(アメリカがキューバを狙っている。トランプ政権のルビオ国務長官はキューバ革命政権に反対してアメリカに移民してきた2世であり、虎視眈々と現政権の転覆工作をおこなってきた。今年初めのベネズエラ攻撃の背後にもキューバとの確執がみてとれる。)

公演するヒセラ・ガルシア駐日キューバ特命全権大使(右)

5月21日、ヒセラ・ガルシア駐日キューバ特命全権大使による講演会「キューバはいま、どういう状況にあるのか」が開催された。主催は、東京都アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(東京都AALA)。ガルシアさんのお話は、以下の通り。

今年1月29日、米国政府の大統領令によって、エネルギー及び経済封鎖が行われた。キューバへ石油を輸出する国に対して、それらの国からの米国輸入品に、高い関税をかけるというものである。
石油の輸入が止まることによる停電。9万6千人(うち1万1千人が子ども)が、手術待ちの状態。水道やゴミ収集 、輸送にも影響を及ぼしている。

5月1日、再度の米国政府の大統領令で第2次的制裁が行われた。キューバの治安機関や軍事・情報機関を支援する個人・団体の米国内資産凍結を行った。
また、5月20日には、ラウル・カストロ元国家評議会議長が、米国において、殺人罪で起訴されたことが、米国の裁判記録で分‌かった。ラウル・カストロについての嘘を垂れ流して、キューバへのイメージダウンを図った。1996年、キューバ領空の侵犯を繰り返す、小型民間飛行機を、キューバが撃墜したことによる提訴である。

キューバに対するエネルギー包囲網が敷かれている。今は、少ない石油で生活できる工夫をしている。在宅労働、在宅教育など。
100MWの発電が、4か月間、稼働できない状態でいる。現在の再生可能エネルギー普及率は、以前の3%から10%に上がってはいるが。

トランプによるベネズエラのマドゥロ誘拐の際、ベネズエラで亡くなったキューバ人の追悼集会や、闘う労働者たち500万人以上のメーデー集会が開催された。
623万人の祖国のための署名活動を行った。封鎖に抵抗するために。
また、キューバのための署名を全世界に呼びかけている。オンライン署名である(注:キューバのために世界労働組合連盟(WFTU)が立ち上げた。「Firmo Por Cuba」のウェブサイトで署名したり、詳細を確認したりできる)。

社会主義は、改善し続ける。
キューバは、米国とは互いに尊重し合いたい。

米国民のキューバへの輸出入、旅行を、米国が禁じている。
米国政府は、キューバに関する誤った情報を流し続けている。反キューバブロパンガンダを行っている。
しかし、米国民の大多数は、それを信じていない。かれらは、対キューバ制裁政策に反対している。
キューバ国民を救済しようと、諸外国の国民が、キューバを訪問している。
日本でも、キューバ支援が行われている。個人、企業などから。大変感謝している。
最近、日本政府は、キューバに対し、病院向けのソーラーシステム10億円の支援を行うと表明した。

キューバは、今後も責任ある行動を取り続ける。
攻撃されるという心配はあるが、理性と責任ある行動をとっていく。
キューバを孤立させるための集団的懲罰は、正当化させない。
キューバは自ら思想を持って守る。
武器を持って守る。

 

活発な質疑応答

その後、休憩を挟んで、音楽をのせた、キューバの医療現場の現状を語る医療関係者の映像と、今月初めに行われたメーデーとキューバ連帯会議の映像が流された。

そして、質疑応答が行われた。

1. 野球について
野球はナショナルスポーツ。五輪メダル獲得数は、世界18位。経済封鎖で野球をすることもままならない。
優秀な選手が大リーグに移籍してしまう。大リーグに入団すると、キューバとの関係を絶てと言われる。日本にも選手がきているので、ぜひ、応援をお願い致します。

2. 米国がなぜ、キューバに、これほどまでこだわるのか?
キューバと米国との間には、長い歴史がある。キューバ独立前から、米国はキューバを狙っていた。
18世紀、キューバは、スペインから独立した。その直前から、米国が割り込んできて、キューバを乗っ取った。
1959年の革命で、キューバは独立したが、米国はキューバの自決権を認めたくない。米国が、キューバ革命を許さない。キューバが、周辺の国々の模範となることを、米国は恐れている。

