンの近隣諸国も、アフガニスタンに対する統一政策を採用できていないと博士は主張した。同氏によると、地政学的な対立とイデオロギーの違いが、アフガニスタンに関して2つの対立勢力の出現を招いている。国際社会、域内大国、アフガニスタンの近隣諸国間の競争が、アフガニスタンにおける和平努力をますます妨げる可能性があると博士は考えている。
元閣僚の博士は、ターリバーン独裁政権下での現在の危機は、社会のさまざまな階層を横断した統一的かつ協調的な抵抗の必要性を浮き彫りにしていると強調した。解放運動が効果を上げるには、明確な政治プログラム、組織的構造、そして現在の政治および軍事力学に沿った戦略が必要だと示唆した。
スパンタ博士は、「アフガニスタン国民人民議会」の決定的かつ具体的な設立を提案した。彼の見解では、この議会にはアフガニスタンの独立、自由、統一を信奉する男女、すべての政治的、社会的勢力が含まれるべきである。博士は、この議会はテロリズム、過激主義、差別、無学、敵意といった災厄から解放されたアフガニスタンを目指して活動し、これらの目標を実際の成果に変えることが可能だと述べた。さらに平和と抵抗を同時に追求する必要性を強調した。
アフガニスタン国家安全保障局の元局長、ラフマトゥラー・ナビル氏は、世界がターリバーンを無視し続けるなら、9月11日よりもひどい大惨事が起こる可能性があると警告した。同氏によると、アフガニスタンはテロとの戦いの最前線に立っている。同氏はまた、ターリバーン政権がもたらす世界的な脅威についても警告し、ISISは単なるテロ集団ではなく時限爆弾であると述べた。
元アフガニスタン駐在米国大使ライアン・クロッカー氏は、ターリバーンの第2次政権は第1次政権よりも悪化していると述べた。アフガニスタンの治安状況に懸念を表明したクロッカー氏は、同国ではテロが「生きており、活動している」と強調した。同氏は、国際社会が取れる「最悪の」行動はターリバーンを承認することだと付け加えた。
一方、アフガニスタンの人権問題に関する国連特別報告者のリチャード・ベネット氏は会議で、国際刑事裁判所の検察官がターリバーン最高指導者とターリバーン最高裁判所長官の逮捕状を請求したことは、アフガニスタンの女性と少女に権利のための闘いを続ける希望を与えたと述べた。同氏は、非難や言葉だけでは不十分であり、ターリバーンの制限に対して真剣な行動を取らなければならないと主張した。同氏によると、ターリバーン最高指導者と長官の逮捕状が発行されれば、ターリバーンと国際社会の関係正常化に向けた努力が複雑になり、ターリバーンがまだ承認されていないという明確なメッセージを送ることになるという。
ベネット氏は、アフガニスタンの女性と少女の状況は、アフガニスタンに関するあらゆる交渉や和平プロセスの不可欠な要素であるべきだと強調した。同氏は、世界は一般的に女性の権利の後退を目撃しているが、アフガニスタンの状況の深刻さは他のどの国とも比較にならないと指摘した。同氏は、国際社会はアフガニスタンの人権侵害者に責任を負わせなければならないと強調した。
パキスタンの元統合情報局(ISI)長官アサド・ドゥラニ氏は、スペインのヘラート安全保障対話で、米国とNATOがアフガニスタンから撤退した後、イスラマバードは域内活動を放棄し、自国の利益の確保のみに注力していると述べた。
パキスタンの元アフガニスタン担当特別代表、モハマド・アシフ・ドゥラニ氏は会議で、9月11日のような出来事が再び起こる可能性があると述べた。また、ターリバーンがアフガニスタンに恒久的に存在するとは考えていないと強調した。さらに、ターリバーンは「パシュトゥーンワリを悪用」して、パキスタン・ターリバーン運動(TTP)のメンバーをパキスタンに引き渡すことを拒否したと付け加えた。
パキスタンの元国会議員モフシン・ダワール氏は、ターリバーンは私的プロジェクトであり、正常化されるべきではないと述べた。同氏によると、このプロジェクトはアフガニスタンの人々に押し付けられたものである。同氏はさらに、ターリバーンがISISに進化し、アフガニスタンの不安定化を招く可能性があると指摘した。ダワール氏は、ターリバーンの政策がISISなどの過激派グループの強化に寄与していると強調した。
今回のヘラート安全保障対話は、予定日より1日遅れて2月24日スペインのマドリードで始まった。この会議は明日26日まで開催され、アフガニスタンに関するさまざまなトピックと、同国の現状が地域および世界に及ぼす影響について議論される。