Democrats can fight
How the Democrats can fight back against MAGA
Return to the liberalism of 1992.

民主党は戦える
民主党はMAGAにどう対抗できるか
1992年の自由主義に戻れ。

(WAJ: 政治評論ブロガーであるノア・スミス氏は、自己のスタンスを明確化したうえで現状を打破する方策を考えている。トランプ/マスクコンビの乱暴であからさまな施策に直対応してそれを批判するだけでは、民主党が失ってきた支持を取り戻すことはできない。国民大衆が本当に求めている生活の安心と向上を実現する方策を真剣に考え、その実効をせまれ、ということだ。スミス氏がここで掲げた改善3項目は抽象的だが、彼の本音はそこにあるのではないだろうか。)

 

ノア・スミス
2025年2月25日


Photo Kenneth C. Zirkelによる写真、ウィキメディア・コモンズ経由

今日は党派政治について話そう。あまり楽しい話題ではないが、重要なことだ。

私のサイトは無党派ブログではない。私は主に、世界で何が起こっているかを把握するために世界の分析に焦点を当てている。なぜなら、それが私の最大の楽しみであり、私が最も価値を与えられると考えているからだ。しかし、私は自説を述べたり、政治的立場を表明することに躊躇しない。かつ、私は民主党の勝利を望んでいることを隠さない。

とはいえ、それは私が民主党を「私のチーム」とみなしているからではなく、アメリカ、この国を私のチームとみなしているからだ。また、私は共和党の消滅を望んでもいない。共和党が選挙に勝ったときに、正気かつ合理的な行動をとる理にかなった保守政党であってほしいのだ。問題は、共和党が現在、正気でも合理的でもないということだ。共和党はいま独裁的な衝動に駆られたイデオロギー主義者や孤立主義者に乗っ取られている。これは国にとって良いことではない。だから私は、民主党に、信頼できる効果的な対抗策をマスクとトランプに対して講じてほしいのだ。

問題は、過去およそ12年の間に民主党も以前より正気を失い、理性を失ったことだ。彼らは分裂的なアイデンティティ主義、不人気な文化戦争、そして半身不随の手続き主義に取り憑かれている。彼らは現実離れした、極端なオンライン教育を受けた若者層にこびへつらい、彼らが統治する大都市のいくつかが混乱と衰退に陥るのを放置してきた。2024年にトランプの手で彼らが大敗したのは偶然ではない。

これは、私が両党を等しく見ていることを意味しない。たとえ民主党が2024年から少しも変わらなくても、私は彼らにマスクとトランプを倒してもらいたいと思う。しかし、厳しい現実は、彼らが変わらなければ、おそらくマスクとトランプを倒すことはできないだろうということだ。民主党はヒスパニック系有権者、アジア系有権者、さらには一部の黒人有権者から急速に支持を失っている一方で、同数の白人有権者を取り戻すことができていない。何十年もの間、米国では自らを民主党員と名乗る人のほうが共和党員より多かったが、今やそれが逆転している。


Source: Gallup

 

民主党は若い世代からも支持を失い始めており、若い男性と若い女性の両方が自らを社会的に保守的だと称している。

民主党はもはやアメリカの多数党ではない。トランプ氏が犯した数々の悪事を考えると、それは特に恥ずべき、腹立たしいことだ。

現在、一部の民主党員は、トランプとマスクがあまりにもひどいので、彼らの運動は自然に崩壊し、皆が民主党に戻るだろうと自己満足的な幻想に浸っている。確かに、トランプとマスクは間違いを犯すだろう。実際、彼らはすでに間違いを犯している。そして、確かに、これは彼らの敵に決定的なチャンスを与えるだろう。しかし、崩壊は自動的に起こるものではなく、民主党が大きな変化を起こさなければ、彼らの間違いを突くのは難しいだろう。

とにかく、民主党がやるべきことを簡単にまとめると、次のようになる。私の基本的な考えは次の3項目。

1.トランプ大統領のインフレ政策に代わる健全な代替案を提示する
2.トランプ/マスクの行き過ぎた権力行使から民主主義と言論の自由を守る
3.2010年代の進歩主義の重荷を捨て、公共の利益に焦点を当てる

これらのアプローチのほとんどは、それほど遠くない過去の民主党政治家によって成功裏に実行されている。最も有名なのは 1992 年のビル・クリントンによるものだ。実際、1992 年の精神を取り戻すことは、2024 年の惨事からどのように回復するかについて民主党が考えるべき事項を概説するのに適している。

 

Become inflation hawks and deficit hawks again
再びインフレタカ派と財政タカ派になる

私がよく言うように、マクロ経済学は愚かな政権の天敵だ。トランプがハリスに勝ったのは、アメリカ人がインフレに激怒していたからでもあるが、トランプはインフレを実際に終わらせる確実な計画なしに大統領に就任した。そして、すでにインフレは再び頭をもたげ始めている。


Source: Jason Furman

<項目の訳>

2025年1月算出、米国個人消費支出におけるインフレ率(%、年換算)
全体
主要部門
住宅以外の主要部門
住宅以外の主要部門と中古車
住宅以外の主要サービス
中央値
トリム平均

1か月 3か月 6か月 12か月 個人消費支出に合わせた修正

注:各測定値は全個人消費支出インフレとの平均差異(1996年から2020年まで)を加味し、労働統計局、クリーブランド連邦準備銀行、マクロボンド社の各資料より個人算出

出典:ジェイソン・ファーマン

 

中国からの分離やサプライチェーンの再編など、インフレを押し上げる自然の力がいくつかあるかもしれない。しかしその犯人の1つはおそらくインフレへの期待であり、そのため現在物価は上昇している。人々がより一層のインフレを予想すると、それは自己実現的予言になりかねないと覚えておこう。

アメリカ人はさらなるインフレを予想している。なぜならトランプがインフレを引き起こすようなことをしている、あるいはすると約束しているからだ。トランプは連銀に金利引き下げを絶えず求めている。金利が下がればインフレが進む。トランプは関税を課すか、課すと脅した。関税はインフレを進行させる。トランプは巨額の減税を約束しているが、それは必然的に巨額の政府赤字につながる。などなど。トランプはまさにインフレを助長するタイプの指導者なのだ。

2021年から2022年にかけて、私たちはインフレが一般のアメリカ人にとって本当に悪いことだと気づいた。あるいは再発見した。インフレは実質賃金を下げ、生活費を上昇させる。インフレは、高齢者の貯蓄の象徴である債券価値を目減りさせる。インフレは不確実性を生み出し、人々に経済に対する怒りを感じさせる。

そして、アメリカ人はすでに怒り始めている。トランプ経済に対する支持率は急速に低下し始めており、今では任期開始時の最近のどの大統領よりも否定的になっている。


Source: Gallup
各大統領1期目就任時の全有権者と支持層別期待度(外交と経済)
出典:ギャラップ

原文(英語)を読む