3. 中国との関係について
中華人民共和国は、革命後早期にキューバ政府を承認した国のひとつです。。
いま、エネルギー危機にあるキューバに対して、ソーラーシステムの援助を申し出てくれる。中国の協力に感謝している。

キューバに石油を販売または提供する国の製品に関税を課すために1月29日にトランプ大統領大統領令は米国大統領令に署名したが、キューバが、ロシアや中国と親密にしていることに、米国は脅威を感じている。
キューバには、中国やロシアの軍事基地はない。しかし、外国の軍事基地がひとつある。米国が不法に設置している基地が。

4. 観光について
クルーザーで、キューバに行くと、帰れなくなる。一度キューバへ行くと、ESTA(注:米国渡航ビザを取得するための電子渡航認証システム)で、米国渡航のビザを取れなくなる。

5. 医療援助について
貧しい国々に対して、無料援助を行っている。もちろん、有料援助の国々もある。
これに対して、米国は、難癖をつけてくる。トランプが、医療援助を人身売買と攻撃してくる。米国から多くの国々に圧力がかけられている。
自分が主人公だと勘違いしている人がいる。世界は、それに対して沈黙している。世界はそれを黙認しているが、立場が変われば、自分たちが被害を被ることになる。

6. 石油輸入に関して
ロシア船が1隻、人道援助で、キューバを訪れた。現在、石油輸入は封鎖されてはいないが、関税が高い(筆者注:先に述べた米国大統領令によって、キューバに石油を輸出した国には、それらの国の米国への輸入品に対して、米国が高額の関税をかける権限を持つ)
国連事務総長、国連専門委員会が、米国による金融制裁や、石油の供給遮断措置が、キューバ国民の生存権や、生活水準に重大な悪影響を及ぼしていることに対して、制裁や措置への反対声明を出している。
このままエネルギー封鎖が続くと、キューバに、人道的危機が訪れる。
個人的な見解だが、すべての国々が参加する国際的で、かつ、大々的な声明を出して欲しい。

7. 高市政権や沖縄の基地について
あなた方日本が解決する問題です。

8. キューバがドローンを購入して、米国を攻撃するという報道があることについて
コメディ映画のようだ。キューバは、そんなことはしない。
いったん軍事侵略が起きたら、キューバ国民が悲惨な目に遭う。想像できないことだ。
米国による他国への工作については、いくつかの例がある。米国は、一つ一つ口実を積み重ねていく。後になって、その話が嘘だとわかる。
キューバは、侵略されれば、全人民戦争で戦う。そのための訓練もしている。
そうならないことを願う。

9.キューバの人びとの生活について
経済状態は非常に厳しい。制裁と経済封鎖による。
最近はインフレが激しい。エネルギー封鎖で停電もしている。

10. キューバを訪問したいという希望について
今、キューバへは、来ない方がいいかもしれない。
だが、あえてキューバに来る人もいる。直接ビザを取って。
あーしろこーしろと言われるのを嫌う人が世界にはいる。そういう人びとが、キューバを訪れる。

11. なぜ、キューバは抵抗し続けられるのか?
キューバは、スペインの植民地だった。先住民が全滅させられた。スペインにやられる前から、米国がキューバを狙っていた。
キューバは、いろいろなルーツが混在しているので、独特なアイデンティティがある。
キューバは、複雑な歴史を辿ってきた。
1959年のキューバ革命によって、自信を持ち、勇敢な国民が生まれた。
キューバは、革命後に、攻撃されてきたが、抵抗し続けてきた。国民の団結によって。
キューバは、経済改革を続けている。自分たちの資源は、自分たちで使うが原則だ。
より良い社会は必要だ。いろんな改革で、社会主義建設を行っていく。
自分たちで改革を進める。平和理に、それをやらせて欲しい。

【田中 進】

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帝国主義者に告ぐ! キューバには何百万人もいる!
キューバは、米国によるベネズエラへの卑劣な攻撃を強く非難し、この姉妹国を全面的支持する
米国は正しい方向に措置を講じているが、封鎖は続いている